第1部 健やかでいきいきと暮らせるあたたかさあふれるまちづくり(市民福祉の向上) 第1章 社会福祉の充実 第1節 地域福祉の推進 【動向と課題】  わが国においては、急速に進展する少子高齢化や人口減少社会の到来により、社会構造が大きく変化しているなか、地域のつながりが希薄になるとともに、個々の価値観は多様化し、地域における相互扶助機能が低下しています。また、地域福祉の担い手不足、ひとり暮らし高齢者や子育て世帯の孤立化など、新たな課題も表面化しつつあります。  一方で、生活の質や心の豊かさを重視する市民意識はますます高まり、地域における福祉サービスに対するニーズは複雑かつ多様化しており、このような社会構造の変化や市民意識に対応した地域福祉施策が求められています。  本市においては、自分の意思と責任において自分らしい生き方や幸せを追求する「自助」を基本としつつ、ボランティアや(※)NPO活動などによる社会的な助け合いによる「共助」、そして、行政による「公助」、これら3つの要素のバランスがとれた、地域で支え合い、助け合うネットワークづくりを推進しています。また、ますます複雑かつ多様化する市民ニーズに対応するため、これまで以上に保健・医療・福祉・教育等の各分野の連携を強化し、市民サービスの一層の向上に努める必要があります。 【基本方針】  市民一人ひとりが、障がいの有無や年齢等にかかわらず、だれもが住み慣れた地域で個性を生かし、お互いが支え合い、助け合うことにより、安心してともに生活を送ることのできる、みんなが主役の地域社会づくりを進めます。 【主な取組】 小地域での福祉のネットワークづくり ◆社会福祉協議会や(※)民生委員・児童委員、自治会等と連携を図りながら、地域のコミュニティ活動を活性化し、地域福祉活動への市民参加を促進します。 ◆日々の暮らしにおける支え合い活動の促進や、仲間づくりのための交流の場をつくります。 地域福祉の担い手づくり ◆ボランティアなど地域で活動する人を支援し、研修・指導体制を整備するとともに、活動の活性化を図ります。 ◆地域福祉を推進するリーダーや、専門的かつ高度な知識・技術を有する人材の育成・確保に努めます。 ◆あらゆる場面をとらえて福祉教育を推進し、市民の福祉活動への理解を深め、お互いが支え合い、助け合う心の醸成に努めます。 地域福祉推進体制の整備 ◆民生委員・児童委員が地域で円滑かつ効果的に活動ができるよう支援します。 ◆地域福祉推進の中心的役割を担う社会福祉協議会の強化を図ります。 ◆災害時の避難に支援を要する人の情報を集約した(※)避難行動要支援者名簿に基づき、地域との情報共有や個別避難計画の作成による支援体制を進めます。 ◆保健・医療・福祉の各分野に従事する職員など、地域福祉の推進に必要な人材の確保に努めます。 ※関連計画 『第3期大分市地域福祉計画・第4次地域福祉活動計画(みんなが主役のささえあいプラン)』 【目標設定】  (※)福祉協力員を配置している校(地)区社会福祉協議会の数  現状値(2015年度末現在)5校区  目標値(2019年度見込)20校区 <用語解説> ※NPO  “Non‐Profit Organization”の略で、民間非営利組織。営利を目的としない、公益的な活動を行う民間組織のこと。 ※民生委員・児童委員  民生委員法及び児童福祉法に基づき、厚生労働大臣から委嘱された、非常勤の地方公務員。地域福祉の最前線で高齢者、障がい者、母子等に対する福祉サービスの紹介や相談活動、児童虐待の発見通報等、さまざまな活動に取り組んでいる。 ※避難行動要支援者  生活の基盤が自宅にある要配慮者(高齢者、障がい者、乳児、その他の特に配慮を要する者)のうち、災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難で、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、特に支援を要する一定の要件(第1種身体障害者手帳、要介護認定3〜5など)に該当する人。 ※福祉協力員  おおむね自治会ごとを活動範囲とし、自治会長や民生委員等と協力しながら地域のさまざまな支援者や団体と連携し、地域における福祉活動を支援する役割を担う人。選出や任命及び活動内容等については、地域の実情に応じて校(地)区社会福祉協議会ごとに検討し、地域支援活動を行っていく。 第2節 子ども・子育て支援の充実 【動向と課題】  わが国における急速な少子化の進行や人口減少社会の到来は、労働力人口の減少や現役世代の負担増、地域社会の活力の低下等、多くの分野に影響を与えており、深刻な社会問題となっています。  また、都市化や核家族化の進行により、子育て家庭が孤立しがちになるなど、社会のさまざまな面において子どもや子育てを取り巻く環境は大きく変化しています。  2013(平成25)年の本市の(※)合計特殊出生率は1.59で、近年、上昇傾向であるものの、(※)人口置換水準とされる2.07には及ばない状況で、少子化の進行が予想されます。  一方、女性の社会進出や就労形態の変化などにより共働き家庭が増加し、保育需要は一層高くなっています。また、質の高い学校教育と保育の提供を通じて子どもが健やかに成長するように支援する必要があります。  このようななか、少子化の流れを変え、大分の未来を担う子どもたちが個性と人格を大切にされ、健やかにいきいきと育っていくために、行政・地域・その他の関係団体等が一体となって地域社会全体で子育て支援体制の構築を図りながら、社会環境の整備を進める必要があります。 【基本方針】  良質で適切な教育・保育・子育て支援の総合的な提供を図るとともに、保護者自身の親としての成長を支援します。