ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 文化 > 展覧会情報 > Oちゃんブログ > 令和8年度(展覧会の寄稿文) > 「かがくいひろしの世界展」見どころ(下)
更新日:2026年6月10日
ここから本文です。
大分市上野の市美術館で「かがくいひろしの世界展」(主催・大分合同新聞社など、特別協賛・JA大分共済連)が開かれている。6月21日まで。担当した美術振興課の岡村暢哉参事が見どころを紹介する。
かがくいひろしは1955年東京都生まれ。高校生の時、美術部に所属し、美術大学への進学を志望して3浪の末、東京学芸大教育学部美術学科で彫刻を学ぶとともに教員免許を取得しました。80年、大学を卒業、翌年から28年間にわたり千葉県内で特別支援学校(養護学校)に勤務しました。
当時、松戸つくし養護学校では、教員たちが中心となって紙芝居や人形劇を見せる「つくし劇場」が発足、86年ごろにはかがくいも加わり、脚本、演出とともに美術を学んだ経験を生かして人形制作を手がけました。この人形劇はちりとりやティッシュなど身近にあるものを使用して、それが音楽に合わせて動くというシンプルなもので、かがくいはこの劇の絵コンテも担当し、こんなふうになったら面白いというアイデアをノートに書きためていました。「つくし劇場」は7年ほどで解散しますが、こうした人形劇の絵コンテづくりが、絵本制作に必要な「ラフ」と通じており、後に役立ったといいます。

『おもちのきもち』原画 2004-2005年©Hiroshi Kagakui/講談社
2005年、50歳にして応募した「おもちのきもち」が第27回講談社絵本新人賞を受賞して出版され、ついに絵本作家としてデビューを果たします。以後、教職員の仕事と並行しつつ、それまでためていたものを一気に形にするかのように、異例の早さで次々と絵本が刊行されます。09年3月、学校を退職して絵本制作に専念し、9月には千葉県松戸市の書店で初めてのおはなし会を開催しますが、その直後9月28日にすい臓がんで死去します。わずか4年間の作家活動ではありましたが、没後も含めて16冊の絵本が刊行されました。

『なつのおとずれ』原画 2008年©Hiroshi Kagakui/PHP 研究者
かがくいの絵本では日頃主役になりにくい、やかん、布団や餅、野菜などが生き生きと擬人化され、動き回ります。「なつのおとずれ」は、かき氷や金魚、ソフトクリームなど日本の夏の風物詩の面々が地上に降りて夏が始まる物語。「おもちのきもち」は床の間に飾られた鏡餅が突然逃げ出す物語。いずれも思いがけない展開で今日でも多くの子どもたちを驚かせ、笑顔にしています。
観覧料は一般1200円、高校生600円、中学生以下無料。月曜日休館。ゴールデンウイークと6月1日は開館。
大分合同新聞 2026年5月6日(水曜日)朝刊 掲載
Copyright © OITA CITY. All Rights Reserved.