更新日:2023年6月1日

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No.534「父の気持ち」

父は近頃、急に足腰が弱くなり、生活のさまざまな場面で介助が必要になってきました。出掛けることが好きだった父が「迷惑を掛けるから…」と言い、家にこもるようになりました。心配したわたしは「久しぶりに読書でもしようよ。わたしも読みたい本があるから、一緒に図書館に行こう」と父を説得し、連れ出したのでした。
図書館に着くなり「トイレに行きたい」と言う父に寄り添い、近くのバリアフリートイレに向かいました。ところが、トイレは使用中で、しばらく待っていましたが空きません。
仕方なく、別のトイレを探そうとしたときでした。近くにいた人から「バリアフリートイレなら向こうにもありますよ。ちょっと離れているので、車いすを持ってきましょうか?」と声を掛けられたのです。
わたしが「ありがとうございます。お願いしてもいいですか?」と恐縮しながら応えると、その人は「いいですよ。ちょっと待っててくださいね」と軽く返し、あっという間に車いすを持ってきてくれました。
車いすに座る父をそばで見守り「お気をつけて」と言葉を掛け、去っていくその人に、わたしがもう一度お礼をと思ったら、先に父が「ありがとうございます」と大きな声で言ったのです。
トイレを終え、本を借りに向かっていると父が「いい人もいるんだな…」とつぶやき、続けて「思うように動かない体にイライラしていたし、そんな自分が外に出ると周りもイライラさせるようで、家に居ることが多くなったんだ…。でも、やっぱり外に出るっていいよな。こんな気持ちになったのは久しぶりだよ」と話しました。
嬉しそうに語る父を見ながら、あの人の行動が父をこんなにも生き生きさせたのだということに気づき、わたしもあんな行動がとれるようになりたい、もっと父と一緒にいろいろなところへ行きたいという思いを強くしたのでした。ナビー


ちょっとした気づきからの声掛けが、大きな助けや支えにつながることがあります。
一人ひとりが「もし自分だったら」と相手の立場に立って考えることが大切ではないでしょうか?

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電話番号:(097)537-5651

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