更新日:2022年12月1日

ここから本文です。

No.528「ぬくもりを感じて」

先日、生まれたばかりの子どもを連れて、妻のサチ(仮名)と実家に帰省しました。幸せそうに孫を抱っこする両親の姿を見ていると、結婚したときのことを思い出したのです。

両親には、交際している頃からサチを紹介し、四人で食事やドライブをするなど親交を重ね、いつしか両親はサチを娘のようにかわいがっていました。

二人で結婚を決めたときのことです。サチは「わたしの生まれのことについて、あなたのご両親にもきちんと話したい」と言ったのでした。わたしは「今さら言わなくてもいいんじゃないの?大丈夫だよ」と伝えましたが、サチの決意は変わりませんでした。

数日後、二人で実家に行き、いつものように四人で食事をしていたときでした。サチは「お父さんとお母さんに話があります。わたしは○○出身です。生まれ育った場所や家族すべてが大好きです。これまで、黙っていてごめんなさい」と言ったのです。突然の話に「そうだったんだね」とつぶやく父を見て、わたしは「だから、言わなくても…」という思いになっていました。

しばらくの沈黙の後、父はサチに「随分勇気がいったんじゃないの?不安だっただろう」と声を掛け、「でも、そんなことでわたしはあなたを差別しないよ。だって、あなたがどんな人柄か分かっているから」と続けました。母も「そうよ、あなたは何も悪くない。あなたは、あなたでしょ。故郷や家族を誇りに思えるあなたは、やっぱりすてきな子ね」と語りかけたのです。その後、両親はわたしたちが結婚を決めたことを聞いて喜び、サチは涙を流したのでした。

そのとき、「言わなくても…」というわたしの考え方が、故郷や家族を大切にしたい、そしてそのことを伝えたいというサチの思いを否定していたのではないかと気付いたのです。ナビー

今、わたしの前で両親に抱っこされている子どもを見つめながら、あのとき感じた両親のぬくもりを引き継いでいかなければと思いました。

本来、出身地などは隠す必要のないことなのですが、偏見や差別により、隠さざるを得ない人がいます。誰もが自分らしく生活していくためには、部落差別をはじめあらゆる差別の解消が必要なのです。

お問い合わせ

教育委員会事務局教育部人権・同和教育課 

電話番号:(097)537-5651

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページは見つけやすかったですか?

このページの内容はわかりやすかったですか?

このページの内容は参考になりましたか?

ページの先頭へ戻る