更新日:2023年3月1日
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昨日、体育館で人権・同和教育講演会が行われました。わたしは思わず「めんどくさいなあ。わたしには関係ないし」と考えながら参加したのでした。
講演会では、講師の先生が、自分が被差別部落出身者であることを告げたうえで、自らが受けた差別についてしっかりとした口調で語っていました。それはわたしの予想していた内容とは全く違うものでした。
「結婚を反対されたときは本当につらかった。みんなはつらいとき誰かに相談できるよね。でもね、ぼくは簡単に相談できなかったんだ。一番聴いてもらいたいことが、一番言い出せないことだから…」と語るのです。わたしは部落差別があるという現実に驚き、その結婚差別の話に心をかきむしられたのでした。その後、講師の先生は理不尽な部落差別の解消に向け、自分自身も仲間と共に学び合ったり、自分たちのふるさとの素晴らしさを知ってもらうため積極的に交流活動に取り組んだり、今ではふるさとを胸を張って誇れると話してくれました。
講師の先生の話にすっかり引き込まれたわたしは「すごいなあ」と憧れのような感情を抱いていました。すると講師の先生が「ぼくのふるさとをすてきだなあって思ってくれた人?」と言うのでわたしは迷わず手を挙げ周りを見ると、多くの人が同じように感じていたのでした。すると講師の先生が言うのです。「じゃあ、ぼくのふるさとに住んでみる?」と。
わたしは頭の中が真っ白になり、何も考えられずにいると、講師の先生は優しくゆっくりと語り始めました。「みんなが、結婚差別に怒りを覚えたり、ぼくのふるさとをすてきだと感じてくれたことは本当にうれしい。でも、自分が住むってなった瞬間、自分事として考えたんだよね。大事なのは、ここだよ」と、胸に手を当てるのでした。
自分の中にある差別心に気付き、しっかりと向き合うこと。わたしが変わるきっかけになった講演会となりました。
差別は「する側」の問題であることを認識し、他人事ではなく自分事として受け止めていくことが部落差別をはじめあらゆる差別の解消につながっていくのです。