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更新日:2023年6月19日

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「ザ・キャビンカンパニー」のインタビューをお届けします

ザ・キャビンカンパニーと制作したマンホールの写真

上下水道局では令和5年3月に新デザインマンホール蓋をガレリア竹町通商店街に設置しました。

そのデザイン制作者である「ザ・キャビンカンパニー」のお二人にインタビューをしてきました。

デザイン制作者「ザ・キャビンカンパニー」

ともに大分県生まれ、大分市在住の阿部 健太朗と吉岡 紗希による二人組の絵本作家/美術家。現在、大分県由布市の廃校をアトリエにして活動中。絵本制作の他にも、子ども向け教育番組「おかあさんといっしょ」しりたガエルのけけちゃまキャラクターデザインなどを手掛ける。令和5年第4回JPIC親子で読んでほしい絵本大賞、第28回日本絵本賞受賞。

インタビュー

デザイン制作依頼を受けて、どう思いましたか?

吉岡  今回の依頼が来たとき、自分が小学生の頃の記憶がよみがえりました!

何気なく歩いていた道で、水辺の生き物たちが描かれているマンホール蓋(※写真1)を見て、「あ、カニがいる!」って指を差して遊んでいた、そんな記憶です。
自分たちのデザインしたマンホール蓋も誰かの記憶に強く残るかもしれないと思うと、すごくうれしいです。

阿部  マンホール蓋のデザインは、街に溶け込んだパブリックアートとして捉えることができると思います。

一度このような作品にも挑戦したいと思っていたので、今回の依頼は本当にうれしかったです。

マンホール蓋は何十年と長く街に残るので、残すに足るものを作らないといけないな、と身が引き締まりました。

マンホール水辺の森

(写真1)1997年設置開始デザインマンホール「水辺の生き物」

マンホールに対するイメージは?

吉岡  マンホール蓋の下には何か別の世界が広がっているとか、そんな児童文学的なイメージです。

イギリスの小説家ハーバート・ジョージ・ウェルズ(※注釈1)のSF物語みたいなお話が始まりそう!


阿部  もちろん、マンホールは現実の生活に必要不可欠な下水道の仕組みの一つですが、自分たちにはファンタジックでロマンあふれるイメージが強いですね。

(注釈1)「SFの父」と呼ばれるイギリスの小説家。代表作「宇宙戦争」「タイム・マシン」

モチーフを大分市の民話や伝説にした理由は?

ザ・キャビンカンパニー取材中の写真

吉岡  自分たちが大分市の民話を読んだときにこの絵をモチーフに描いてみたいというところから始まりました。

阿部  これから何十年と残っていくマンホール蓋のモチーフとして、昔から脈々と受け継がれて今も残る民話がふさわしいかなと。

吉岡  民話を読んでいると、当時の生活文化や時代背景がすごく伝わってくるんです。
今回モチーフにした2つのお話はちょうど同じくらいの時代、16世紀の大分市のお話。

阿部  大分市が南蛮文化を初めて取り入れた街として文化的、経済的に広がっていく、そういった街のイメージを描きたかったんです。

吉岡  「大分市は特色があまりない」なんてよく聞くけれど、そんなことはありませんよね。

阿部  自分がつまらない見方をするからつまらなくなるのだと、僕は常々思っています。
例えば今回の「南蛮渡来物語」のデザイン制作にあたっては、瓜生島伝説をモチーフにしました。その昔、別府湾には瓜生島という島があって、島の港には南蛮船が着き、異国の品々が運び込まれていました。その後大地震により沈んでしまうという伝説です。

その伝説のイメージを持って別府湾を見ると、景色の見え方が全く違ってきます。大分市を知ることで、面白さはいくらでも発見できます!

