更新日:2025年6月23日
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「そんな切り方だと時間がかかるよ」休日に参加した手芸教室で、娘の様子にもどかしさを感じ「貸してごらん。お手本を見せるから」と声を掛けると、娘は泣きそうな顔ではさみを渡してきました。わたしが使っても切れず「変ね。全然切れない。これ、壊れているから交換してもらおう」と思わずもらすと、すぐに夫が「それ、もしかしたら左利き専用はさみかもしれないね」とスタッフに持っていき「やっぱり左利き専用だったよ」と娘に新しいはさみを渡しました。
帰宅後「どうして左利き専用だって分かったの?」と夫に聞くと「右腕をけがしたことがあったでしょ?あのとき左手で使ったはさみが右利き専用で、切れなくて困ってね」と。続けて「駅の改札口や急須も左利きにとっては不便で、そのとき初めて気が付いたよ」とも言いました。
夫はさらに「右利きの人が多いから、右利きで暮らしやすいように施設や道具ってできてることが多いよね。だからといって、左利きの人が不便でいいっていうのはおかしいんじゃないかなあ。他のことでも、自分が困ってないから気付きづらいけど、人によっては困ってるって感じることはあるのかも。そんなこと考えたこともなかったけど、あのときの経験でそう思ったんだよね」と続けました。
わたしは、夫の話を聞きながら、会社で取り組んでいるホームページの見直し作業を思い出していました。文字の色やサイズ、多言語表記、音声読み上げ機能…漠然と指示されるがままに作業していたけれど、本当の目的や意味が分かりました。その気付きを夫にも伝えて「仕事でも何でも、そういう視点を持ってやっていきたいな」と話すと、夫は「そうだね」とうなずきました。
多数の側にいると、少数の側の困っていることに気付きづらいことがあります。さまざまな立場の人との交流を大切にしてみませんか。