地域福利増進事業
背景
人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景に、土地所有者の探索を行っても、所有者がわからない土地(=所有者不明土地)が全国的に増加し、今後も増加の一途をたどると予測されています。所有者不明土地は、公共事業の推進等のさまざまな場面において、所有者の特定等のため多大なコストを要し、円滑な事業実施への大きな支障となっています。こうした状況を背景に、平成30 年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)が成立し、公共的な事業を実施しようとする方からの申請を受けて都道府県知事が裁定することにより所有者不明土地に土地使用権を設定することを可能とする地域福利増進事業が創設されました。
地域福利増進事業とは
- 地域福利増進事業とは、所有者不明土地を、公園の整備などの地域のための事業に利用することを可能とする制度です。都道府県知事の裁定により、所有者不明土地に10 年間(一部事業は20年間)を上限とする土地使用権を設定して、利用することを可能とします。
- 地方公共団体だけでなく、民間企業、NPO、自治会、町内会等でも都道府県知事に裁定を申請し、土地使用権を取得して事業を行うことができます。その地域外の方でも実施することができます。
- 土地使用権の対象となる土地は、所有者不明土地であって、現に建築物が存在せず(小規模な物置等は存在しても構いません。)※1、使われていない土地(=特定所有者不明土地)に限られますが、事業で利用する土地は、特定所有者不明土地のみである必要はなく、所有者が判明している土地も含めて事業を行うことができます。
※1.令和4年11月1日からの法改正に伴い、小規模な物置等だけでなく、「朽廃建築物」がある場合も対象となるよう制度拡充されました。
- 事業の実施に当たっては、まず、土地所有者の探索を行います。地域福利増進事業の実施の準備のためであれば、本法で新しく認められた効果的な探索手法をとることができます。所有者が全員判明すれば、裁定を申請することなく、通常どおり、所有者から土地を買ったり借りたりすることで、事業を実施することができます。
- 必要な探索を行っても所有者がわからない場合は、事業計画の作成や所有者に支払う補償金(=土地の使用の対価)の見積りなどを行った上で、都道府県知事に裁定を申請します。
- 申請に必要な書類の作成等に当たっては、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、弁護士、土地家屋調査士、補償コンサルタント等の専門家の協力を得ながら進めることが有効です。
- 裁定を受けることができれば、補償金を供託することで所有者不明土地の土地使用権を取得することができます。事業終了後は、原則として所有者不明土地を元の状態に戻して(原状回復して)返す必要があります。
- 使用に当たって必要となる費用としては、所有者探索の費用、専門家に業務を委託する費用、裁定申請の手数料、供託する補償金、原状回復の費用等が想定されます。
- 土地使用権の存続期間の満了後も事業を実施したい場合には、存続期間の延長を申請することも可能です。
(参考)
地域福利増進事業パンフレット(PDF:4,263KB)
その他
詳しくは、国土交通省ホームページ「不明土地問題に関する最近の取組について」(別ウィンドウで開きます)で御確認ください。