更新日:2019年12月16日

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No.493「息子の姿を見て…」

わたしは、妻と息子と定食屋をしています。三人でやっていくのが大変になったので、アルバイトを募集することにしました。しばらくして、ある学生から応募があり、妻と二人で面接をし、爽やかな青年で対応も丁寧だったので、お願いすることにしました。
面接の時と変わらず、お客さんに対しても笑顔で接し、仕事もテキパキとこなし、彼にお願いしてよかったと思っていたのです。
ところが、数か月後、妻が突然「アルバイトの彼、被差別部落出身なんだって」と話し掛けてきました。そして、「大丈夫かしら…」と続けました。
妻がそんなことを言い出すとは…。わたしは頭が真っ白になり、言葉が出てきませんでした。
すると息子が、「お母さんを信頼しているから打ち明けたんだと思うよ。それなのに何が心配なの。それって偏見じゃないの。僕は彼にいろいろ助けてもらっているし、一緒に働く仲間だと思っている。二人で面接をして彼の採用を決めたんだよね。会ってすてきな人だと思って決めたんだよね。本人が選べない、変えようと思っても変えられない生まれで人を判断しようとするならそれはおかしい」とはっきりと言ったのです。普段見たことのない息子の姿に、妻もわたしも驚きました。そして息子は、「これまで学校でいろんな差別の学習をしてきた。お母さんの考えは差別だ。お父さんの見て見ぬふりをすることも差別だよ。そんな理不尽な差別をするような姿を見たくないんだ」と続けたのです。
わたしは、差別は許されないと思っていたのに、いざ差別に直面した時、何もできずに傍観者になったのです。逆に息子は、学びを積み重ね、それを伝えることができていました。わたしは息子の姿を見て、差別をなくすために何が大切か、気付いたのです。
zuutan
確かな学びと行動により身近な一つの差別をなくすことができるのです。
部落差別解消推進法の施行から3年がたちます。
第5条には「部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする」と書かれています。そっとしておいても差別はなくなりません。


 

 

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教育委員会事務局教育部人権・同和教育課 

電話番号:(097)537-5651

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