第5部 将来にわたって持続可能な魅力あふれるまちづくり(都市基盤の形成) 第1章 快適な都市構造の形成と機能の充実 第1節 計画的な市街地の形成 【動向と課題】  本市では、これまでに新産業都市の建設を機軸に後背地等の整備をはじめ、良好な市街地の形成を進めてきました。しかし、人口増加に伴う郊外の大規模開発などによる急激な市街地の拡大は、中心市街地の空洞化を加速させるなどの問題を生じさせてきました。  現在は、東九州自動車道などの整備に伴い、都市・地域間の経済・産業活動及び市民活動の活発化・広域化が進むなか、都市の国際化や情報化、超高齢社会を踏まえた都市基盤の形成に加え、自然と調和した景観の形成並びに中心市街地の再生・活性化に向けたまちづくりを進めています。特に大分駅周辺の中心市街地においては、南北市街地の一体化の実現や新たに生活サービス機能の整備が行われるなど、県都・中核市としてふさわしいまちづくりが進んでいます。  これからは、「潤い、美しさ、豊かさ」で満たされるバランスのとれた都市の創造を目指して、各地域の特性を生かした均衡ある発展と秩序ある市街地の形成が重要となります。そのためには、人口推計や年齢構成及び産業構造の変化や市街化の動向など、都市を取り巻く環境の変化を的確にとらえ、地区の拠点を中心としたコンパクトな都市づくりと交通ネットワークとの連携による長期的なビジョンに立った持続可能なまちづくりが必要となります。  また、高度経済成長期において集中的に整備された橋梁、トンネルなどの都市基盤施設の老朽化が進んでおり、適切な時期に維持管理を行っていく必要があります。 【基本方針】  少子高齢化の進展や人口減少社会を迎えるなか、(※)コンパクトプラスネットワークによる都市構造の構築に向け、多様な生活サービス機能が集積した県都にふさわしい風格ある広域都心と、自然・歴史など地域の特性を生かした魅力ある地区拠点の形成を図ります。  あわせて、これら地区拠点を中心に幹線道路の整備や公共交通網の充実などにより地域間の連携を強化し、総合的かつ計画的な都市の骨格形成を推進します。また、人にやさしく美しい都市空間の創造を推進します。  老朽化が進んでいる橋梁やトンネルなどの都市基盤施設は、定期的な点検や診断結果に基づく計画的な保全を行い、長寿命化を推進します。 【主な取組】 風格ある広域都心と暮らしやすい地区拠点の形成 ◆県都・中核市として、また、東九州の政治・経済、文化、交通などの拠点として、広域都心の総合的な整備を推進します。 ◆多様な生活サービス機能を集積した、便利で暮らしやすい環境の整備を進めるなど、大分駅周辺における中心市街地の活性化を図り、風格とにぎわいのある都市拠点の形成を目指します。 ◆地域の自然・歴史・文化などの特性を生かした個性的で魅力のある暮らしやすい地区拠点の形成を目指します。 ◆既存ストックを有効に活用した環境負荷の小さいまちづくりを推進します。 計画的な土地利用の推進 ◆自然・歴史・文化に配慮し、商業・工業、住居・田園などのバランスを保った、将来にわたり持続可能な魅力ある都市の形成を目指すため、社会情勢の変化や地域特性を考慮した土地利用の規制や誘導策を検討します。 ◆良好な市街地の形成を目指し、区画整理や住環境の整備、市街地再開発など、地域の特性に応じた事業の推進を図ります。 ◆市街地の整備に当たっては、緑の保全や創造、防災、景観などに配慮し、周囲の環境と調和するよう努めます。また、大規模災害時の復旧復興に備える地籍整備や、大規模盛土造成宅地の調査を推進します。 産業や生活を支える道路体系の確立 ◆県及び東九州における産業や生活などの拠点都市として、広域的な連携に資する道路体系の整備を促進するとともに、地域の都市活動を円滑にするため、地区拠点間や拠点と周辺地域を結ぶ道路網を構築します。   高規格道路  本市と九州圏内各地の拠点都市間を連絡し、本市の拠点性を高める道路として位置付け、整備を促進します。   