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更新日:2025年6月9日

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「響きあう絵画 宮城県美術館コレクション カンディンスキー、高橋由一から具体まで」-中-ドイツ語圏作家の作品紹介

  宮城県美術館のコレクションのもうひとつの魅力は、カンディンスキーやクレーなど、ドイツ表現主義の作家による作品です。これらは日本ではなかなか見ることができない貴重なコレクションです。
  本展のタイトル「響きあう絵画」は、画家カンディンスキーが芸術の本質と考えた「内なる響き」からとっています。カンディンスキーは、ロシアに生まれミュンヘン美術アカデミーで絵画を学びました。自然を再現するのではなく、かたちと色、そしてその響きあいによって、鑑賞者の心を動かそうとしたカンディンスキーは、抽象絵画の先駆者のひとりとされ、1911年には自身の抽象絵画論をまとめた『芸術における精神的なもの』を刊行しました。


カンディンスキーやクレー

ヴァシリー・カンディンスキー《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》1914年
ヴァシリー・カンディンスキー「『E.R.キャンベルのための壁画No.4の習作』(カーニバル・冬)」=1914年

  本展で紹介する《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》(1914年)は、カンディンスキーの初期抽象絵画のうちの1点です。本作は、ニューヨークの企業家からの注文で制作された壁画の、完成作に近い習作です。画家自身はタイトルをつけておらず、タイトルの「カーニバル・冬」は、後世の研究者が四季図と解釈したためにつけられたもの。本作には四季図とは無縁の舟や虹といったキリスト教の終末論にまつわるモチーフが隠されています。
  その後、1922年、カンディンスキーは招聘されてバウハウスの教授となりました。そこで、カンディンスキーが最初に取り組んだのが、本展で紹介する版画集『小さな世界』です。同版画集は、石版、木版、銅版が用いられ、それぞれの技法特徴を活かしながら、一枚一枚に小さな世界を表現しています。


ヘルマン・マックス・ペヒシュタイン《パイプ煙草を吸う漁師》1909年
ヘルマン・マックス・ペヒシュタイン「パイプ煙草を吸う漁師」=1909年


  本展では、以上のような、カンディンスキーの作品に加え、カンディンスキーのバウハウス時代の同僚であり友人であったパウル・クレーの作品や、同時期に活躍したドイツ表現主義の芸術家グループ「ブリュッケ」に所属していた、マックス・ぺヒシュタインによる作品、そして19世紀末ウィーンを代表する画家エゴン・シーレの作品など日本では目にする機会の少ないドイツ語圏の作家による作品を紹介します。日本の近代洋画からドイツ表現主義の絵画まで、「少し遠いところからやってきた名品たち」をぜひお楽しみください。

(大分市美術館学芸員 後小路萌子)

∇観覧料は一般1,200円、高校・大学生900円、中学生以下無料。


大分合同新聞 2025年5月30日(金曜日)朝刊 掲載

お問い合わせ

教育委員会事務局教育部美術館 美術振興課 

電話番号:(097)554-5800

ファクス:(097)554-5811

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