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更新日:2026年10月23日

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「国宝リボーン 高精細複製画が綴る、美の夢」の見どころ(中)

大分市上野の市美術館では「国宝リボーン 高精細複製画が綴る、美の夢」(大分合同新聞社など主催)が開催中。同展の見どころを担当の学芸員が紹介する(3回続き)。 

高精細複製画、「年代」も再現

本展では、多くの人々に貴重な文化財との出会いを届けるため、キヤノンと京都文化協会が進める「綴プロジェクト」によって制作された、限りなくオリジナルに近い高精細複製画を展示しています。キヤノンの先進デジタルイメージング技術で原作品を高精細に撮影し、世界最高水準の印刷技術で微妙な色彩や筆致、質感までを精緻に再現。さらに、デジタル技術だけでは表現しきれない部分には、京都の伝統工芸士の技が加えられています。

その象徴が金泥や金箔の表現です。印刷後に金箔を施しながらも、それが絵の下から輝いて見えるかのように一枚一枚緻密に調整し、さらに新しい金箔には数百年を経た風合い「古色」をまとわせて、作品の経てきた「年代」までも再現しています。

風神雷神図屛風(左) 風神雷神図屛風(右)
重文「風神雷神図屏風」高精細複製画/原本:尾形光琳 筆/東京国立博物館蔵

その「金の美」を存分に味わえるのが、会場後半「THE FANTASTIC 日本絵画の革新」に並ぶ琳派の作品群です。なかでも注目は、日本人にとって最もポピュラーな絵画の一つである、琳派の祖・俵屋宗達(生没年不詳)の《風神雷神図屏風》。銀雲の上を軽やかに舞う風神と雷神は、筋肉質な四肢やユーモラスで迫力満点の表情など、溌溂とした生命力にあふれています。そして、ここに貼り込まれた金箔は、単なる装飾の域を超えて天翔ける両神を包み込み、無限の奥行きと豊かな絵画空間を感じさせます。

筆遣いや金箔の輝き、間近で

その宗達の傑作を約80年後に描き継いだのが、宗達に私淑した尾形光琳(1658-1716)による《風神雷神図屏風》です。宗達版では画面からはみ出していた雷神の小鼓や風神の天衣を枠内に収め、合わせていなかった視線を互いに交わす姿に改めるなど、二神を一体としたデザイン的な調和こそが光琳の魅力です。さらに約100年後、その裏面に酒井抱一(1761-1828)が描いたのが《夏秋草図屏風》です。原本は保存のため独立した屏風に仕立てられていますが、本展では高精細複製画により本来の姿を再現。雷神の裏には夕立にしおれる夏草、風神の裏には野分の風に翻弄される秋草を銀地に描き、表の光琳の金地に応えた、抱一の機知に富む傑作をご覧いただけます。

夏秋草図屏風(左) 夏秋草図屏風(右)
重文「夏秋草図屏風」高精細複製画/原本:酒井抱一 筆/東京国立博物館蔵

 

琳派を代表する画家たちの作品に宿る、金・銀箔の美の競演をぜひ会場でお確かめください。

 

大分市美術館学芸員 野田菜生子

 

大分合同新聞 2026年8月19日(水曜日)朝刊 掲載

お問い合わせ

教育委員会事務局教育部美術館 美術振興課 

電話番号:(097)554-5800

ファクス:(097)554-5811

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