府内城文献調査報告書

文献調査報告書発刊の経緯

 府内城文献調査報告書は、平成29(2017)年度に策定された「大分城址公園整備・活用基本計画」に基づき、府内城の具体的な姿や変遷を明らかにし、整備の根拠資料を得ることを目的に、大分市教育委員会文化財課が実施した「府内城基礎調査事業」の一環で作成されました。これまでに令和2(2020)年の第一集に始まり令和5(2023)年の第四集まで刊行されています。これら刊行された報告書をより多くの方々に見ていただくことを目的に、報告書の各集を紹介をするとともに「大分市デジタルアーカイブ おおいたの記憶」にて公開をしています。

 ※なおデジタルアーカイブの公開において、報告書に掲載されている一部画像については許諾や権利等の都合上伏せています。ご了承ください。刊行した書冊版については市立図書館や県立図書館で閲覧できます。

文献調査報告書各集の概要

第一集 令和2(2020)年3月19日刊行

 県立先哲史料館所蔵の「府内藩記録」内の日記等から天和3(1683)年～明和7(1770)年の間の府内城に関する記事を抜粋した一覧や、その記事の一部を翻刻したものを掲載しています。これらの記事からは城内や城下の施設に関する出来事や、宝永の地震や寛保の大火による被害の状況等がわかります。
 そのほかに府内城の中心部である本丸・二之丸・山里丸・北之丸・帯曲輪の「城内」、侍町の三之丸・武家屋敷や御茶屋のある中嶋・城下町の外曲輪・仙石橋・坊ヶ小路渡の「城下」、城下町や城が地震や大火により被害を受けた「災害」の3つの項目に関する調査の概要や、付録として城の絵図や書状等の画像などを掲載しています。

府内城文献調査報告書 第一集（別ウィンドウで開きます）

 

第二集 令和3(2021)年3月19日刊行

 第一集に引き続き「府内藩記録」より明和8(1771)年～文政元(1818)年の日記等から府内城に関する記事を抜粋、一覧を作成しその内の一部を翻刻し掲載しました。城の施設での出来事、城下での明和・安永・天明の大火や地震などの災害についてみることができます。
 調査の概要では「城内」については天守下の弁天社や櫓、御殿の変遷のこと、「城下」については土居・御堀・時鐘・京泊のこと、「災害」については城下町の大火や風水害のことを解説しています。

府内城文献調査報告書 第二集（別ウィンドウで開きます）

 

第三集 令和4(2022)年3月18日刊行

第二集に引き続き「府内藩記録」より日記等から文政2(1819)年～明治5(1872)年の間の城に関する記事を抜粋し、一覧を作成し、一部翻刻したものを掲載しました。城中のさまざまな施設での工事や出来事や、安政年間の地震、風水害についての記述があります。
 そのほかに「城内」に関しては城内の櫓や藩校について、「城下」では内三口・御堀・西ノ口の時鐘について、「災害」では安政元(1854)年の大地震・被災者への支援・城内施設の再建・城下町の風水害に関する調査の概要を、付録として城絵図や幕府への修理伺や冊子文書を掲載しています。

府内城文献調査報告書 第三集（別ウィンドウで開きます）

 

第四集 令和5(2023)年3月17日刊行

 「府内藩記録」より経済関係資料の「乙」を中心に史料を選出し翻刻を行いました。東之丸・御殿・遊焉館・櫓などの城内の施設の普請(工事)にともなう物品の勘定の記録を掲載しています。城の維持管理には沢山の物資や資金がかかることがわかります。付録には、昭和18(1943)年に大分史談会が刊行した「府内藩年中行事」を改めて活字化し掲載しました。「府内藩年中行事」は文久3(1863)年に作成され、府内藩の年中諸般の行事を記した史料で、年始の行事や由原(柞原)八幡宮の浜の市での参詣行列について、歴代藩主の法事などの各種行事の詳細を知ることができます。

府内城文献調査報告書 第四集（別ウィンドウで開きます）