更新日:2023年7月1日

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No.535「戦争と人権」

テレビを見ていると、建物が破壊されていく映像とともに、隣国へ軍事侵攻したという外国のニュースが流れていた。中学生の僕は、どこか遠い国の話という感覚でいた。

そんなある日、学校で人権学習があった。先生が一枚の写真を見せながら「案内表示を紙で覆っているところがあるよね。これは軍事侵攻した国の言語を隠しているんだ。どう思う?」と聞いてきた。しばらく沈黙が続いた後、ある子が手を挙げ「戦争を始めた国の文字だから。自分なら見たくないな」と言ったのだ。先生はうなずきながら「実際に苦情があったので隠したそうだ。みんなだったらどうする?」と質問してきた。すると別の子がつぶやくように「確かに戦争は悪いことだけど、その国の言葉に罪はない気がするけど…」と発言した。それをきっかけに、みんなでいろんな意見を出し合った。僕は、公民館の前に貼られていたポスターを思い出し「この前『戦争は最大の人権侵害です』というポスターを見たんだ」と発言した。それを聞いたある子の意見が心に響いた。「特定の国の人たちを、すべてひとまとめにして考えるなんておかしいと思う」と。最後に、先生が「実はみんなと同じように、そのおかしさに気付いた人が行動したことで、案内表示は元に戻されたんだ」と話してくれた。

その日の夜も、戦争のニュースが流れていた。僕は「何でこんなことするのかな」と、もやもやした気持ちでいると、リビングにいた家族が「会社の近くに、軍事侵攻した国の料理を出している店があってね。この前行ってみたら、お客さんが減った上に、ネットに誹謗中傷の書き込みがあるって悲しんでいたよ」と話したのだ。僕は心の中で「どこか他人事に感じていたけど、とても身近なことなんだ。戦争は誰も幸せにしない」とつぶやきながら、多くの人の生活をも奪う戦争に怖さと怒りを感じたのでした。キッピィ

 

生まれる場所は選ぶことができないのにもかかわらず「○○の国の人は○○だ」など、決め付けてしまうことがあります。こうした決め付けはさまざまな人がいることを見えなくさせてしまいます。

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教育委員会事務局教育部人権・同和教育課 

電話番号:(097)537-5651

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