更新日:2026年8月24日
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職場体験で幼稚園へ行く前日、わたしは友人のエカ(仮名)と図書館を訪れた。読み聞かせの練習をするために本を探していると、司書さんが何冊か持ってきてくれた。「昔話は読むたびに感じ方が変わることがあるんですよ」そう言われてページをめくると、小さいころには気付かなかったことが目に留まる。するとエカが、本から顔を上げた。「この動物って、いつもイタズラをする場面で出てくるよね。本当は寂しかったのかな」わたしはその言葉に答えが見つからないまま職場体験の日を迎えた。
何もかもが初めてでバタバタしていると、一人のこどもがお友だちの帽子を持って逃げ回っていた。「あー、またやってるー!」と周りの子たちが訴える中、先生はその子の隣へ座り、静かに話を聞き始めた。しばらくすると、「一緒に遊びたかった」と、その子が小さな声でつぶやく声が聞こえた。
幼稚園から帰る途中、エカが「あの子、午後はいっぱい笑ってたね!先生に気持ちを話せてうれしかったのかな」と話し掛けてきた。その顔を見て、わたしは「実はわたし、去年、あなたが転校してきたころ、あまり人と話をしたくない人なのかな、って思ってたんだ」エカは驚いたような顔をしていたけど、わたしは続けた。「休み時間とか、いつも一人で本ばかり読んでいたでしょ。だから、一人が好きなのかなって勝手に思って、話し掛けなかった。でも係活動で一緒になったら、本や音楽の話がすごく合って、もっと早く話し掛ければよかったって思ってね」
するとエカは「わたし、転校するたびに友だちになりたい気持ちが空回りして、相手に構い過ぎたり、強気な言葉で話したりして、トラブルばかり起こしてたから、この学校では、いろんな人と仲良く過ごしたくて、緊張し過ぎていたんだと思う。だから、今日あの子を見て、自分のことを思い出したものだから、先生と話をした後の様子も、ずっと目で追い掛けてしまってた」と恥ずかしそうに笑った。
わたしはエカと話せてよかったな、と心から思えて、絵本の動物たちにも、もう一度出会ってみたくなっていた。

何度も会っている人や繰り返し触れていることも、時の流れや捉え方が変われば、新しい出会いのように思えることがあるかもしれません。自分の近くにあるものを見つめ直し、出会い直してみませんか。