更新日:2023年4月1日
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この春、新入社員の指導担当になったわたしは、自分が入社したときのことを思い出しました。
入社二日目。わたしは朝早く出社し、コーヒーを入れている間に、机を拭いたり、床掃除をしたりしました。
出社した先輩から「おはよう。早いね」と声を掛けられ、「はい!新人だから早く来て、湯茶準備と掃除をしてました」と張り切って答えました。すると、先輩は「そうか、ありがとう。でも実は、毎朝コーヒーは課長が入れてくれるんだ。豆や入れ方にこだわってるからおいしいよ」と言うのです。先輩の話に驚いていると、出社した課長が「あれ、今日は入れてくれたんだ。ありがとう」と言いながらコーヒーを配り始めたのです。慌てて「わたしがやります」と伝えたら、課長は「じゃあ、一緒にやろうよ」と言い、その場にいたみんなで配ったのです。
始業後、先輩は「今朝はごめんな、伝えてなくて。掃除も当番制だから、わざわざ早く来て一人でやらなくていいからね」と言うのです。
「はい。でも、お茶は…」と返すわたしに、先輩は「俺もみんなも以前は同じように思ってたんだ」と言い、「でも、誰だって得意、不得意があるし、時には忙しくてできないこともあるだろ。だから、お互い声を掛け合っていこうって決めたら、こんなふうに助け合い、協力し合えるようになったんだ。仕事も含め職場のことはみんなでやろうよ。そう言えば、パソコンが得意だって聞いたよ。俺は苦手だから教えてね」と続けました。
それから数日間、職場の様子を見てみると、来客にお茶を出す男性や大きな荷物を運ぶ女性、「代わるよ」「手伝うよ」と声を掛ける職員の姿があり、わたしは「すてきな職場だな」と思ったのでした。
あれから数年。わたしは「お互いに協力して、居心地のいい職場にしましょうね!」と新入社員に言葉を掛けるのでした。
「○○だから」といった固定的な役割分担によって、生きづらい思いをしている人はいませんか?一人ひとりの中にある思い込みや決めつけを見つめ直すことから、豊かな関係は築かれるのです。