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更新日:2025年4月25日

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特別展「迷路とお城で遊ぼう!香川元太郎絵本原画展」

大分市美術館で「香川元太郎展」

  大分市上野の市美術館で「迷路とお城で遊ぼう! 香川元太郎迷路絵本原画展」が開かれている。5月11日まで。同館学芸員が見どころを紹介する。
イラストレーター・絵本作家として活躍し、昨年末に惜しまれながら逝去した香川元太郎さん(1959~2024)の迷路絵本と歴史考証イラストの展覧会です。
  香川さんは愛媛県出身で、中学生の頃から城マニアとなり、敵から城を守る仕掛けや、その通路の複雑さなどに興味をもったそうです。武蔵野美術大学で日本画を専攻し、舞台装飾の仕事を経て、城などの歴史考証イラストを描くイラストレーターとして独立しました。
  歴史雑誌の連載で、大分の城も多く描いており、本展では中津城、日出城、府内城、岡城、佐伯城のイラスト原画を展示しています。特に岡城は急峻な崖上に並ぶ石垣や櫓などを鳥瞰図の形式で描いており、代表作のひとつです。
  香川さんといえば、累計330万部を発行し、世界中の子どもに親しまれている「迷路絵本」シリーズも著名です。本展でもその原画約60点を展示しています。昆虫、宇宙、乗り物などさまざまなテーマの迷路があり、迷路を楽しむ中で描かれたモチーフについて学ぶことができます。また、その迷路1枚ずつに巧妙な「仕掛け」が含まれていることが、作品の特徴です。 たとえばかくし絵を見つけたり、クイズがあったりと、さまざまな楽しみ方ができます。迷路から目を離すと、日本画家でもあった香川さんらしく、細い線で色鮮やかに描き込まれた精緻な画面が広がります。
  本展では、最新作にして遺作となった「お城の迷路」(PHP研究所)の原画を初公開しています。日本のみならず世界中の城を描いた、香川さんの集大成ともいえる作品です。
  こどもから大人まで楽しめる迷路絵本と歴史考証イラストの世界、作品に没入する楽しさをぜひご体感ください。
(大分市美術館学芸員  曽我 俊裕)


∇観覧料は一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。子ども同伴割引あり。20日午後1時30分から歴史ライターの山上至人氏による講座が開かれる。25日午後2時、26日午前11時からは、迷路絵本の共同制作者で娘の香川志織さんによるギャラリートークもある。いずれも要観覧料。当日先着順。

岡城

岡城=2015(平成27)年

大分合同新聞 2025年4月18日(金曜日)朝刊 掲載

「香川元太郎絵本原画展」

登場人物になったような臨場感

  大分市上野の市美術館で「迷路とお城で遊ぼう! 香川元太郎迷路絵本原画展」が開かれている。5月11日まで。宇都宮壽館長の寄稿を紹介する。
  香川さんの作品は、おもちゃ、動物、鉄道など、さまざまな題材が画面いっぱいに描かれており、それらが迷路や隠し絵、クイズの仕掛けとして構成されています。また、精緻な歴史考証に基づいた城のイラストなどもあり、子どもから大人まで、まるで絵の中の登場人物になったような臨場感を味わうことができます。
  本展では、迷路図約60点、歴史考証イラスト約60点、あわせて130点以上が展示されています。そのひとつひとつに、細部まで丁寧に描き込まれた世界が広がっており、絵を見る人を物語の中へと誘います。
  こうした作品は、見る楽しさを超えて、子どもたちの「主体的に学ぶ力」や「探究的な思考」を育むきっかけにもなり得ると感じます。たとえば、絵の中に登場する魚や植物、乗り物などから、自然と知識や関心が広がり、迷路や隠し絵といった仕掛けが、ただ眺めるだけでなく「絵をじっくり観察する」という能動的な鑑賞行動を促します。
  私自身、過去に企画した「朝倉文夫生誕140周年記念 猫と巡る140年、そして現在」において、子どもから大人まで楽しめるよう、鑑賞ワークシートを制作しました。その際、教育普及担当者のアドバイスをもとに、「会場の猫の作品すべてと目を合わせてみよう!」という文言を冒頭に加えました。すると、参加者は自然と作品に視線を向け、設問を追うだけではなく、自ら観察し、考えながら鑑賞するようになりました。
  香川さんの作品にも、まさに同じような「鑑賞の仕掛け」が随所に施されています。香川さんが迷路図を描き始めたのは、幼い息子に頼まれ、描いてあげたことがきっかけだったそうです。その時の喜ぶ姿を見て、「迷路は永遠に尽きない遊びだ」と確信したといいます。
  春の陽気が心地よいこの季節、この機会にぜひ、香川元太郎の作品世界を体感しながら、能動的な鑑賞の楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。

▽観覧料は一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。子ども同伴割引あり。あす午後1時30分から歴史ライターの山上至人氏による講座が開かれる。25日午後2時、26日午前11時からは、迷路絵本の共同制作者で娘の香川志織さんによるギャラリートークもある。いずれも要観覧料。当日先着順。

新幹線の駅

香川元太郎 《新幹線の駅》『乗り物の迷路』より(2013年)

 

大分合同新聞 2025年4月19日(土曜日)朝刊 掲載

お問い合わせ

教育委員会事務局教育部美術館 美術振興課 

電話番号:(097)554-5800

ファクス:(097)554-5811

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