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更新日:2024年8月27日

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No.549「誰もがその人らしく」

半年ほど前から父に認知症の傾向が表れてきました。現実を受け入れられないわたしは「なぜ父が…。きっと何かの間違いだ」と自分に言い聞かせていましたが、次第に家族の名前を間違えるなど傾向は明らかになってきました。そのたびに「しっかりしろよ」と強く言いながらも「何かあってからでは…」という心配と「周りに迷惑はかけられない」という思いから、父が一人で遠くへ行かないよう気を付けていました。
ある日のこと。インターホンが鳴り、画面には隣人と父が映っていました。慌てて玄関を開けると隣人から「植木の水やり中に『わたしの家はどこかな?』と尋ねられたので、一緒に来ました」と教えられたのです。わたしがお礼を伝えると隣人は「それより、しばらくお父さんを見なかったから心配してたんですよ」と言い、帰っていきました。
それから数日後、再び隣人が訪ねてきて「今、旅行から帰ってきたの。この前、お父さんと約束してたから一緒に食べて」とお土産を渡されました。
恐縮するわたしに隣人は「実は、家族に一人旅は止められたんですよ。歳を取ったからか、以前と比べるとできなくなったり、時間がかかったりすることも増えたので。でも、行ってよかったです。人と関わったことで、元気をもらい、また何かをやってみたいという気持ちが湧いてきましたから」と言うのです。はつらつとした隣人をうらやましく思っているわたしに「そう言えば、この前お父さんも『旅行に行きたいなあ。でも、今の自分の状態や家族のことを思うと…』と言ってましたよ」と教えてくれ、隣人は帰っていきました。
父の思いを知り、お土産に喜ぶ父を見ながらわたしは、本人の気持ちを聞くこともなく、自分の心配や不安ばかりを解消しようとしていたことに気付いたのです。
わたしが久しぶりに散歩に誘うと父は「よし、行こう」とうれしそうに言いました。散歩中の父はすれ違う人にあいさつをしたり、わたしに昔の話を聞かせてくれたりと、いつになく元気な様子でした。大分市人権イメージキャラクター「ナビー」

 

誰もが生きがいを持って生活するためには、一人ひとりが相手の思いや願いを理解し、尊重することが大切ではないでしょうか。

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教育委員会事務局教育部人権教育推進課 

電話番号:(097)537-5651

ファクス:(097)532-8102

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