更新日:2025年7月25日
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家を出るとき「しっかり勉強しておいで」とおばあちゃんに声を掛けられた。今日は平和授業の日だ。
帰宅後、「授業はどうだった?」と聞いてきたおばあちゃんに「別に…」とだけ答えてリビングのソファに寝転がりテレビをつけると、戦争体験を語り継いでいる人が出ていた。そばにいたおばあちゃんが突然「戦争を体験した世代の人が少なくなっていくねぇ」と寂しそうにつぶやいた。何の気なしに「おばあちゃんも戦争のこと知ってるの?」と尋ねたぼくに「戦争の話をしたことなかったね」と言い静かに話し始めた。
空襲警報の大きな音のこと、お姉さんに背負われて逃げたこと、防空壕(ごう)は狭くて薄暗くて怖かったこと、時々食べる焼き芋が甘かったことなどを幼かったけど記憶に残っていると話してくれた。そして、今は毎日安心して生活できることに感謝していると話すおばあちゃんの顔を見ていたら、泣きそうになるのを我慢するのが精いっぱいで何も言えなかった。
夕食後、リビングのテレビでは紛争が続く地域で、がれきの中にぼうぜんと立ち尽くす人々、避難所で身を寄せ合うこどもたちの映像が流れていた。画面の中の光景が昼間のおばあちゃんから聞いた話と重なった。
その映像を見ているおばあちゃんの横顔は本当に悲しそうで、自分には関係ないと思っていたことが、今日は、とても身近なことに感じた。
おばあちゃんがぼくに話してくれたことや、そこに込められている願いをこれから先ずっと覚えておきたいと思った。
平和への願いを未来へつないでいくために、戦争や紛争について考えてみませんか?