更新日:2023年8月1日

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No.536「告白の勇気」

ある日、わたしは近くの公民館で開催されていた人権講演会に参加しました。講師は被差別部落出身の人で、これまで受けてきた差別や偏見についての話でした。「見えづらくなっているが差別はまだある」「差別にあった人が新たな差別を恐れて声を上げられない」ことを知り、わたしは先日相談を受けた友人を思い出しました。講演会が終わった後も、友人のことで頭の中がいっぱいで、話を聞いてもらおうと講師の楽屋を訪れました。
わたしは講師に、友人から「大切な友だちであるあなたにはどうしても伝えたいことがあるの。わたしの生まれのことなんだけど…」と告白があり、それに対し自分が曖昧な返事しかできず、なんて答えればよかったのかと悩んでいることを話しました。
一通り話を聴いた講師は「正解はないと思います。でも、どうすればよかったのかとあなたが真剣に考えていることを友人が知ればうれしいはず。カミングアウトした経験が同じようにわたしもあるからそう思うんです」と言われ、少しだけ気持ちが軽くなりました。
さらにわたしが「どうして自分の被差別体験を話そうと思ったのですか?」と聞くと、講師は「差別をなくしたいからです」と力強く言い「本当はわたしも話したくないんです。自分のことを打ち明けるのはとても勇気がいります。でも話をすることで差別がある現実が伝わるのなら、わたしは話すことを選びます。今でも緊張するんですけどね」と続けたのです。
友人がわたしに告白したとき、不安そうな顔をしていたのを思い出しました。言うか言わないか葛藤を抱えた中、それでもわたしを選んで告白してくれたのです。ものすごい勇気が必要だっただろう、そしてそれ以上に伝えたい思いがあったのだといまさらながら分かった気がしますズータン。友人に今すぐ会いたい、思いを聴きたい、たくさん話したい、そう思いました。

「一番伝えたいことは、一番言えないこと」でもあります。「相手の立場に立つ」ことで、相手の思いに近づくことができるのではないでしょうか。
 

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教育委員会事務局教育部人権・同和教育課 

電話番号:(097)537-5651

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