更新日:2025年8月1日
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第30週(7/21~7/27)の百日咳患者報告数は49人でした。
2024年の年間報告数は3件でしたが、2025年はすでに307件となっており、2018年に統計を開始してから以降最大となっています。
百日咳とは、百日咳菌の感染によって起こる、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性の気道感染症です。
いずれの年齢でも感染しますが、小児に多くみられます。母親からの免疫が十分でない場合、乳児も感染する可能性があります。特に新生児や乳児期早期では重症になり、肺炎、脳症を合併し、まれに死に至ることもあります。
経過は3期に分けられ、全経過で約2~3カ月で回復するとされています。
1. カタル期(約2週間持続):かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。
2. 痙咳期 (カタル期の後に約2~3週間持続):次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。夜間の発作が多いですが、年齢が小さいほど症状は多様で、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(唇、爪や皮膚の色が紫色に見えること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。合併症としては肺炎や脳症などもあり特に乳児では注意が必要です。
3. 回復期:激しい咳発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなります。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。約2~3カ月で回復します。
鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染や、感染者と接触したりすることによる感染(接触感染)とされています。
生後6カ月以上は、抗菌薬による治療が検討されます。また、咳が激しい場合には咳止め等の対症療法が行われることがあります。
標準的な抗生物質が効かない百日咳が一部報告されています。抗生物質による治療を行っても症状が悪化する場合は、主治医にご相談ください。
百日咳の予防には、予防接種が有効です。
百日咳ワクチンを含む接種は、わが国を含めて世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減しています。しかし、ワクチン接種を行っていない人や接種後年数が経過し、免疫が減衰した人での発病はわが国でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生しています。
流水と石けんによる手洗い、アルコール消毒、咳エチケットなど基本的な感染対策も大切です。
大分市では、子どもの定期予防接種を市内指定医療機関において無料で実施しています。
子どもの定期予防接種の種類と対象年齢について(別ウィンドウで開きます)
百日咳は、学校保健安全法において、特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗生物質による治療が終了するまで出席停止となっています。
医師の方は、対象の感染症の診断を行った際に、届出様式により最寄りの保健所に届け出てください。