更新日:2021年11月1日

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No.515「一人の人間として」

 

わたしには、息子が一人います。すでに成人していますが、その子が大学生のころ、スカートをはいて帰ってきたときは、ただただ驚き、思わず言ってしまった言葉が「何でそんな服装をしてるの!」でした。それからは「何でうちの子が・・・」という思いだけが頭をよぎり、息子にそんな服装をやめるよう話しましたが「どんな服を着ようが自由じゃないか!」と叫んだなり、ふさぎ込んでしまいました。

相談する相手もなく悩んでいたあるとき、本屋で「性の多様性」をテーマにした書籍に気付き、少し迷いましたが購入することにしました。その本には、好きになる性や心の性、そして服装など性表現の多様性を認め合うことの大切さが書かれていました。「性は多様なもの・・・」ということは分かりましたが、そのころには、わが子に何と声を掛けたらいいかも分からず、次第に会話もなくなっていました。その後も、悩み続けながら、少しずつですが、性の多様性に関する本を読み、講演会にも参加するようになりました。

ある講演会では、講師が経験してきたさまざまな話、そして時間はかかったけれど、今では理解し支えてくれている家族や友人の話を語ってくれました。わたしは、わが子に思いをはせながら、胸が熱くなるのを感じました。

講演会後、思い切って講師を訪ね、直接相談すると、ゆっくりとうなずきながら、話を聞いてくれました。そして最後に講師の人が「わたしたち親子もいろいろあったけれど、親から『あなたがわたしの子どもであることは何も変わらない。やっとそのことに気付くことができた』って言われたときは、本当にうれしかった」と笑顔で話してくれました。

今は、わが子としっかり向き合い「一人の人間としてあなたらしく生きてほしい」と声を掛けることができたなら・・・と考えています。zutan2

 

 

性は「男女2つにしか分けられない」「異性を好きになるのが当然」などではなく、多様なものです。大切なのは「その人らしさ」を認めていくことではないでしょうか。

お問い合わせ

教育委員会事務局教育部人権・同和教育課 

電話番号:(097)537-5651

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