更新日:2021年2月15日

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No.507「今度は自分が…」

先日、離れて暮らす父から電話がありました。父が、春から自治会の役員を引き受けると言うので、「定年退職したら、したいことがあるって言っていたじゃないか。少しゆっくりしたらいいんじゃないの…」とわたしの思いを話しました。
父は「したいことは色々あるけれど、それが今は役員なんだ。お隣さん、同居している家族が転勤になって、春から一人暮らしになるんだって。この前、息子さんから『母をお願いします』って声を掛けられて、それで決断したんだ」と言うのです。
わたしが、お隣さんのためにわざわざ役員にならなくても…と言おうとしたとき、父は「おばあちゃんのこと覚えているか?」と尋ねてきたのです。わたしは「あの頃はまだ、他県に住んでいたから、盆正月には必ず帰省したよな。入院したときは、心配で週末の度に帰ったし、父さんはよくやったよ」と言いました。
すると父は「そう見えていたんだな。自分も当時、自宅に戻る前には『母をお願いします』って、近所を回ったよ。中には、自分の親なんだから…とか、長男なのに…と言う人もいたよ」とつぶやき、「でも、そのときに自治会の役員さんから『大丈夫よ。わたしたちがいるから』と言葉を掛けてもらってね。その言葉にどれほど勇気づけられたか…。だから、今度は自分の番なんだ」と続けました。
知らなかった父の思いを聞き、わたしが「支えてくれた人がいたんだな…。ただ、無理だけはするなよ」と伝えると、父は「心配してくれて、ありがとう。今でも支えてもらったときのうれしさを覚えているんだよ。だから、できることを少しずつやっていきたいんだ。いつか自分も、近所の人に世話になる日が来るかもしれないから」と言いました。
年を重ねてもなお、自分にできることは何かを問い続ける父を誇らしく思うとともに、わたしにも今できる何かがあるのではないかと考えていました。nabii


わたしたちは、相手の痛みや悲しみ、喜びなどを自分のこととして感じることができます。「もし自分だったら」と相手の立場に立って考えることが、そのスタートとなるのではないでしょうか。

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教育委員会事務局教育部人権・同和教育課 

電話番号:(097)537-5651

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