さらに、地域や社会全体で子どもの育ちや子育てを支える環境を整えることで、すべての子どもが健やかに育つことができるまちづくりを推進します。 【主な取組】 結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援の充実 ◆男女の出会いの場の創出を支援します。 ◆妊娠・出産・育児に関する健診・相談・指導体制や情報提供、学習機会の充実を図り、親育ちのための支援を進めます。 ◆健診や治療に係る費用の助成など、経済的支援の充実に努めます。 乳幼児の発育・発達に向けた支援の充実 ◆乳幼児の健やかな心身の発育・発達を促すため、健診・相談・指導体制の充実を図るとともに、食育の推進や小児救急医療体制の充実を図ります。 乳幼児期における教育・保育の提供 ◆保育所等の定員拡大を図り、乳幼児期における教育・保育の提供体制を整備するとともに、地域のさまざまな子育て支援事業の充実を進めます。 子どもと家庭へのきめ細かな支援 ◆障がいのある子どもへの相談支援体制を整備するほか、ひとり親家庭の自立促進に向けた支援を推進します。 ◆児童虐待の発生予防、早期発見・早期対応のため、相談体制や関係機関等との連携を充実・強化します。 ◆子どもの貧困対策に向けた総合的な支援に取り組みます。 子どもと子育てを支える社会づくり ◆地域住民との連携を図りながら、子育て家庭が身近な地域において、安心して子育てと親育ちのできる環境づくりに努めます。 ◆放課後、児童が身近な地域で安全・安心に過ごせるよう、(※)児童育成クラブの整備・充実等に努めます。 ◆健やかな子どもの育成を図るため、子育て家庭に対する経済的支援の充実に努めます。 仕事と子育ての両立支援 ◆ワーク・ライフ・バランスの気運の醸成を図るため、広報・啓発活動を行うとともに、男性の育児参加の促進に向けた取組を進めます。 ※関連計画 『すくすく大分っ子プラン』 【目標設定】  保育施設利用待機児童数  現状値(2016年4月現在)350人  目標値(2019年度見込)0人 児童育成クラブ定員  現状値(2016年4月現在)3,739人  目標値(2019年度見込)4,082人 大分市子育て支援サイト「naana」アクセス数  現状値(2015年度末現在)506,945件  目標値(2019年度見込)550,000件 <用語解説> ※合計特殊出生率  15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子どもの数に相当する。 ※人口置換水準  現在の人口を維持できる合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に産むとした時の子どもの数に相当)の目安。国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2014)」によると、2012(平成24)年現在では2.07となっている。 ※児童育成クラブ  保護者が就労等により昼間家庭にいない小学生に対し、授業の終了後などに適切な遊びや生活の場を提供する施設。各クラブにおける専用区画の面積を1.65uで割ったものを定員としている。 第3節 高齢者福祉の充実 【動向と課題】  わが国の高齢化率は25%を超えており、(※)超高齢社会へと移行した後も、なお少子高齢化が進み続けています。本市においても、高齢化率は23.9%(2015(平成27)年5月末現在)にのぼり、団塊の世代が75歳に達する2025(平成37)年には、本市の高齢化率が28%を超えるとともに、認知症高齢者や、ひとり暮らし高齢者、高齢者夫婦のみの世帯も増加することが予想されます。  こうしたなか、本市においては、終末期に自宅での療養を希望する市民の割合が約6割にのぼり、認知症対策も含む在宅支援の体制強化の必要性が高まっており、高齢者が尊厳を失わず、生きがいを持って住み慣れた地域で安心して生活ができる社会の実現が求められています。  そのため、医療、介護、予防、住まい及び生活支援のサービスが切れ目なく一体的に提供される「(※)地域包括ケアシステム」の構築が重要となります。  また、高齢者の有する知識や能力を活用することにより、生きがいづくりや地域の活性化につなげる施策を推進していく必要があります。 【基本方針】  高齢者がその有する能力に応じ主体性を持って、住み慣れた地域社会で、(※)健康寿命(お達者年齢)の延伸に向け、心身の健康を維持し、明るく安心して生きがいのある生活を送れる社会の実現を目指します。 【主な取組】 高齢者の福祉と保健を支える社会的基礎の確立 ◆高齢者に対する学習機会の提供や充実に努め、高齢者の社会参加活動を支援し、生きがいづくりを促進します。 ◆幼児期から福祉への理解と関心を高めるための福祉教育と高齢者にやさしいまちづくりが、より一層推進されるよう努めます。 ◆高齢者やその家族の総合相談窓口である(※)地域包括支援センターの充実を図ります。 地域生活支援体制の整備 ◆ひとり暮らし高齢者等の事故の未然防止と孤独感の解消に向けた取組を充実します。 ◆高齢者に配慮した居住環境整備を行い、在宅サービスなどの生活支援を充実します。 ◆大分市社会福祉協議会の活動基盤強化を支援します。 高齢者が生きがいを持って元気に暮らすための支援 ◆高齢者が気軽に外出できる環境をつくり、ボランティア、レクリエーション、就労、趣味等を通じて積極的な社会参加や生きがいづくりを促進します。 介護予防対策の推進 ◆高齢者ができる限り要支援・要介護状態にならないよう、住み慣れた地域でその人らしい生活を継続するために、生活機能の維持・向上を図り、健康の保持増進や介護予防の推進に取り組むことにより、健康寿命(お達者年齢)の延伸に努めます。 