広域幹線道路 本市と周辺市との連絡を果たし、本市の都市構造の主要な骨格を形成する道路として位置付け、整備を促進します。   都市幹線道路 広域幹線道路の機能を補完して地区間の道路網を形成し、本市の都市構造の骨格をなす道路として位置付け、整備を促進します。   幹線市道  主要施設や集落間の連絡、また、幹線道路網との連携など、日常生活の根幹的な役割を担う市道として位置付け、整備を推進します。   一般市道  市民生活と密着した道路として位置付け、地域の生活環境改善のための道路や幅員が狭く緊急車両の通行困難な道路などの改良等を推進します。 ◆市域の均衡ある発展と産業経済活動の活性化、交通渋滞の緩和などのため、道路、橋梁の拡幅や新規橋梁の整備を促進します。 人にやさしく美しい都市空間の創造と整備 ◆高齢者や障がいのある人をはじめとするだれもが円滑に移動ができ、安全・安心に都市施設の利用ができるよう、段差の解消や点字ブロックの適正配置、(※)無電柱化の推進などユニバーサルデザインに配慮した都市空間の整備に取り組みます。 ◆災害時の延焼遮断帯や避難・輸送路、避難場所など災害に強い都市空間の整備を進めます。 ◆風格のある質の高い都市景観づくりや地域の特性を生かした個性ある都市空間形成を推進するとともに、歴史・文化・芸術を生かした観光拠点の整備を推進し、魅力的で歩いて楽しい都市を創造します。 ◆緑地や河川は、都市に残された貴重な自然であり、市民の憩いの空間として環境に配慮した整備に取り組みます。 既存都市施設の計画的な維持管理 ◆道路、橋梁、トンネル、河川管理施設などの機能を維持するため、重要度に応じた維持管理レベルの設定や新技術の効果的な活用等を検討し、安全性の確保や(※)ライフサイクルコストの縮減に取り組みます。 ※関連計画 『大分市都市計画マスタープラン』『大分市国土利用計画』『大分市景観計画』『大分市公共施設等総合管理計画』『大分市バリアフリー基本構想』『大分市地籍調査実施基本計画』『大分都市圏総合都市交通計画』『大分市耐震改修促進計画』『大分市橋梁・トンネル等長寿命化修繕計画』『大分市中心市街地活性化基本計画』 【目標設定】 土地区画整理事業施行済面積  現状値(2015年度末現在)2,170ha  目標値(2019年度見込)2,301ha (※)幹線道路整備延長(累積)  現状値(2015年度末現在)263.5km  目標値(2019年度見込)265.3km 無電柱化延長(累積)  現状値(2015年度末現在)40.2km  目標値(2019年度見込)43.0km 市道橋における修繕済の橋数  現状値(2015年度末現在)32橋  目標値(2019年度見込)132橋 <用語解説> ※コンパクトプラスネットワーク  教育、医療、福祉、商業施設などの生活サービス機能をコンパクトに配置した暮らしやすい便利なまちの形成と、それにあわせた公共交通網の再編を行う考え方。それにより、将来にわたってまちの活力の維持・向上を図り高齢者や子どもなど、誰もが便利で快適に暮らせるまちづくりを目指すもの。 ※無電柱化  道路の地下空間を活用して、電力線や通信線などをまとめて収容する電線共同溝などの整備による電線類地中化や、表通りから見えないように配線する裏配線などにより道路から電柱をなくすもの。 ※ライフサイクルコスト  構造物などの建設費・維持管理費・改築費をトータルして考えたもの。 ※幹線道路整備延長  高規格道路、広域幹線道路、都市幹線道路、幹線市道の合計。 第2節 交通体系の確立 【動向と課題】  少子高齢化の進展や車を運転できない人の増加、地球温暖化等の環境問題の深刻化などから、人や環境にやさしい乗り物として、公共交通の役割が見直されています。  