更新日:2024年12月5日
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「受動喫煙」とは、たばこを吸わない人でも、他者のたばこの煙を吸わされてしまうことをいいます。
喫煙者が吐き出した「呼出煙」とたばこから立ち上る「副流煙」にも、多くの有害物質が含まれています。
煙に含まれる発がん性物質などの有害成分は、喫煙者が直接吸い込む主流煙より副流煙に多く含まれているものがあり、受動喫煙による健康への影響は深刻です。
2016年8月に国立がん研究センターから、受動喫煙により日本人が肺がんになるリスクはその影響のない人の約1.3倍になることが発表されるなど、受動喫煙のリスクは科学的にも証明されています。
さらに受動喫煙は、子どもの呼吸器疾患や中耳炎、乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こすことが指摘されています。また、妊婦やその周囲の人の喫煙によって低出生体重児の出産や早産のリスクが上昇するとされています。
〈喫煙する人の周りの人がなりやすいがん)
※レベル1 科学的根拠は、因果関係を推定するのに十分である
※レベル2 科学的根拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない
出典 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターホームページ「がん情報サービス」
たばこの煙の到達距離は直径14mの円周内(約95畳)と広い範囲におよびます。
また、たばこの煙の粒子は1ミクロン以下と非常に小さく、見えていなくても空気中に浮遊しています。たばこの臭いがしたらもう有害物質を吸っている(吸わせている)という意識を持ちましょう。
たばこの煙は、家具や壁紙、カーテン、玩具、自動車の内装、エアコンの表面に付着した後、有害物質が少しずつ揮発し続けることがわかっており、それが原因となって残留受動喫煙(三次喫煙)が発生すると考えられています。たばこの煙が見えない環境でも、受動喫煙と同様にたばこ由来の有害物質にさらされてしまうおそれがあります。
「子どもが入らない別の部屋で」「換気扇の下で」「空気清浄機を置く」といった対策では受動喫煙は防止できません。
含有量は異なるものの、加熱式たばこにも紙巻きたばこと同様に多数の有害物質が含まれていることがわかり、健康への影響が懸念されます。
WHO(世界保健機関)は、加熱式たばこの煙には有害物質が含まれており、健康影響について明らかでないとしながらも「受動喫煙者の健康を脅かす可能性がある」と指摘しています。
家族間での受動喫煙を防ぐには、禁煙しかありません。たばこをやめれば、健康になり、味覚や嗅覚もよくなるだけでなく、たばこを吸う場所を探す必要がなくなり、金銭的な余裕も生まれます。
喫煙者の多くは「禁煙はつらくて苦しいもの」と思っているかもしれませんが、それは大きな間違いです。禁煙外来を利用すれば、比較的楽に、より確実に禁煙できます。健康保険が適用されれば、おおむね1日1箱喫煙する場合のたばこ代より安い金額で、自分だけでなく、周りの人の健康にも貢献できます。