認知症高齢者支援対策の推進 ◆認知症高齢者の生きがいある生活の実現に向け、保健・医療・福祉等の専門的視点からの取組や適切なサービスの提供を行います。 ◆民生委員・児童委員や老人クラブなど、地域における各種関係団体と連携しながら、認知症高齢者やその家族への支援と権利擁護のための体制を構築します。 ◆認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を見守る「認知症サポーター」やサポーター養成講座の講師である「認知症キャラバン・メイト」の養成に取り組みます。 地域包括ケアシステムの推進 ◆在宅医療・介護を一体的に提供できる体制を構築するため、医療と介護の連携を推進します。 ◆多職種協働により、地域の課題等を把握する地域ケア会議を推進します。 ◆地域の実情に応じ、NPO等の多様な主体によるサービスの提供に努めます。 介護サービス基盤の整備 ◆要介護高齢者の需要に応じた介護施設の整備に努めます。 ◆一人暮らしに不安を感じている高齢者や、居宅での生活が困難な高齢者が利用できる施設の整備を促進します。 介護保険事業の円滑な推進 ◆被保険者や介護サービス事業者等への施策を充実します。 ◆適切なサービス提供がなされるよう介護給付の適正化に努めるなど、介護保険財政の健全性を確保しながら、介護保険事業の推進を図ります。 ※関連計画 『大分市高齢者福祉計画及び第6期大分市介護保険事業計画(長寿いきいき安心プラン)』 【目標設定】  認知症サポーター養成講座受講者数(累積)  現状値(2015年度末現在)26,376人  目標値(2019年度見込)50,000人 地域ふれあいサロン利用登録者数  現状値(2015年度末現在)12,700人  目標値(2019年度見込)14,000人 <用語解説> ※超高齢社会  総人口における65歳以上の高齢者人口が占める割合である高齢化率が21%を超えた社会のこと。なお、高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」という。 ※地域包括ケアシステム  重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制のこと。 ※健康寿命(お達者年齢)  健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。健康寿命は、「国民生活基礎調査」のデータをもとに国が都道府県単位で算出し、お達者年齢は、県が独自に市町村単位で算出する。 ※地域包括支援センター  高齢者の総合相談窓口として、公正で中立的な立場で、高齢者の多様なニーズに対応した切れ目のない包括的なサービスの提供を行うことを目的とした機関。また、保健・医療・福祉の関係者や地域住民とともに地域のネットワークを構築し、「地域包括ケア」の推進を図っている。 第4節 障がい者(児)福祉の充実 【動向と課題】  障がいの重度化や障がいのある人の高齢化の進展とともに、福祉サービスの対象者に難病患者等が加わるなど、障がいのある人を取り巻く社会状況・環境等が大きく変化しており、その対応が大きな課題となっております。  このようななか、国においては、障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための施策を講じるとともに、障がいの有無にかかわらず、相互に個性の差異と多様性を尊重し、人格を認め合う共生社会の実現を図ることを基本的な考え方としており、本市においても、障がいのある人が、住み慣れた地域で、安心して暮らせるための施策を推進しているところです。  今後も、障がいのある人や家族のニーズを的確にとらえ、障がいのある人が地域社会に積極的に参加し、生きがいのある日々を過ごせるよう、生涯を通じて切れ目のない、きめ細かなサービスをさらに充実させていく必要があります。 【基本方針】 (※)ノーマライゼーションの理念のもと、障がいのある人が社会の対等な構成員として人権を尊重され、自己選択と自己決定のもとに社会活動に参加し、社会の一員として責任を分かち合うとともに、住み慣れた地域で安心して自立した生活ができる社会の構築を目指し、個々の障がいに応じた適切な施策を推進します。 【主な取組】 広報・啓発の推進 ◆市報・ホームページ・人権講演会等を通じて、障がいや障がいのある人についての正しい理解を深めるための広報・啓発と、障がい者施策や障がいのある人が利用できる制度についての周知を図ります。 ◆障がいや障がいのある人に対する市民の理解を深めるために、公民館における講座等の充実に努めます。 保健・医療体制の充実 ◆健康診査体制を充実し、発達障がいをはじめとする障がいの早期発見・早期療育に努めるとともに、関係機関相互の連携を図り、巡回療育相談、発達相談や保健指導事業などを充実させ、障がいのある子どもとその家族への支援体制の充実に努めます。 ◆障がいのある人の保健・医療・リハビリテーションの充実と難病患者の支援体制の充実に努めます。 ◆療育等相談や保健指導事業の充実を図るため、研修などにより保健師等関係職員の資質の向上に努めます。 教育の充実 ◆学校における教育活動全体において、障がいのある子ども一人ひとりの実情に即した教育が進められるよう、教育施設・教材の充実を含め、(※)特別支援教育の推進に係る校内支援体制の充実に努めます。 ◆学校において、社会福祉についての理解を深める指導を行い児童生徒の「福祉の心」をはぐくむとともに、障がいや障がいのある人に対する理解を深めるための交流教育を推進します。 ◆発達障がいも含め、障がいのある児童生徒やその保護者の教育的ニーズに対応した相談・支援体制の充実に努めます。 雇用・就労の促進 ◆公的施設等での就労の場の確保に配慮しながら、雇用機関との連携を強化し、福祉サイドからの就労支援の強化を図るなど、障がいのある人の職業的自立と雇用の促進に努めます。 ◆障がい者の雇用につながるよう、企業のニーズを把握しながら、幅広い職種への対応ができるよう(※)就労移行支援事業所による訓練を促進します。 地域生活への移行の促進 ◆障がいのある人の入所施設等から地域生活への移行の促進を図るとともに、障がいのある人の年齢や障がいの種別、程度に応じたさまざまなニーズへのきめ細やかなサービスの提供に努めます。 ◆障がいのある人が地域において安全で安心し、かつ、自立した生活を続けられるよう、相談体制や障がい福祉サービスの充実を図ります。 ◆公共施設や道路等における段差の解消など、障がいのある人が安全で快適に移動することができるよう総合的な交通対策を推進するとともに、障がいのある人が利用しやすいホームページづくりなど、施設・情報のバリアフリー化を促進します。 ◆災害発生時の避難等に特に支援を要する障がいのある人の防災対策等を推進します。 社会参加の促進 ◆障がいのある人の積極的なイベント参加を図り、より多くの市民との交流に努めます。 ◆障がいのある人の外出時における支援や、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の確保等の合理的な配慮を行うとともに、手話通訳者の人材育成に努めます。 ◆障がいのある人の社会参加や地域での交流を促進し、ゆとりや潤いのある生きがいを持った生活を実現し、個々の能力や趣味に合わせた文化・スポーツ・レクリエーション活動の場の確保に努めます。 ◆姉妹・友好都市との交流やスポーツ大会等を通じて、障がいのある人の国際交流を推進します。 ※関連計画 『第三期大分市障害者計画』『第4期大分市障害福祉計画』『大分市バリアフリー基本構想』 【目標設定】  就労移行支援の利用者数  現状値(2015年度実績)143人  目標値(2019年度見込)241人 (※)就労継続支援(A型)の利用者数  現状値(2015年度実績)333人  目標値(2019年度見込)410人 (※)就労継続支援(B型)の利用者数  現状値(2015年度実績)1,044人  目標値(2019年度見込)1,200人 上記福祉サービス利用から一般就労への移行者数  現状値(2015年度実績)41人  目標値(2019年度見込)100人 (※)共同生活援助(グループホーム)の利用者数  現状値(2015年度実績)416人  目標値(2019年度見込)500人 手話通訳者を配置(巡回を含む)している市有施設数  現状値(2015年度末現在)1箇所  目標値(2019年度見込)9箇所 <用語解説> ※ノーマライゼーション  高齢者も若者も、障がいのある人もない人も、すべて人間として普通の生活を送るため、ともに暮らし、ともに生きていける社会こそ「ノーマル」であるという考え方。 ※特別支援教育  障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うこと。 ※就労移行支援事業所  障がいがあり、一般的就労を希望する人に対して、働くために必要な知識や能力を身につける職業訓練や実習、また、就職後には職場定着支援を行うための障がい福祉サービスを提供する事業所。 ※就労継続支援(A型)  一般企業に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が可能な障がいのある人に、生産活動等の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上を図る支援。 ※就労継続支援(B型)  一般企業に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労も困難な障がいのある人に、生産活動等の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上を図る支援。 ※共同生活援助(グループホーム)  夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行う支援。 第5節 社会保障制度の充実 【動向と課題】  国は、国民が一生を通じて安心して生活を営めるよう、突然の病気や事故、老齢などによる経済的不安の解消を図るため、各種社会保障制度を整備しています。  しかしながら、わが国は、急速な少子高齢化の進展と総人口の減少により、社会保障の受益と負担の世代間不均衡が問題となっています。さらに、核家族世帯や高齢者世帯の増加などにより、家族の支え合いが低下するとともに、社会構造や住民意識の変化により地域でのつながりの希薄化も指摘されており、社会保障制度の見直しが求められています。  一方、わが国の社会保障制度は正規労働者中心の雇用システムを前提に構築されていますが、非正規雇用労働者の割合が年々増加しています。そのため、非正規労働者の雇用対策に取り組む必要がありますが、あわせて、非正規雇用の増加にも対応した社会保障制度の在り方も今後の課題となっています。  このようななか、国は、医療・年金をはじめとして、すべての世代が安心感と納得感の得られる、「全世代型」の社会保障制度の改革に取り組んでいます。本市としても、制度改革の趣旨を踏まえ、各制度の充実・推進を通して、市民が安心して暮らせるよう、国へ働き掛けていく必要があります。