ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 文化 > 展覧会情報 > みどころ案内 > 令和7年度(展覧会) > 「Meet Bamboo! 丘の上のコレクションと竹との出会い」竹工芸、海外から熱いまなざし◆上◆
更新日:2025年10月10日
ここから本文です。
大分市上野の市美術館と同市荷揚町の複合公共施設コモンスペースでは「Meet Bamboo!」展(大分合同新聞など主催)が3日から開かれる。11月16日まで。市美術館の学芸員が見どころを紹介する。
(3回続き)
✕ ✕ ✕
竹工芸は今、大分から世界へと羽ばたこうとしています。
かつて、一大産地として名をはせ、人間国宝・生野祥雲斎を生んだ大分の竹工芸。日用品としての需要が減る中でも、竹工芸の作家たちはその制作活動を絶やさず、新たな活路を見いだしています。その答えの一つが、海外から美術品として向けられる熱いまなざしです。
当館が実施する「MEET BAMBOO PROJECT OITA JAPAN」が、東京国立博物館などと並び、全国でわずか4件の文化庁助成事業に選ばれました。その背景の一つとして、海外から寄せられる高い関心が挙げられるでしょう。
そこで、海外への発信が主眼の一つである、このプロジェクトの第一弾の取り組みとして、県内で活躍する、次世代の竹の工芸家や芸術家6人(青柳慶子、池将也、木崎和寿、近藤雅代、谷口倫都、長谷川絢)を育成対象者に選出しました。市美術館のコレクションを創作の源泉とした挑戦的な新作に取り組んでもらうとともに、その新作の展覧会を企画するためです。
ある作家は幾度も来館し作品との対話を重ね、別の作家は異素材との組み合わせに取り組むなど、それぞれが約1年をかけて作品を作り上げていきました。絵画的な表現に取り組んだ逸品や、社会問題に切り込む作品など、挑戦的な作品が完成しています。今回制作した作品が、数年後には海外の著名な美術館で展示されるという可能性も見据えています。
彼らの表現に呼応して、2人の異なるジャンルのアーティストも本展に参加します。1人目は、映像作品を制作する諫山元貴です。竹を素材とする作家、長谷川絢とともに、1つの空間を作り上げました。彼らはこのコラボレーションを「Un-being」=「存在しない存在」と名付け、諫山が空間に合わせて作った映像を背景に、長谷川の作品が天井から、床からと、まるでどこからから生み出されたように展示されています。
長谷川絢の竹の作品と諌山元貴の映像作品=大分市の荷揚町の複合公共施設コモンスペース
2人目は、コンテンポラリーダンサーの穴井豪です。穴井は、竹の作家たちのコンセプトに耳を傾け、19日に、竹の奏でる音や即興を交えた15分と60分の魅惑に満ちたパフォーマンスを行います。
大分の地から、伝統と現代をつなぎ、未来へと広がる竹の可能性を世界に示す、そのスタートともいえる展覧会にぜひご期待ください。
(大分市美術館学芸員 曽我俊裕)
▽市美術館の観覧料は一般千円、高校・大学生700円、中学生以下無料。市荷揚複合施設コモンスペースは入場無料。
大分合同新聞 2025年10月3日(金曜日)朝刊 掲載
Copyright © OITA CITY. All Rights Reserved.