更新日:2024年11月13日
ここから本文です。
ジャンボタニシの生態と防除方法についてお知らせします。
食害を受けた水田
水田内で活動中の個体
稲に産み付けられたジャンボタニシの卵塊
ジャンボタニシ(和名:スクミリンゴガイ)は南米原産で、1980年代前半に食用のため日本に持ち込まれ、その後野生化したものです。
生育初期の稲を食害するため、発生数によっては大きな被害となります。
関東以西で発生が確認されており、令和4年には35府県で発生が確認されています。
田植え後、約3週間までの柔らかく小さな苗を好んで食害します。
特に稚苗を移植した場合に、被害が大きくなることがあります。
繁殖力が高く、年間産卵数は3,000個以上となり、1つの卵塊は200~300個程度の卵からなります。
夏に生まれた貝が秋までに殻高1~3cmになり、そのまま土中で越冬します。
越冬した個体は、翌年の春に水田に水が入ると活動を再開します。
寿命は日本の水田では基本的に2年です。
乾燥に強く、水がなくても半年以上生き延びることができます。
耐寒性はそれほど強くなく、-3度ではほとんどの個体が2日以内に死んでしまいます。
日本における野外での越冬率は、西日本でも10パーセント未満と言われています。
卵は濃いピンク色で、水上の植物体や水路の外壁などに産み付け、気温25度の時に約2週間で孵化します。
卵の色が濃いピンク色のうちは、水の中に落とすだけで除去ができますが、産卵後1週間を過ぎて卵の色が白っぽくなると孵化が近いため、水に落とすと流れ着いた先で孵化をして生息範囲を広げる可能性があるため、取り除いて潰すなどの処理が必要です。
水田や水路で貝を見つけたら、捕まえて駆除してください。
なお、本貝は寄生虫を持っている場合があるので、触れるときはゴム手袋等を使用するようにしてください。
貝や卵の除去については、地域ぐるみで取り組むと全体の数が少なくなって効果が高くなります。
産卵直後の卵
孵化直前の卵
出水口に網袋(6ミリから9ミリの目合い)を取り付け、水路から田んぼへのジャンボタニシの侵入を防止します。
網にジャンボタニシが入ったらこまめに除去しましょう。
ジャンボタニシが発生している田で機械を使った後は、きれいに洗うように心がけましょう。
機械にジャンボタニシが付いたままにしていると、次の田に運ぶことになります。
特に、作業受託をされる方についてはジャンボタニシをよその田に運ばないように注意が必要です。
田植え後2~3週間頃までは被害を受けるので、水深4センチ以下の浅水管理をしましょう。
浅水管理をすることでジャンボタニシの移動性を抑えられます。
また、田の高低差を作らない(均平化する)ことで、水が溜まりやすい場所をなくしてジャンボタニシが集まりにくい田にすることができます。
薬剤は市販されている登録農薬をお使いください。
具体的な用法等についてはお近くの農協等にお問い合わせいただき、ご使用の際には、農薬の説明書および使用上の注意をよくお読みください。
不明なところがあればご購入先にご確認ください。
ペットボトル等を利用した簡易な罠などを設置することで、貝を捕獲することができます。
餌には米ぬかや野菜くずを利用することができます。
1月から2月の厳寒期に田を乾かして、耕起をすることで田の土の中にもぐっている貝を寒気にさらして殺すことで個体数を減らすことができます。
また、ジャンボタニシは殻が薄いため、耕起によって殻を破砕することでも殺すことができます。
耕起をする際は、走行速度を遅く、ロータリーの回転数を速くして、浅く細かく耕し、期間中に数回行うと効果が高くなります。
厳寒期の耕起の様子
耕起によって掘り出されたジャンボタニシ
水路で越冬している貝の対策として泥上げを行いましょう。
泥上げを行うことで、用排水路の泥の中で越冬しているジャンボタニシを寒気にさらして殺すことで個体数を減らすことができます。
水路の個体数を減らすことで、春に水路から田んぼに入ってくるジャンボタニシの数を減らすことができます。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。