市長講演 令和7年6月6日 大分まちづくり研究会
- 日時:令和7年6月6日(金曜日)正午~午後1時
- 場所:トキハ会館 ローズの間
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講演における主な補足発言要旨
- 本市では、平成10年に発覚した官製談合事件を受けて、当時の入札・契約制度を見直し、同年10月から試行的に工事案件に限り予定価格の事前公表を行い、以降継続して実施しています。一方、工事以外の業務委託案件につきましては、引き続き予定価格を非公表としていました。令和7年2月に発覚した官製談合事件を受け、この部分に不正が生じる余地があったのではないかと考え、同年4月から工事以外の予定価格についても事前公表することで今後の再発防止を図っています。
- 本市では、これまで特定の団体(部落解放同盟大分地区)に対して、国民健康保険税の減免措置、市営住宅への優先入居など、収入に関わらず特別な配慮を行っていました。たとえば、国民健康保険制度では、所得に応じて均等割・所得割が定められ、収入の少ない世帯には減免制度が設けられていますが、これとは異なり、収入の有無にかかわらず減免措置を講じていました。これらの配慮は、公平性に反するとの判断から廃止することを決めました。
- 本市では保育所等における未入所児童の解消を進めておりますが、これまで一部の児童に対して、通常の入所選考を経ることなく、特例的に入所を認めていた事例がありました。こうした運用は、制度の公平性を損なうものであり、今後は他の市民と同様に通常の手続きによる選考を行う方針といたしました。
- 私が市長になる前に皆様にお示ししたローカルマニフェスト(政策集)には、68の項目が記載されています。そのうち、実施済みや方向性を定めたものが66項目です。それらを含め、令和7年度当初予算までのこの2年間で124の新規事業、59の拡充事業を実施しています。
- 新たな事業等を進めるに当たり、大事な点は財源の確保です。この2年間で取り組んだ行政改革の効果額として、歳入の「増」と歳出の「減」で、令和5年度が29億円、令和6年度は22億円、合計で51億円を超えています。
- 大分市救急医療電話相談(♯7119)を令和6年10月から実施し、3月末までの6か月間で相談件数が7,500件を超えています。このうち医療機関の受診や救急車の出動が不要だったのは全体の約4割でしたので、導入の効果はあったと考えています。
- 現在、国による幼児教育・保育の無償化により、3歳から5歳児の保育料はすでに全世帯に対して無料となっておりますが、保護者の就労と子育ての両立が最も大変なのは、0歳から2歳の時期だと思っています。そこで、大分市では保育料を第2子以降の0、1、2歳まで無償にしました。
- 本市では、生活習慣病予防の観点から、小学校5年生を対象とした任意の血液検査を実施しており、現在9割以上の児童が採血を受けています。この採血の機会を活用し、希望する方へのピロリ菌の検査を開始しました。これは、胃がんのリスクを早期に把握し、将来の発症を防止することを目的としています。陽性と判定された児童については、内視鏡検査の後、除菌治療を行える年齢になるまで、しっかりとフォローアップする体制を整えています。
- 私が市長に就任した2年前、「児童生徒のストレスをどう捉えるか」という視点から議論を進め、さまざまな手法を各学校で試みてもらいました。その中の有効な策をまとめて「スロースタートプログラム」として実施しました。特に中学1年生に見られる4月の急激な環境変化──教室移動型の授業形態、部活動の開始など──が子どもたちの心理的負担となっている点に着目し、徐々に登校・学校生活に適応できるよう、4月の授業時限数を少なくする、部活動の選択時期を5月末まで延ばす等々の取組をしました。その結果、全国的には不登校が増加する中で、本市における中学生の不登校者数は前年比で98人減少し、本取組には有効性があると考えています。引き続きこの取組を継続することと、新たな取組の1つとして、令和7年度は小・中学校における2学期のスタートを9月1日へと延ばしました。
- 国において給食費無償化の議論が進む中で、仮に制度化される場合は小学校から実施される可能性が高いと見込んでいます。また、文科省の調査によると公立小学校と中学校の子どもの1年間の学習費総額には、19万円の差があります。それらを踏まえ、私は市立中学校の給食費から無償化をいたしました。
