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更新日:2026年2月9日
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大分市美術館「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグリンドベリ展」
大分市美術館(同市上野)で「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグリンドベリ展」が開かれている。担当学芸員が見どころを紹介する。
鮮やかなグリーンの葉模様があしらわれたコーヒーカップやティーカップ。どんな食卓に並べても、洗練された、しゃれた雰囲気を生み出してくれるデザイン《ベルサ》は、作者のスティグ・リンドベリ(1918-82)の名は知らずとも、見覚えのある方が多いのではないでしょうか。

[ベルサ]シリーズ、[LL]モデル/ディナーセット 1957年/モデル、1960年/装飾(c)Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
リンドベリは20世紀北欧を代表する芸術家、工業デザイナーです。スウェーデン北部、ベルサの葉のモチーフともなった白樺の街・ウメオに生まれ、21歳で歴史ある陶磁器メーカー グスタフスベリ に勤務。独創的なアイディアの下、テーブルウェアを中心にアートピース(芸術作品)、テキスタイルやイラストレーションなど、幅広い分野で活躍しました

Foto:Nationalmuseum arkiv
軽やかな遊び心貫く表現
彼のデザインの魅力は、生き生きとした躍動感と確かな造形力にあります。カップを彩る花や鳥の、明るく大胆な色彩、ファイアンス(錫釉陶器)に描かれた華やかな人物像、円筒や円錐の花器を覆うスタイリッシュな幾何学模様、白一色の美しい流線形のアートピースまで、その表現は多彩ながら、軽やかな遊び心に貫かれています。そこには北欧デザイン特有のシンプルさを超えた、陽気でのびやかな彼の個性が息づいています。
こうした豊かな造形表現はまた、リンドベリが重視した、日常の道具としての「使いやすさ」に分かちがたく結びついています。大きさや重さ、口当たりの良さ、収納しやすい形状、扱いやすい素材など、実用性・機能性に配慮しながら、同時にそうした日常の器の美しさこそが、生活する上での歓びを生み出すー彼はその信念を、シンプルなコーヒーカップ、皿や花器に体現しました。
さらにリンドベリは、日本の工芸や美意識にも深い関心を寄せました。生活道具に宿る「用の美」を掲げた「民藝」はもちろん、陶芸を現代美術に昇華した前衛集団「走泥社」の試みにも注目、交流や収集を行っています。深みのある釉薬、家紋の意匠に触発された絵付けなど、日本の造形文化は、彼のデザインに独自の奥行を与えました。
1959年の来日時、若き芸術家たちに向け「古いとか新しいとかでなく、真実であるかどうかがデザイナーにとって最も重要」と語ったリンドベリ。その言葉のままに、会場に並ぶ約300の作品は、半世紀を経た今もなお、タイムレスな輝きを放っています。
(大分市美術館学芸員 野田 菜生子)
▽会期は15日まで。観覧料は一般1,200円、高校・大学生900円、中学生以下無料。月曜休館。
大分合同新聞 2026年2月6日(金曜日)朝刊 掲載
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