腸管出血性大腸菌感染症(O157等)に気をつけましょう
腸管出血性大腸菌感染症とは
通常の大腸菌は、家畜や人の腸内に存在し、ほとんどのものは無害です。しかし、大腸菌の中には食中毒などの原因になるものがあり、これらを総称して病原性大腸菌と呼んでいます。病原性大腸菌のうちO1、O26、O111、O128、O157などは腸管内でベロ毒素という出血性下痢の原因となる毒素を作るため、「腸管出血性大腸菌」と呼ばれます。O157はそれらの中で最も代表的な菌です。
腸管出血性大腸菌は、本来動物の腸管内に住む菌ですが、家畜や感染者の糞便を通じて汚染された食品や水などの飲食で、人にも感染します。
主な特徴
- 強い感染性
サルモネラ菌などは100万個以上が体内に入らないと感染しませんが、O157等の腸管出血性大腸菌はわずか100個足らずでも感染します。食物にごく少量ついていても感染しますし、タオルの共用や入浴などにより人から人へ感染することがあります。
- 強い毒性
この菌は大腸で増殖する際に、『ベロ毒素』と呼ばれる猛毒を作り出します。そのため、特に抵抗力の弱い5歳未満の乳幼児や高齢者には、腎臓や脳などに重い障害を生じさせることがあります。
- 長い潜伏期間
菌に感染してから症状が出るまで(潜伏期間)が3~8日と長く、感染源を特定しにくいのが特徴です。
気になる症状があった場合は
主な初期症状
- 鋭い腹痛
- 水のような下痢
- 鮮血のような血液の混ざった下痢
- 発熱や吐き気
- 1)医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう
腸管出血性大腸菌感染症は、無症状のものから軽い腹痛・下痢のみで終わるもの、重篤な合併症を起こすものまでさまざまです。また、症状から腸管出血菌大腸菌感染症と判断することはできません。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 2)下痢の時には水分の補給をしましょう
下痢で体内の水分が不足すると、脱水症状を起こすことがあるので注意が必要です。
- 3)自己判断で下痢止めなどを飲むのはやめましょう
下痢止めを飲むことで、毒素が体内に留まってしまうことがあるので、自己判断で下痢止めなどの市販薬は飲まないようにしましょう。
感染を防ぐために
腸管出血性大腸菌は家畜や感染者の糞便を通じて排出され、菌が口から入ることで感染します。予防のためには食べ物や水、手などを介して、菌が口の中に入らないようにすることが大切です。
- 1)手をよく洗いましょう
- 外出した後、動物に触った後、トイレの後、食事・調理の前、生肉を触った後など、こまめに手を洗いましょう。
- 水だけでは細菌やウイルスはなかなか落ちません。石鹸を使いましょう。
- 患者さんとのタオルの共用はやめましょう。
- 2)食品の保存、運搬、調理にあたっては、衛生的に取り扱いましょう。
- 生ものはわずかな時間でも冷蔵庫に入れましょう。
- 食品はよく洗い、生ものは早めに調理しましょう。
- 肉などは、できるだけ野菜類と同じまな板を使わないようにしましょう。
- 食材ごとに調理用具をよく洗い、使用後の調理用具は熱湯か漂白剤などで消毒し、乾燥させて保管しましょう。
- 3)十分に加熱しましょう。
- 食肉やレバーなどは十分に加熱してください
(中心部の温度が75℃・1分以上で菌は死滅します)
- 焼肉などの際は、生肉を扱う箸と食べる箸を別々にしましょう。
- 特に抵抗力の弱い子どもに、よく焼けていない肉を食べさせないようにしましょう。
外部リンク