吉岡  マンホール蓋を見た人が一度立ち止まって、「これって何の絵かな?どんな物語かな?」と気になって、大分市を知るきっかけになればいいなと思います。

デザインが出来上がるまでの話を聞かせください

吉岡  まず民話を読んで、ラフ案を2、3パターンぐらい描きました。
自分たちがいつも絵を描く時は、アクリル絵の具をグリグリと混ぜながら、他にも鉛筆やマジックなどさまざまな画材を使って描いています。

マンホール蓋は線画一本で描かないといけなかったので、マジックを使って勢いよく線を描きました。

自分たちのいつもの画風ではないので、皆さんに受け入れられるかな、という不安はありました。

阿部  他のマンホール蓋のデザインを見ると、パソコンで描いたような、線の太さが均一なデザインが多いんですが、自分たちのデザインは手描き感にこだわり、線が太かったり細かったりするようないびつな絵にしたかったんです。

その手描き感あふれる線を、鋳型を製造する業者さんが丁寧に再現してくれました。

原画の線よりも鋳型の線のほうが良いものになったと思います。

ラフ案

(新デザインマンホール ラフ案)

吉岡  線を途切れさせてはいけないというマンホール蓋ならではの制限もありました。

線が繋がっていないと、カラーマンホール蓋の着色剤を流し込む際に隣へ流れ出ててしまうからです。

他にもマンホール蓋を踏んだ際に滑らないように、絵に余白を持たせすぎずに全面的に線を入れないといけない、とか。
いろいろと悩むこともあったけれど、制限もまた良いデザインができる一つの要素でした。


阿部  あとは、マンホール蓋は円形でいろんな方向から見るので絵に正面がありません。

どこから見ても美しく見えるようなデザインにしようと思いました。

吉岡  「猿酒」には、猿が果実を噛んでつくったお酒のお話ということで、いちじくなど野山の果実を描いています。

大分ならではのカボス、しいたけ、別府湾、高崎山の風景も絵の中に描いています。
「南蛮渡来物語」はにぎやかな南蛮貿易のイメージで、象やクジャク、虎、南蛮から訪れた異国の人々などを描きました。

阿部  最後の色決めも楽しかったですね。

吉岡  使える色が数色と限られていたんですが、それが逆に良かったです。

阿部  限られた色の中で組み合わせるから、面白いものになりました。

色合いは、これまでの自分たちの作品の中でも会心の出来だと自負しています!

南蛮渡来物語説明3

(汚水マンホール蓋:南蛮渡来物語)

猿酒説明

(雨水マンホール蓋:猿酒)

デザインの注目ポイントは?

吉岡  マンホール蓋の中に、絵だけではなくタイトルまで入れ込んだところです。

阿部  「猿酒」も「南蛮渡来物語」も豊かな大分を連想する物語のイメージです。

吉岡  「南蛮渡来物語」は自分たちの造語で、当初は「瓜生島伝説」としていました。

ただ瓜生島伝説は大地震により一夜で沈んでしまう島のお話なので、このマンホール蓋がマイナスなイメージになるのは避けたいなと思い。

阿部  沈んで消えてしまう瓜生島ではなく、南蛮貿易で活気あふれる瓜生島や豊後の街にスポットが当たるように「南蛮渡来物語」と名付けました。

市民のみなさんへのメッセージ

吉岡  例えば美術館で一枚の真っ黒な絵画を目の前にしたとして「何これ私でも描けるよ」と通り過ぎるのではなく、「どうしてこう描いたのだろう」と立ち止まった人にだけ、素晴らしい発見ができてしまうことがあるんです。

このマンホール蓋も、そういう見方をしてもらえたらとてもうれしいです。
大分市や下水道のことを知ってもらう一つのきっかけとなりますように。

阿部  このデザインには、僕らが民話を読んで受け取った古来の大分人の感情や感覚が詰め込まれています。

これは芸術文化を繋ぐリレーのようなものです。

マンホール蓋を見て、立ち止まってくれた「誰か」がまたバトンを受け取って未来へつないでいってくれたらうれしいです。

ザ・キャビンカンパニーと実際に設置しているマンホールの写真

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上下水道局上下水道部経営企画課 

郵便番号870-0045 大分市城崎町1丁目5番20号

電話番号:(097)538-2404

ファクス:(097)535-1241

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