なかでも、医療費については、全国的な傾向と同様に、毎年増加しているとともに、1人当たり医療費も全国平均を上回る高い状況が続いていることから、国保財政の健全化を図るための取組が求められています。  また、本市の生活保護世帯数は、景気の変動や高齢化・核家族化等により、依然として増加しており、法の適正実施はもとより、最後の(※)セーフティネットとして、心の通った生活保護を推進していくために、要保護者の実情に即したよりきめ細かな対応が求められています。  さらに、(※)生活困窮者へ適切な支援を行うとともに、自立した生活が行えるようサポート体制の充実が必要となります。 【基本方針】  国民健康保険制度・高齢者医療制度・国民年金制度の周知と健全な運営に努めるとともに、市民が安心して生活を送れるようにそれぞれの制度が、将来にわたり改善・充実されるよう、国や県に働き掛けていきます。  また、低所得者の生活の安定と自立を支援するため、生活相談や生活指導などの充実に努めます。 【主な取組】 国民健康保険制度の充実 ◆疾病予防・健康づくりなどに重点を置いた、医療費適正化を進めます。 ◆滞納者対策を行いながら、収納率の向上と負担の公平性の確保に努めます。 ◆新たな国民健康保険制度への移行が円滑に進むよう取り組むとともに、制度の安定的な運営の持続に向け、改善・充実を国や県へ要請します。 ◆制度の仕組みや現状等について市民の理解を深めるための啓発活動を推進します。 高齢者医療制度の推進 ◆運営主体である後期高齢者医療広域連合と連携し、円滑な制度の運営に努めます。 ◆制度内容について必要に応じて国や県へ制度改善を要請します。 国民年金制度の推進 ◆国民年金制度の周知を図り、未納・未加入による無年金者の防止に努めます。 ◆年金制度の改善・充実を国へ要請します。 低所得者福祉の充実 ◆被保護者個々の実態を踏まえ、必要な相談・助言・指導を行い、生活保護実施体制をより充実します。 ◆生活保護の適正運用に努め、嘱託医、民生委員・児童委員、職業安定所などとの連携を密にし、就労支援など自立の支援を推進します。 ◆生活困窮者自立支援制度における支援体制の充実を図ります。 ※関連計画 『大分市国民健康保険事業財政健全化計画』『大分市保健事業実施計画(データヘルス計画)』 【目標設定】  国民健康保険加入者の(※)特定健康診査受診率  現状値(2014年度末現在)35.2%  目標値(2019年度見込)60.0% 国民健康保険加入者の後発医薬品(ジェネリック医薬品)使用率  現状値(2015年度末現在)52.8%  目標値(2019年度見込)80.0% 生活保護受給者就労支援事業により3カ月以上の就労自立期間のあった人の数  現状値(2015年度実績)112人  目標値(2016〜2019年度の累積)500人 <用語解説> ※セーフティネット  低所得者に対する救済制度のこと。雇用保険制度などの社会保障は「第1のセーフティネット」、生活困窮者自立支援制度は「第2のセーフティネット」、生活保護制度は「最後のセーフティネット」と呼ばれている。 ※生活困窮者  現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある人。 ※特定健康診査  2008(平成20)年4月より始まった、生活習慣病予防のための新たな健診。40歳から74歳までが対象で、腹囲の測定及びBMIの算出を行い、基準値以上の人はさらに血糖、脂質、血圧、喫煙習慣の有無から危険度により階層化され、リスクに応じた保健指導を受けることになる。 第2章 健康の増進と医療体制の充実 第1節 健康づくりの推進 【動向と課題】  急速な高齢化の進展や生活環境の変化により、がん・心臓病・脳卒中・糖尿病等の(※)生活習慣病やうつ病等の罹患者が増加しており、2012(平成24)年の本市における三大生活習慣病(がん・心疾患・脳血管疾患)により死亡した人は、全国並びに県の状況と同様に全体の約5割を占めています。  また、2025(平成37)年には本市の後期高齢者が2015(平成27)年の1.5倍に増加すると予測されており、寝たきりや認知症を防ぐためには、若い頃から生活習慣病予防に取り組むことが必要です。  その一方で、健康な生活を求める市民意識は高まりを見せており、ライフステージ(人生の各世代)に応じて、楽しみながら健康づくりに取り組めるシステムづくりが求められています。  このような健康への市民ニーズに対応するため、市民により身近で、地域の実情にあった一貫した保健サービスの確立と提供がより必要とされています。  本市では、地域の保健サービスの拠点である各保健センターや健康支援室において、保健、医療、福祉及び教育等との連携のもと、運動や食生活をはじめとする生活習慣の改善を図り、発病を予防する「(※)一次予防」に重点を置いた対策を推進していくことが重要となっています。  さらに、「自分の健康は自分で守る」という意識を大切にしながら、地域での健康づくりを担う人材を育成するとともに、関係団体等と連携を図りながら市民の健康づくりを推進していく必要があります。 【基本方針】  すべての市民が、その生涯を通じて健康で快適な生活を送れるよう、保健、医療、福祉及び教育等との連携を深めながら一貫した保健サービスを総合的に展開するとともに、「自分の健康は自分で守る」という意識の高揚を図り、市民の身近な地域での健康づくりを推進します。 【主な取組】 (※)健康寿命(お達者年齢)の延伸に向けた支援  ◆保健、医療、福祉及び教育等との連携のもと、健康寿命(お達者年齢)の延伸に向け市民一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組める施策を展開します。 