- これまで本市の保育所等において、使用済みおむつの処分方法については、保護者が持ち帰る場合や園側で処理する場合など、各施設で異なっていました。保護者や保育士の皆さんの負担軽減を図るため、使用済みおむつを市内すべての保育所等において処分できるよう支援しました。
- デジタル社会に向けて、医療・介護のDX化は欠かせません。本市では、特に要介護認定の迅速化に向けた取り組みを進めております。これにより、申請から認定までの期間短縮を図り、必要な介護サービスをより早期に提供できる体制の構築を目指しています。
- 大分市は製造品等の出荷額が九州ダントツ1位、3兆8,600億円なので、そのことを市民の方に広く知っていただくことと、市内経済をけん引する臨海部の工場群による脱炭素の取組も理解していただこうと工場夜景クルーズを実施しています。
- アーバンスポーツは、昔は「迷惑施設」などと言われることもありましたが、今では都市機能の一つとして評価されています。都市の新たな魅力の創造に向け、今年の9月6日に大分市中心部で、九州大会レベルのスケートボード大会を開く予定です。
- 大分駅の南側の「大分いこいの道」には芝生広場が整備されており、多くの市民に親しまれております。一方で、駅北側においては、同様の緑地空間がありませんでした。そこで、今年、若草公園の芝生化に取り組み、憩いの空間としての機能を高め、中心市街地の活性化を図ります。
- 里帰り出産家庭支援事業をはじめた背景には、進学や就職などで都市部へ転出した若い女性が、その後なかなか地元に戻ってこないということです。特に高校生の時点では、大分市の魅力や暮らしやすさに十分に触れることなく転出し、結果として都市部に定住することが少なくありません。そうした中で、「里帰り出産」のタイミングは、大分市の子育て環境や地域とのつながりを再認識していただく貴重な機会であると考えたことです。
- 不登校対策支援事業ですが、先ほどの取組は不登校の予防についてです。一方で、すでに不登校となっている児童生徒への支援も重要で、今年度からは、仮想空間、いわゆる「メタバース」を活用した新たな仕組みにより、しっかりと学習支援や個別相談等を行います。
- 大分市内に、県立及び市立美術館やアートプラザなど、複数の芸術文化施設がある一方で、博物館・科学館はないため、市民の皆様からこれを望む声が多数寄せられています。市民が科学に興味を持つきっかけとするとともに、科学館設置に関する気運醸成のため、「科学体験イベント実施事業」を夏休みに開催いたします。
- 退職金制度を設ける中小企業へ補助をしております。国会で、年金制度の見直しに関する議論が進んでおり、特に小規模事業者においては、事業主が負担する社会保険料の増加が見込まれ、経営的な影響は少なくありません。近年の若年層においては福利厚生の充実を重視する傾向があり、中小企業においては、人材確保に向けて、待遇改善や制度整備が求められています。本市といたしましても、可能な限りの支援をしてまいります。
- 福利厚生の充実に関して、まだ十分でないと感じている中小企業の方々もいらっしゃるかと思います。そうした企業においては、「大分市勤労者サービスセンター」への加入をご検討いただければと思います。慶弔給付金をはじめ、宿泊・レジャー施設の割引利用、健康診断や各種相談サービスなど、多岐にわたる福利厚生サービスが用意されています。
- 残り任期2年を切る中、特に今年は野津原・佐賀関の合併20周年であることを踏まえ、「合併して良かった」と市民の皆様に実感してもらいたい。その施策の一つとして、両地域については、交流人口の拡大が重要だと考えています。
- 大南地区は合併から60年以上を経て、今年は大南地区スポーツ施設ができますし、新環境センターの整備も進みます。水素を製造できる施設とする予定ですので、将来的には、エネルギー供給拠点となることを目指したいと考えています。
- 次の2年間は、大分市の中心市街地をどうしていくかを検討します。街中の歩行者数が33万人と、前年比で3割増えました。空き店舗率は9ポイントと、前年から2ポイント弱、低下しています。今後は、大分駅北側に位置する22街区・54街区という市有地を活用し、県都大分市の顔となるようなグランドデザインを任期中に示したいと考えています。
- 市営陸上競技場は日本陸上競技連盟の第2種公認陸上競技場ですが、2028年2月にその公認の期限を迎えることを踏まえ、施設の今後の在り方について現在検討しており、今年度中に方向性を定める予定です。その後に、市民の意見も踏まえて、22街区・54街区の活用も含めた中心市街地のグランドデザインを具体化したいと考えています。

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