しかしながら、本市では、車社会の進展と市街地の拡大により、日頃の交通手段として車利用が広く定着する一方、公共交通の利用者は年々減少しており、交通事業者を取り巻く経営環境は厳しさを増し、路線廃止や便数の減少といったサービスの縮小が行われ、車を使える人と使えない人との間に移動の自由の格差が生じています。  今後は、人口減少社会を迎えるに当たり、公共施設や商業施設など、まちの機能をコンパクトに集約した利便性の高いまちづくりが必要とされており、こうしたまちづくりを支える道路整備とあわせ、だれもが快適に移動できる公共交通ネットワークの構築が求められています。  また、交通渋滞の緩和や公共交通ネットワークを補完する役割も担う自転車に関しては、安全で利用しやすい環境づくりが求められています。   さらに、国際化の進展や広域交流の拡大に対応するため、広域的な移動を支える交通ネットワークの強化が求められています。 【基本方針】  市民、交通事業者、行政の連携のもとで、だれもが利用できる公共交通と自家用車や自動二輪車、自転車などの私的交通との最適な組合せを再構築し、持続可能な交通体系の確立を図ります。 【主な取組】 公共交通ネットワークの構築 ◆交通事業者等と連携し、バスの運行の効率化と利用者により分かりやすく利用しやすいバス路線網の再構築を目指します。 ◆交通事業者等と連携し、各鉄道駅における駅前広場、駐車場、駐輪場などの整備をはじめ、新駅の設置、高速化、日豊本線の複線化などを促進するとともに、バスやタクシーをはじめとする交通機関との乗り換えなど、交通結節機能の強化を目指します。 ◆地域の関係者との協働により、公共交通の不便地域等における日常生活に必要な生活交通路線の確保を図ります。 ◆(※)コンパクトプラスネットワークによる都市構造の構築に向け、まちづくりと連携した持続可能な公共交通の在り方を検討します。 ◆新たな交通システム導入の必要性等について検討します。 公共交通の利便性の向上と利用促進 ◆高齢者や障がいのある人等の移動制約者をはじめ、来訪者等の公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上を図るため、市民、交通事業者、行政が一体となり、ICT技術の活用も視野に入れた利用環境のバリアフリー化を促進します。 ◆公共交通の利用促進を図るため、過度に自動車に頼る生活から、徒歩、自転車、公共交通を中心とした多様な交通手段を適度に利用する生活への自発的な転換を促す取組を推進します。 自転車等利用環境の充実 ◆国、県等の関係機関と連携し、連続性のある自転車走行空間の整備を進めるなど、自転車を安全・快適に利用できる環境づくりに努めます。 ◆自転車等の利用環境の向上を図るため、駐輪場などの整備の推進やレンタサイクルシステムの導入に向けた検討など、自転車への乗り換えや他の交通機関との連携を促進する仕組みづくりを進めます。 広域交通ネットワークの強化 ◆地域間の連携や交流の促進、物流の機能向上等を図るため、港湾、空港の機能充実や、道路の整備を促進し、有機的な広域交通体系の確立を関係機関等と連携して進めます。 ◆東九州新幹線の整備実現に向けて、国や九州各県、関係機関などと連携して事業の推進を図ります。 ◆豊予海峡ルートの整備など本市と四国・関西方面を結ぶ太平洋新国土軸構想の実現に向けて、国や九州各県、関係機関などと連携して事業の推進を図ります。 交通渋滞の解消・緩和 ◆国、県等の関係機関と連携し、公共交通への利用転換並びにノーマイカーデーや時差出勤、(※)パークアンドライドなど、交通の円滑化を図る取組を促進し、渋滞等の交通問題の解消・緩和に努めます。 ※関連計画 『大分市都市計画マスタープラン』『大分都市圏総合都市交通計画』『大分市バリアフリー基本構想』『大分市自転車利用基本計画』『大分市自転車等駐車場整備計画』 【目標設定】 人口1人当たりの年間公共交通(鉄道・バス)利用回数  現状値(2014年度実績)44.4回  目標値(2019年度見込)48.0回 市が設置する中心市街地における駐輪場の収容台数  現状値(2015年度末現在)3,871台  目標値(2019年度見込)4,650台 <用語解説> ※コンパクトプラスネットワーク  教育、医療、福祉、商業施設などの生活サービス機能をコンパクトに配置した暮らしやすい便利なまちの形成と、それにあわせた公共交通網の再編を行う考え方。それにより、将来にわたってまちの活力の維持・向上を図り高齢者や子どもなど、誰もが便利で快適に暮らせるまちづくりを目指すもの。 ※パークアンドライド  都心部への自動車交通の削減と公共交通利用促進のため、自宅から車で最寄りの駅またはバス停周辺に駐車し、鉄道、バスなどの公共交通機関を利用して目的地に向かう移動形態。 第3節 地域情報化の推進 【動向と課題】  近年、わが国の情報通信技術(以下「ICT」という。)の急速な進歩はさまざまな分野において大きな影響を与えており、社会生活に必要不可欠なものとなっています。また、スマートフォンやタブレット端末の普及により、いつでも・どこでも・だれでも情報発信が可能となったことから、情報を適正に管理することがこれまで以上に重要視されるとともに、行政や企業だけでなく市民一人ひとりが情報セキュリティやモラルに対し高い意識を持つことが重要となっています。  そうしたなか、価値ある情報をいかに地域経済の活性化や産業の振興、市民サービスの向上につなげていくかが問われています。  本市では、これまでホームページやSNS、電子申請などのインターネット技術を通じて、市民との双方向性の確保に努めるとともに、ICTによって行政内部の事務の効率化を進めながら、質の高い行政サービスの提供を行ってきました。  今後も、一段と少子高齢化が進展するなか、福祉、教育、防災、観光、文化など、さまざまな分野において、ICTの利活用を促進し、地方創生へとつなげていく必要があります。  また、市内部のシステムを最適化し、一層の業務の効率化を進めるとともに、行政が保有する各種データを(※)オープンデータ化することで、地域経済の活性化を促進しながら、新たな行政サービスについて検討していきます。  一方で、プライバシー侵害や、個人情報等の不当な利用、改ざん、情報漏えいなどの問題が懸念されるなか、マイナンバー制度が導入されることから、スムーズな制度運用ができるよう万全のセキュリティ対策を施す必要があります。また、マイナンバー制度を活用した新たな市民サービスの提供について検討していくことが求められます。 【基本方針】  ICTを活用し、国、県や他の自治体との連携も考慮しながら、安全で快適な市民生活の実現と、活力ある地域経済・産業の育成を図ります。  また、(※)デジタルデバイドの是正に向けた取組を行うとともに、重要な個人情報などを扱う自治体として、情報セキュリティのより一層の充実を図ります。 【主な取組】 安心して健やかに暮らせる市民生活の実現 ◆安心して健やかに暮らせる地域社会づくりのため、防災メールの利用促進や、大気・騒音等の環境情報の提供に取り組みます。 ◆健康増進の支援を行うため、保健・福祉・医療分野に関するシステム化やデータの電子化を進めます。 にぎわいと活力あふれる豊かな地域社会の実現 ◆地域経済の活性化のために各種情報化の支援に取り組みます。 ◆地域経済の活性化を促すため、行政が保有するデータをオープンデータ化し事業者が活用できるようにします。 ICTを快適に利用できる情報活用能力の向上と環境整備 ◆市民や事業者が均しく安全・安心にICTを活用できるよう、ICT講習や情報モラルに重点を置いた情報教育を実施します。 ◆観光客や市民がいつでも、どこでもICTを利活用できる環境づくりのため、公衆無線LAN環境の整備・充実に取り組みます。 ◆市民が情報通信サービスを享受できるよう、地域ニーズに基づいた情報通信基盤の整備に努めます。 