ホーム > 文化・スポーツ・観光 > 文化財 > お知らせ(文化財) > 国指定史跡大分元町石仏の塩類対策の実施について
更新日:2023年10月20日
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国指定史跡大分元町石仏は、平安時代後期に造られた磨崖仏の秀作ですが、石仏の肩、胸、腕などを中心とした風化の進行が見られます。
これは、「塩類風化」と呼ばれるもので、塩の成分を含んだ水が、石仏表面で結晶化し、その時の衝撃で、石を粉々にしてしまいます。石仏が彫られた凝灰岩を顕微鏡でみると、細かな穴がたくさん開いており、これらがスポンジの役目をはたし、塩の成分を含んだ地下水を吸い上げているのです。
大分元町石仏では、石仏表面に張り付けた和紙に、塩を吸着させる脱塩作業を行ってきました。和紙による脱塩作業は効果を上げ、石仏表面の塩類は年々その量を減らしてきました。これに伴い、拝観者にそのままの石仏の姿をご覧いただけるよう、当初の1年を通しての作業をしていたものを、1年に1回、3年に1回と作業の頻度を減らしてきました。
令和5年度は、3年に1回の脱塩実施の時期にあたり、10月~12月に和紙による脱塩処理を行います。全国に先駆けて行われている和紙による塩類対策ですが、学術的にも注目されています。みなさんもこの機会に、大分元町石仏の保存対策をご覧になりませんか。
【脱塩状況(整備中)】 【塩類析出状況(整備前)】