更新日:2020年9月15日
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わたしとユリ(仮名)は、飲食店でアルバイトをしています。ある日、わたしは一人のお客さんを席まで案内し、注文が決まったら声を掛けるように伝えて、その場を離れました。するとなぜか、ユリはすぐにそのお客さんの所へ行ったのです。
休憩中、わたしはユリに、呼ばれていないのに行った理由を聞きました。ユリは「ヘルプカードをつけていたから、何か困っていませんかと声を掛けたの。弱視だと伝えられたから、メニューの説明をしたのよ」と言うので、「わたしもヘルプカードには気付いていたけれど、どうしたらいいか分からなかったの」と返しました。
ユリが「そうよね。わたしもそうだったの。でも、いろいろあって変わったわ。母がヘルプカードをつけるようになってね。わたしは、外出中に何かあったら心配だから、カードをつけるように薦めていたの。でも、障がいがあることをみんなに知られてしまうし、障がいを説明しても理解してもらえないかもしれないと母はカードをつけることに対して、すごく迷いがあったのよ。それに、周りの人からどう見られるか不安だったみたい…」と話してくれました。ユリは「でも、わたしが心配するから母は、カードをつけてバスに乗ったの。そうしたら『座りませんか?』と声をかけられたって。『カードをつけていてよかった』とすごくうれしそうに言っていたわ。わたしは、母の葛藤や喜ぶ姿を見てきたから、どうしたらいいかいろいろと悩むよりも、とにかくお客さんに聞いてみようと思ったの。だから、自分から声を掛けたのよ」と続けました。
わたしは、ユリの話を聞いて、気付くだけでなく、行動することが大切なんだと感じました。
困りがある人にとって「一番伝えたいことは、一番言えないこと」でもあります。周囲の人の声掛けが、助けにつながることもあるのではないでしょうか?
※ヘルプカードは、内部障がいや難病など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせるためのものです。障害福祉課や保健予防課、各支所で配布しています。