更新日:2025年2月1日

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No.554「自分の心の中に」

息子のマサヤ(仮名)を塾に送ろうと早めに会社から帰ってくると、キッチンで何かごそごそしているので「何してるの」と声を掛けると「いや、バレンタインのチョコを渡そうと思って…」と言うのです。思わず「バレンタインって普通は女の子が好きな男の子に…。えっ誰に渡すの?」と聞き返すと「…」と黙ったまま何も返事をしないのでした。その後、車の中で「まさか男の子に渡すなんて言わないよね?」と聞いてもやはり息子は黙ったまま。それ以上言えず、何だか不安な気持ちが押し寄せてきたのでした。
その夜、社会人として働いている娘の部屋に行き、息子の話をしながら「もしかしてマサヤが男の子のことを…。こんなことならもっと男の子らしく育てればよかった」とつぶやくと、娘が「そもそもマサヤが何か悪いことしているの?」と言うのです。「でも、ほら世の中には性的少数者に対する偏見や差別があるって聞くし、マサヤのことを思うと…」と伝えると「でも、その偏見って、お母さん自身の心の中にあるんじゃないかなあ」と。続けて娘は「わたしにも小さい頃から『女の子らしくしなさい』と言ってたでしょ。そのときはそれが当たり前って思っていたけど、『当たり前』って何なんだろうって」と言う娘の言葉にハッとしたのでした。
娘がそう考えるようになったのは、性の多様性について理解を広げるために講演活動をしている会社の同僚がいること、さらに、外国人や障がいのある人などさまざまな人との出会いがあったこと、そして会社はそうしたあらゆる立場の人の人権を大切にしていることからだと話してくれました。
その日から「お母さんの心の中にある」という娘の言葉が頭から離れません。「こうあるべきだ」という思い込みが、マサヤを黙らせてしまったのではないか。今は、息子にとっての幸せとは何かを考え続けています。
おおいた市人権イメージキャラクターズータン

誰もが自分らしく生きることができる社会を築いていくために、まずはわたしたち一人ひとりが「普通」や「当たり前」を見つめ直していくことが大切ではないでしょうか。

お問い合わせ

教育委員会事務局教育部人権教育推進課 

電話番号:(097)537-5651

ファクス:(097)532-8102

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