健康づくり活動への支援 ◆ライフステージに合わせた健康相談や健康教育などを行うとともに、生涯を通じた健康づくりを支援します。 ◆関係機関や団体との連携強化を図りながら、運動や(※)食育の推進に取り組むことで、生活習慣の改善を支援します。 地域に密着した活動の強化 ◆市民の生活習慣の実態と健康に関するニーズを把握し、すべての市民が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、健康について総合的に相談できる窓口の充実を図ります。 ◆地域で開催される高齢者や子育てのサロン、各種団体への健康教育を通して健康づくりを支援します。 ◆(※)健康推進員や(※)食生活改善推進員など地域組織のリーダーとの協働による健康づくりを進めます。 こころの健康づくり ◆精神保健福祉に関する知識の普及・啓発に取り組むとともに、相談事業を通し、こころの健康の保持増進を図ります。 ◆自殺予防のためのこころの健康づくりの取組を推進します。 健康診査体制の充実 ◆健康診査の受診機会の拡充を図ります。 ◆健康診査項目の充実と検査体制の強化を図ります。 ◆生活習慣の改善が必要な人への保健指導を充実し、生活習慣病の予防を推進します。 感染症予防のための啓発・情報提供 ◆結核やエイズなど感染症に対する正しい知識の普及を図り、検査体制や相談体制の充実に努めます。 ◆感染症情報の収集と提供を行い、発生予防や拡大防止の啓発と予防接種の接種率の向上に努めます。 ※関連計画 『第2期いきいき健康大分市民21』『第2期大分市食育推進計画』 【目標設定】  食生活改善推進員養成講座修了者数(累積)  現状値(2015年度末現在)447人  目標値(2019年度見込)550人 大分市健康推進員配置自治区数  現状値(2015年度末現在)652自治区  目標値(2019年度見込)全自治区 3歳児健診でのむし歯保有率  現状値(2015年度末現在)20.5%  目標値(2019年度見込)15.0% MR(麻しん・風しん混合)ワクチンの1期(生後12〜24月)・2期(小学校就学前1年間)の各接種率  現状値(2015年度末現在)1期90.2% 2期92.6%  目標値(2019年度見込)1期、2期の接種率95.0%以上の達成・維持 <用語解説> ※生活習慣病  食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群(糖尿病・脳卒中・心臓病・高血圧・高脂血症・肥満など)。 ※一次予防  適切な生活習慣を定着させることにより、健康を増進し発病を予防することに重点を置いたもの。従来の疾病対策は早期発見・早期治療に重点を置いた「二次予防」であった。 ※健康寿命(お達者年齢)  健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。健康寿命は、「国民生活基礎調査」のデータをもとに国が都道府県単位で算出し、お達者年齢は、県が独自に市町村単位で算出する。 ※食育  生きる上での基本であって、教育の3本柱である知育・徳育・体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、さまざまな経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること。(2005(平成17)年7月「食育基本法」施行) ※健康推進員  自治会の推薦を受け、市長から委嘱を受けた市民。自治会長、民生委員・児童委員等地域の関係者や地区担当保健師、管理栄養士と連携を図りながら、保健所・保健センターと市民のパイプ役として、保健サービスに関する情報提供を行うとともに、地域に根ざした独自活動を行うなど、市民の健康づくりを推進する。1自治区に1人(任期2年間)。 ※食生活改善推進員  保健所で開催する養成講座を修了した後、地域での普及啓発活動を行い食生活の改善を支援するとともに、保健所が行う各種事業に参画し、地域での食を通じた健康づくりを行うボランティア(愛称 ヘルスメイト)。 第2節 地域医療体制の充実 【動向と課題】  本市の医療機関の状況について、全国中核市の平均と比較すると、病院数では上回り、一般診療所と歯科診療所の数では多少下回るものの、一定レベルの医療体制が確保されているといえます。  しかしながら、今日では、こころの病を持つ人やがんや高血圧症など生活習慣病の罹患者が増加傾向にあるとともに、2025(平成37)年には、団塊の世代が75歳に達する後期高齢者となり、その数が2015(平成27)年の1.5倍になることが予想され、医療と介護を必要とする人の増加が見込まれています。  このようなことから、市民の“こころ”と“からだ”の健康を支えるため、病院と診療所の連携を強化するとともに、在宅における医療と介護の連携が取れるよう、さらにきめ細かな医療体制を構築し、(※)プライマリ・ケアを一層充実させることで、いつでも、どこでも安心して医療サービスが受けられる地域医療体制を築いていく必要があります。  また、高齢化・核家族化・独居者の増加等を背景に、急病や事故による救急車の出場回数や、休日・夜間の救急医療利用者数が増加するなど、救急医療体制への市民ニーズはますます高くなることから、医療従事者の負担は増加しています。  さらに、近年では地震や台風などの自然災害時における健康危機とともに、(※)新型インフルエンザに加え、(※)エボラ出血熱や(※)デング熱、(※)MERSなどの新たな感染症、ノロウィルスによる食中毒など、市民の健康を脅かすさまざまな健康危機が発生しており、健康危機管理体制の強化と迅速な対応が求められています。 