行政サービスの向上 ◆市民が利用しやすくなるよう、多様な情報提供ツールを活用するとともに、ホームページのデザインや(※)ウェブアクセシビリティに配慮しながら、提供する情報の充実を図ります。 ◆市民の視点に立った利便性の高い行政サービスを実現するために、窓口サービスの向上や行政手続のオンライン化など、ICTを活用した取組を進めていきます。 行政事務の効率化 ◆行政事務のさらなる効率化や経費削減のため、システムの最適化に取り組みます。 ◆市民が安心して行政サービスを受けることができるよう、個人情報の保護や情報セキュリティのより一層の強化を図ります。 ※関連計画 『大分市地域情報化計画』 【目標設定】 ICT講習会受講者数(累積)  現状値(2015年度末現在)45,594人  目標値(2019年度見込)65,000人 公衆無線LANアクセスポイント数(累積)  現状値(2014年度末現在)3,028アクセスポイント  目標値(2019年度見込)3,550アクセスポイント <用語解説> ※オープンデータ  コンピュータプログラムが自動的にデータを再利用(加工、編集等)するのに適したデータ形式で、二次利用が可能な利用ルールで公開されたデータのこと。 ※デジタルデバイド  情報格差。ICTを利用する能力や機会を持つ人と持たない人の間で、ICT活用により受けられるさまざまな利益に格差が生じること。 ※ウェブアクセシビリティ  高齢者や身体障がい者など心身の機能に制約のある人を含め、だれでもインターネット上で提供されている情報を支障なく利用できること。 第2章 安定した生活基盤の形成 第1節 水道の整備 【動向と課題】  水道は、市民生活や産業基盤を支える重要なライフラインであり、本市ではこれまで計画的な水道施設の整備や拡張事業を推進し、その普及率は98%を超えるまでになりました。また、ダム建設による水資源の確保に努めるとともに、水質管理を強化して、安心して飲める水を提供し、利用者との信頼関係を築いてきました。  今後は、老朽化が進む水道施設の計画的な更新や給水不良地区、未整備地区の解消に取り組むとともに、水は限りある貴重な資源であるという認識のもと、漏水防止対策もさらに推進する必要があります。  また、水質については、安全なことはもとより「おいしい水」に対して大きな期待が寄せられており、水道水源である河川の水質保全とともに、浄水施設能力や水質管理体制の充実・強化が取り組むべき課題となっています。  さらに、地震や津波、台風などの自然災害や渇水などさまざまなリスクを想定し、危機管理体制を強化していく必要があります。 【基本方針】  快適で安定した生活を支えるライフラインとして、安全で良質な水の安定供給を図るための諸施策を着実に展開するとともに危機管理体制のより一層の強化を推進します。 【主な取組】 水道サービスの持続性の確保 ◆今後の水需要に安定的に対応するための新規水源として、国が建設する大分川ダムの早期完成を促進します。 ◆計画的に給水不良地区や未整備地区の解消に努めるとともに、整備が困難な地区に関しては地域の特性に応じた整備手法の検討を進めます。 ◆老朽化が進む水道施設の適正な維持管理と計画的な長寿命化や更新に努めます。 ◆水道施設の総合的な配水管理システム及び浄水場監視制御システムを活用し、施設の効率的運用と監視機能の向上を図り、水の有効利用を推進します。 ◆計画的な漏水調査の実施や老朽管の取り替えなど、漏水防止対策を強化します。 ◆将来にわたって安定的な経営基盤を確立するため、中長期的な視点に立って効率的・効果的な事業運営に努めます。 水質の保全の確保 ◆大分川、大野川などの水道水源の水質の保全に関しては、河川流域の住民や国・県・関係自治体と連携を図るとともに、上流域を含む広範な地域での汚濁防止や水質保全に向けた啓発に努めます。 ◆安全で安心して飲める、よりおいしい水を提供するため、浄水処理技術や施設機能の向上に努めます。 ◆原水からじゃ口に至るまで一貫した水質監視体制の強化及び水質検査体制の充実を図ります。 危機管理への対応の徹底 ◆緊急時における市民のライフラインを確保するため、管路の耐震化や施設のバックアップ機能の強化など災害に強い施設づくりを進めます。 ◆災害や緊急時に迅速な応急給水、応急復旧活動が行えるよう危機管理体制の強化を図ります。また、ほかの水道事業体や関係機関等との連携・協力体制の充実を図ります。 ※関連計画 『大分市水道事業基本計画』『大分市公共施設等総合管理計画』 【目標設定】 (※1)有効率  現状値(2014年度末現在)91.9%  目標値(2019年度見込)95.0% (※2)管路の耐震化率  現状値(2014年度末現在)11.8%  目標値(2019年度見込)16.2% ※1 有効率=年間有効水量÷年間配水量×100(%)    有効水量とは、一般世帯などで有効に使用された水量で、漏水量などは含まないもの。 ※2 管路とは、導水管路、送水管路及び配水管路の総称。 第2節 下水道の整備 【動向と課題】  下水道は、市民の健康で快適な生活環境の確保及び河川、海域など公共用水域の水質保全を図る汚水処理機能と、降雨時における市街地の雨水排除機能を備えており、安全で豊かな市民生活の実現を図るためには欠くことのできない基幹的施設の一つです。  近年の都市化の進展や生活様式の多様化などに伴い、より快適で衛生的な生活環境が求められています。さらに、集中豪雨などによる浸水被害が全国的に発生していることから、本市においても、いつ甚大な被害が発生してもおかしくない状況にあり、その対策を講じる必要があるとともに災害発生時における危機管理体制の強化も求められており、公共下水道の果たす役割はますます重要となっています。  このようななか、将来にわたり安定した下水道サービスを提供するため、老朽化が進む施設の改築等を計画的に進めるとともに、公共下水道の整備区域においては、普及啓発に努め接続率の向上に取り組む必要があります。また、整備計画区域外においては、生活排水処理対策として浄化槽の普及促進を図る必要があります。    【基本方針】  汚水処理及び雨水排除の基幹的施設としての公共下水道の計画的、効率的な整備とその普及・啓発に努めます。  また、公共下水道等の整備計画区域外においては、浄化槽の普及を促進します。 【主な取組】 公共下水道の整備 ◆汚水管渠施設については、各処理区における将来の市街化の状況や地勢を考慮し、費用対効果を踏まえた計画的、効率的な整備を進めます。 ◆雨水排除施設については、浸水被害の発生状況等を考慮し、計画的に管渠の整備や雨水排水ポンプ場等の適切な施設整備を進めます。 ◆水資源再生センターについては、流入する汚水量に応じて計画的、効率的な整備を行います。 公共下水道の維持管理 ◆今後老朽化が進む下水道施設について、施設の状況を中長期的に予測しながら、計画的な保守点検・改築、修繕及び適正な維持管理に努めます。 ◆汚水管渠の維持管理や水資源再生センターの安定した運転を行うため、市民等に対して、下水道を利用する上での廃油類や生ごみ等の適正な処理について啓発します。 公共下水道の普及・啓発 ◆戸別訪問による公共下水道への接続依頼や説明会・見学会・各種キャンペーンなどあらゆる機会を通じて積極的な普及啓発活動に努め、公共下水道の利用促進を図ります。 浄化槽の普及促進と適正な維持管理の指導 ◆公共下水道等の整備計画区域外において、浄化槽の普及促進について啓発活動を行います。 ◆浄化槽の適正な維持管理のため、保守点検、清掃及び法定検査受検の指導を行います。 危機管理対策 ◆災害等緊急時における下水道機能を確保するため、施設の重要度や保持すべき機能等を踏まえた計画的な耐震化に努めます。 ◆災害等緊急時に備えて、(※)下水道部業務継続計画(下水道BCP)に基づく訓練を定期的に行うとともに関係機関との連携を充実させるなど、危機管理体制の強化に努めます。 ※関連計画 『大分市都市計画マスタープラン』『大分市公共下水道事業基本計画』『大分市公共施設等総合管理計画』 【目標設定】 (※)汚水処理人口普及率  現状値(2015年度末現在)79.6%  目標値(2019年度見込)83.5% 下水処理人口普及率  現状値(2015年度末現在)61.9%  目標値(2019年度見込)66.2% ※汚水処理人口普及率=(公共下水道処理人口+農業集落排水施設処理人口+浄化槽処理人口)/行政人口(%) (大分市の総人口に対して、公共下水道・農業集落排水施設・浄化槽の汚水処理施設を利用することができる人口の割合) <用語解説> ※下水道部業務継続計画(下水道BCP)  大規模な災害、事故等で職員、庁舎や下水道部が管理する設備等に相当の被害を受けても、優先実施業務を中断せず、たとえ中断しても許容される時間内に復旧するための計画。 第3節 安全で快適な住宅の整備 【動向と課題】  住宅は、人々が健康で快適な生活を送る上で最も基本的な条件の一つです。  近年は、安全・安心に対する市民意識の高まりや生活様式の多様化を反映し、住宅に関するニーズも、より質的な充実を求める傾向にあります。  本市における住宅をめぐる具体的な問題としては、火災等の際に延焼が危惧される密集住宅市街地の存在や、耐震性に問題がある老朽住宅の存在、また、今後の人口減少社会の到来、少子高齢化の進展による空き家の増加に伴う居住環境の悪化などが挙げられます。  このため、良好で災害に強い住宅市街地の形成を促すほか、(※)住宅ストックを活用した居住環境の質を向上させる整備・誘導を進め、活気のある健全な地域社会の形成を目指す必要があります。  また、高齢者人口の増加や住宅に関するニーズに対応するため、高齢化対応住宅の普及や公営住宅等の改善を進め、高齢者や障がいのある人、低所得者等が安心して生活できる環境を整えていく必要があります。 【基本方針】  市民一人ひとりが豊かさを実感できる安全で快適な住みよい居住環境の創出を図ります。また、高齢者や障がいのある人等が安心して生活できる住まいづくりを進めるとともに、公営住宅等に対する多様なニーズに対応した良質な居住空間の形成を図るなど、各地域の特性に応じた住宅施策を計画的に推進します。 【主な取組】 暮らしを支える良好な居住環境づくり ◆土地利用計画に整合した住宅地開発等の規制・誘導を行い、良好な居住環境の創出に努めます。 ◆中心市街地や郊外住宅地における居住環境の変化に対応するため、多様な市民ニーズを把握し、それぞれの地域の特性に応じた暮らしやすい生活環境づくりに努めます。 ◆地域の歴史や特性を生かした地区計画や建築協定による誘導を図るなど、良好な居住環境の形成に努めます。 ◆密集住宅市街地における居住環境の整備・改善を行い、安全で快適な環境づくりに努めます。 ◆生垣設置や壁面・屋上緑化等を推進し、緑豊かな居住環境づくりに努めます。 ◆市街地の住居表示整備事業を推進し、あわせて国際化事業の一環として街区表示板にローマ字を併記するなど、外国人にも分かりやすく、暮らしやすい生活環境づくりに努めます。 ◆住宅ストックの活用方法などを検討し、良好な居住環境づくりに努めます。 ◆空き家等については、移住者などの住み替え支援として活用するほか、地域コミュニティの維持及び活性化のため、公民館など地域の財産として利活用を図ります。 ◆良好な居住環境を阻害する老朽危険空き家の除却を促進します。 安全・安心で快適な住宅の確保 ◆地震発生時の建物などの倒壊等による人的、物的被害を未然に防止するため、既存の住宅の耐震化や危険なブロック塀等の除却を促進します。 ◆建材等から発散する化学物質の抑制やアスベストの飛散防止対策を進め、快適で安全な居住空間の確保に努めます。 ◆高齢者や障がいのある人等が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、住宅のバリアフリー化を進めるなど、良好な住宅の確保に努めます。 公営住宅等の計画的な整備 ◆人口動向や民間を含めた住宅ストック総量を踏まえ、公営住宅等の適正な配置に努めます。 ◆公営住宅等の長寿命化を図るため、予防保全型の維持管理を行うなど、ライフサイクルコストの縮減に取り組みます。 ※関連計画 『大分市都市計画マスタープラン』『大分市住宅マスタープラン』『大分市公共施設等総合管理計画』『大分市公営住宅等長寿命化計画』『大分市耐震改修促進計画』『大分市バリアフリー基本構想』 【目標設定】 住宅の耐震化率  現状値(2015年度末現在)82.3%  目標値(2019年度見込)92.5% (※)大分市住み替え情報バンクの登録数(累積)  現状値(2015年度末現在)76件  目標値(2019年度見込)200件 <用語解説> ※住宅ストック  既に建っている既存の住宅のこと。 ※大分市住み替え情報バンク  空き家等の売却または賃貸を希望する所有者等から申し込みを受けて、当該空き家等に係る情報を公開する制度のこと。 第4節 公園・緑地の保全と活用 【動向と課題】  本市では、都市化の進展や、心のゆとりや豊かさを求める市民のニーズを背景にして、公園・緑地の量、質ともに充実を図ってきました。現在、市民1人当たりの都市公園の面積は14.65uで全国平均の10.1uを上回っています。  また、市街地においても環境保全、景観形成、防災、レクリエーションなど、緑の持つさまざまな役割と機能に十分配慮し、都市緑化の取組を推進するなど、人と自然が共生する地域づくりを進めてきました。  地域の特性や市民の生活様式等も変化してきており、今後は、新たなニーズに対応した公園の活用を検討し、公園・緑地の整備や保全、適正な維持管理を進めていくことが求められています。 【基本方針】  市民の健康維持やコミュニティ活動・文化創造活動・スポーツ・レクリエーション等に活用できる良好な都市空間を確保するため、幅広いニーズに対応した利用しやすい公園・緑地の整備や維持管理に努めます。 【主な取組】 公園・緑地の整備と保全 ◆利用者に配慮し、地域の特性や市民ニーズに対応した魅力的で活気のある公園を適正な規模で配置するなど、計画的な整備に努めます。 ◆環境、防災対策や、都市の景観の向上を図るため緑地の整備と保全を図ります。 ◆大友氏遺跡歴史文化公園や大分城址公園など、歴史的文化遺産を生かした公園の整備促進に努めます。 公園施設の維持管理と美化活動の促進 ◆遊具等の公園施設については、予防保全の観点を取り入れた長寿命化を図り、計画的な保守点検、修繕に取り組み、適切な維持管理に努めます。 ◆多目的トイレの設置や出入口の段差解消など、公園施設のバリアフリー化を進めます。 ◆(※)街区公園愛護会やボランティア団体、NPO団体等と市の連携を密にするなかで、市民協働のもと、トイレ等を含めた公園内の美化活動などに取り組みます。 ※関連計画 『大分市都市計画マスタープラン』『大分市緑の基本計画』『大分市公共施設等総合管理計画』『大分市公園施設長寿命化計画』『大分市バリアフリー基本構想』 【目標設定】 市民1人当たりの都市公園面積  現状値(2015年度末現在)14.65u  目標値(2019年度見込)15.00u 多目的トイレの設置数(累積)  現状値(2015年度末現在)120箇所  目標値(2019年度見込)150箇所 公園愛護会の結成数  現状値(2015年度末現在)399団体  目標値(2019年度見込)410団体 <用語解説> ※街区公園愛護会  公園が楽しく憩いの場となるよう清掃・除草活動等を行う、自治会、子ども会、老人会等により公園ごとに設立された組織。