更新日:2009年7月28日

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大分市環境基本条例

私たちが住む大分市は、緑深き山々、水量豊富な大野川、大分川、豊穣な豊後水道に面した美しい海岸線などすばらしい自然や景観に恵まれている。また、古くから瀬戸内海の海路に通じる要衝として人々が盛んに交流し、優れた歴史的文化的遺産と固有な風土が形づくられるとともに、新産業都市の指定を受けて以来、国内でも有数の工業都市として発展している。
一方、資源やエネルギーを大量消費する現在の社会経済システムの中、私たちは快適で便利な生活を享受しているが、事業活動や日常生活における活動の拡大に伴う環境への負荷の増加が原因で、地域においては廃棄物の処理、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等の問題、また、地球規模では、地球温暖化、オゾン層の破壊、砂漠化等さまざまな問題が生じ、生物の生存基盤である地球の環境が脅かされるに至っている。
私たちは、自らが引き起こしたこれら環境問題の解決を図り、健全で恵み豊かな環境を将来の世代に継承していくことが、私たちに課せられた重要な責務であることを認識し、一人ひとりがこれまでの利便性と物質的な豊かさを優先させてきた社会経済活動や生活様式を見直し、人と自然が共生する環境優先へとその意識の転換を図っていくことが必要であると考える。
こうした決意のもと、市、事業者、市民がそれぞれの立場で、また相互に協力して環境問題の解決に努めることにより、人々が良好な環境の中、心の豊かさをはぐくみ質の高い生活を営むことができる社会を実現することを目指し、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来において市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2)地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3)公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的な生活を営むことのできる健全で恵み豊かな環境を確保し、及び向上させ、並びにその環境が将来の世代に継承されるよう適切に行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、多様で豊かな自然環境を有する本市の特性を活かし、人と自然との共生が確保されるよう適切に行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、全ての者の公平な役割分担の下、社会経済活動その他の活動による環境への負荷を低減し、環境に配慮した持続可能な社会が構築されるよう行われなければならない。
4 地球環境保全は、全ての者がそれぞれの事業活動及び日常生活において、これを自らの課題として環境に配慮した行動を行うことにより、積極的に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量、温室効果ガスの排出抑制等を進めることにより、事業活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、地域の構成員として、地域の環境の保全及び創造に貢献するよう努めなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量、温室効果ガスの排出抑制等を進めることにより、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(施策の基本方針)
第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1)人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
(2)生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
(3)人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。
(4)水や緑に親しむことのできる生活空間の形成、地域の特性を活かした景観の形成、歴史的文化的遺産の保全及び活用等が推進されること。
(5)環境への負荷の低減が図られるよう、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等が促進されること。
(6)環境の保全及び創造を行うに当たって、市、事業者及び市民が協働して取り組むことのできる仕組みが構築されること。
(7)地球環境保全が推進されること。
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「大分市環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 大分市環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)環境の保全及び創造に関する目標及び施策の基本的方向
(2)前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、大分市環境基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、大分市環境審議会条例(平成6年大分市条例第7号)第1条に規定する審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、大分市環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、大分市環境基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第9条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全及び創造について配慮しなければならない。
(事業に係る環境配慮)
第10条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、あらかじめその事業に係る環境の保全及び創造について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(規制の措置)
第11条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(協定の締結)
第12条 市長は、環境の保全及び創造を図るため、必要があると認めるときは、本市の区域内に事業場等を設置しようとする者又は設置している者との間に環境の保全及び創造に関する協定を締結するものとする。
(経済的措置)
第13条 市は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることとなるように誘導するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らその負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導する措置について、その効果、影響等を調査し及び研究するものとする。
(環境の保全及び創造に関する事業の推進)
第14条 市は、公共下水道、公共的な廃棄物の処理施設の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的利用等の促進)
第15条 市は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び市民による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(調査の実施及び監視等の体制の整備)
第16条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を行うものとする。
2 市は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定及び検査の体制の整備に努めるものとする。
(環境の保全及び創造に関する教育の充実、学習の振興等)
第17条 市は、事業者及び市民が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、環境の保全及び創造に関する教育の充実、学習の振興その他の必要な措置を講ずるものとする。
(自発的な活動の促進等)
第18条 市は、事業者、市民又はこれらの者が組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)が自発的に行う環境美化活動、生活排水浄化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、事業者がその事業活動に伴う環境への負荷を低減するために行う環境の保全及び創造に関する方針の策定、目標の設定及び計画の作成、その計画の実施及び実施体制の整備並びにこれらの実行状況の点検等からなる環境の管理が促進されるように、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境情報の提供)
第19条 市は、第17条に規定する環境の保全及び創造に関する教育の充実、学習の振興等並びに前条第1項に規定する事業者、市民又は民間団体が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。
(市民等の協働)
第20条 市、事業者、市民及び民間団体は、協働して環境の保全及び創造に関する施策を効率的かつ効果的に推進するよう努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第21条 市は、広域的な取組が必要とされる環境の保全及び創造に関する施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
(財政上の措置)
第22条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(年次報告)
第23条 市長は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況を明らかにするための報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(地球環境保全の推進)
第24条 市は、市、事業者及び市民がそれぞれの役割に応じた地球環境保全に関する行動の指針を定め、これに基づく行動を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は、地球環境保全において、地球温暖化対策が果たす役割の重要性にかんがみ、事業者、市民及び民間団体と協働して地球温暖化対策を推進するものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に策定されている環境の保全及び創造に関する基本的な計画であって、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るためのものは、第8条第1項の規定により定められた大分市環境基本計画とみなす。

お問い合わせ

環境部環境対策課 

電話番号:(097)537-5622

ファクス:(097)538-3302

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