【基本方針】  市民一人ひとりが適した医療を受け、その生命や健康を守ることができるよう安心で安定した地域医療体制の確立を目指します。 【主な取組】 地域医療体制の整備 ◆関係機関の連携のもと、地域医療体制の整備を総合的に検討します。 ◆市民一人ひとりに適した医療を提供できるよう、(※)かかりつけ医を持つことを市民に周知啓発します。 在宅医療体制の整備 ◆できる限り住み慣れた地域で、その人にとって適切な医療サービスが受けられるよう(※)地域包括ケアシステムを構築するために関係機関と連携を図り、入退院支援や看護職員の連携強化など在宅医療の体制整備を推進します。 救急医療体制の充実 ◆(※)初期救急医療体制の一環として実施している休日・夜間当番医制を関係機関の協力のもと、充実を図ります。 ◆市内の医療機関による(※)第二次救急医療体制及び(※)第三次救急医療体制の充実を図ります。 ◆(※)小児救急医療体制について、関係機関の協力のもと、充実を図ります。 ◆救急時、市民が適切な医療を受けられるよう、関係機関・団体と連携しながら救急医療情報を整備します。 災害時医療救護体制の拡充 ◆災害時医療救護体制について、県・近隣市町村・関係機関との相互連携を強化し、必要な人員や医薬品などの確保に努め、迅速に対応できる体制へと拡充します。 健康危機管理体制の強化 ◆市民の健康を脅かすさまざまな健康危機に対し、平常時から県や警察、消防、医師会などの関係機関と緊密な連携・協力体制を確立することにより、迅速かつ適切な対応が取れる健康危機管理体制の強化を図ります。 感染症のまん延防止対策の充実 ◆感染症の発生時に迅速かつ的確に対応し、関係機関との連携を密にした感染症のまん延防止対策の充実に努めます。 ※関連計画 『大分市新型インフルエンザ等対策行動計画』 【目標設定】 「かかりつけ医」のいる60歳以上の市民の割合  現状値(2014年度調査)61.1%  目標値(2019年度見込)70.0% <用語解説> ※プライマリ・ケア  かかりつけ医や家庭医が、必要に応じて専門医や他の医療機関への紹介を行うなど、総合的な健康管理や保健福祉サービスの調整を実施することで、初診時より回復期まで継続してその患者に対して責任を負うこと。プライマリ・メディカルケアともいう。 ※新型インフルエンザ  動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが遺伝子の変異により人から人へ感染するようになって起こる病気のこと。 ※エボラ出血熱  西アフリカを中心に感染が拡大しているエボラウイルスによる感染症で、突然の発熱・頭痛や嘔吐・下痢などの消化器症状が主な症状。感染症法における1類感染症(感染力や重篤性など、危険性が極めて高い感染症)。 ※デング熱  蚊が媒介するデングウイルスが感染して起こる急性の熱性感染症で、発熱、頭痛、筋肉痛や皮膚の発疹などが主な症状。感染症法における4類感染症(人から人への感染はほとんどないが、動物などを介して人に感染する感染症)。 ※MERS  2012(平成24)年に初めて確認されたウイルス性の感染症。主として中東地域で患者が報告されているMERSコロナウイルスによる感染症で、主な症状は、発熱、せき、息切れなどで、下痢などの消化器症状を伴う場合もある。感染症法における2類感染症(感染力や重篤性など、危険性が高い感染症)。 ※かかりつけ医  身近な地域で日常的な医療を受けたり、健康の相談等ができる医師のこと。 ※地域包括ケアシステム  重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制のこと。 ※初期救急医療体制  休日及び夜間における比較的軽症な外来患者に対応する医療体制のこと。 ※第二次救急医療体制  入院治療を必要とする重症救急患者に対応する、高度もしくは専門的な治療を行う医療体制のこと。 ※第三次救急医療体制  特に高度な処置を必要とする重篤な救急患者に対応する医療体制のこと。 ※小児救急医療体制  小児患者を対象にした、初期・第二次・第三次の救急医療体制のこと。 第3章 人権尊重社会の形成 第1節 人権教育・啓発及び同和対策の推進 【動向と課題】  すべての人々の人権が尊重され、相互に共存しうる平和で豊かな社会を実現するためには、市民一人ひとりの人権尊重の精神のかん養を図ることが不可欠であり、人権教育・啓発の果たす役割が大変重要となっています。  本市は、「大分市あらゆる差別の撤廃及び人権の擁護に関する条例」及び「大分市人権教育・啓発基本計画」に基づき、同和問題をはじめ、女性、子ども、高齢者、障がい者、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者、その他さまざまな人権問題の解決を目指し、各種施策に取り組んでいます。  しかしながら、依然として人権問題は存在し、近年、インターネットの匿名性を悪用した人権侵害に加え、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動であるヘイトスピーチなど、人権問題が複雑、多様化しています。  これらの解決を図るには、市民と行政が一体となって、家庭・地域・学校・職場等あらゆる場での人権教育・啓発を推進し、人権意識の普及、高揚に努めていく必要があります。  特に同和問題は、現代社会においてもなお基本的人権を侵害され、近代社会の原理として何人にも保障されている自由と平等が完全に享受されていないという重大な社会問題であることから、その解決に向け積極的に取り組むことが必要です。 【基本方針】  人権尊重社会の形成に向け、市民一人ひとりが互いに人権を尊重し合い、ともに生きる喜びを実感できる地域社会の実現を目指し、同和問題、女性、子ども、高齢者、障がい者、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者、その他さまざまな人権問題の解決に向けた計画的かつ効果的な施策の推進を図ります。 【主な取組】 あらゆる場での人権教育と啓発の推進 ◆自然体験や社会体験等豊かな体験活動を通じて幼児・児童・生徒の人権尊重意識の醸成に努めます。 ◆地域課題や学習ニーズに対応した多様な学習機会の提供に努めるとともに、学習方法の工夫改善に努めます。 ◆PTA活動など保護者のさまざまな活動の中に人権学習を位置付けるとともに、自治会単位の啓発活動にも積極的に取り組みます。 ◆各種企業団体等に、同和問題をはじめとするさまざまな人権問題の研修機会の確保を働き掛けます。 ◆(※)人権に関わりの深い特定の職業に従事する人に対する人権教育・啓発の推進に努めます。 効果的な人権教育と啓発の推進 ◆市民の人権意識、学習ニーズの把握や、講師・指導者の人材育成と活用、教材等の開発・整備に努めます。 ◆障がいのある人や外国籍を有する人等に配慮するなど、受け手の立場に立った情報提供に留意するとともに、市民の関心を高めるように努めます。 ◆国・県・地域・民間との連携を図り、市民協働による人権施策の促進に努めます。 ◆関係機関との情報の共有化を図るとともに、相談員の資質の向上に努め、人権の救済に向けた相談・支援体制の充実を図ります。 分野別課題への対応 ◆同和問題を人権問題の重要な柱と位置付け、解決に向けての就労対策、産業の振興、教育及び啓発に関する諸施策の推進に努めます。 ◆女性、子ども、高齢者、障がい者、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者、その他さまざまな人権問題の解決に向けた取組の充実を図ります。 ※関連計画 『大分市人権教育・啓発基本計画』 【目標設定】  人権啓発センター(ヒューレおおいた)利用者数  現状値(2015年度実績)50,933人  目標値(2019年度見込)56,000人 人権啓発研修等への講師派遣回数(参加者数)  現状値(2015年度実績)155回(6,787人)  目標値(2019年度見込)160回(7,500人) <用語解説> ※人権に関わりの深い特定の職業  市職員、教職員、医療関係者、福祉保健関係者、マスメディア関係者等のこと。 第2節 男女共同参画社会の実現 【動向と課題】  国は、(※)男女共同参画社会の実現を、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会をつくることであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題の一つと位置付けており、これまでも男女平等の理念に基づきさまざまな法律や制度の整備を進めてきましたが、いまなお社会における制度及び慣行の中には女性に対する差別や、性別による固定的な役割分担意識が存在しています。  このようななか、人権尊重・男女平等の観点から、すべての人がその個性と能力を十分発揮し、お互いに認め合い、責任を担い合っていける豊かな社会づくりを進めていくため、本市では、「大分市男女共同参画推進条例」の基本理念に基づき、実効性のある取組を推進しています。  今後は、男女共同参画社会の実現に向け、その活動拠点となる、大分市男女共同参画センターを核に、登録団体、企業、関係機関等と連携し、家庭、地域、学校及び職場へのさらなる啓発に努めるとともに、男女共同参画社会の実現を阻むさまざまな問題に対応できる相談体制の充実を図りながら、本市の実情に応じた事業展開を進めていく必要があります。 【基本方針】  男女共同参画社会の実現を目指し、男女が互いに一人の人間として認め合う社会づくりを基本に、男女平等や女性の自立と社会参画を推進する総合的な施策の展開を図ります。 【主な取組】 男女共同参画社会に向けた意識づくり ◆性別に基づく固定的な役割分担意識の解消に向けた広報・啓発に取り組みます。 ◆男女共同参画を推進し、だれもが多様な選択ができるよう、あらゆる場面での教育・学習機会の充実に努めます。 だれもが暮らしやすい環境づくり ◆男女を問わず、仕事と家庭生活の両立ができるよう、啓発や支援を行います。 ◆働く場や地域社会における男女共同参画を推進します。 ◆さまざまな分野における政策・方針決定過程への女性の参画拡大を推進します。 ◆男性の家庭生活や地域活動への積極的な参画を推進します。 ◆性犯罪、(※)ドメスティック・バイオレンス等暴力の根絶に向けた取組を推進します。 推進事業の充実 ◆男女共同参画を進める市民の活動拠点である大分市男女共同参画センターを核に、登録団体や国・県・関係機関等と連携し、事業の充実を図ります。 ※関連計画 『大分市第2次おおいた男女共同参画推進プラン』 【目標設定】  固定的な性別役割分担に反対する人の割合  現状値(2014年度調査)69.6%  目標値(2019年度見込)75.0% 男女共同参画社会という意味を知っている人の割合  現状値(2014年度調査)30.3%  目標値(2019年度見込)50.0% <用語解説> ※男女共同参画社会  男女が互いの人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会。 ※ドメスティック・バイオレンス  配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者からふるわれる暴力。 第4章 地域コミュニティの活性化 【動向と課題】  地域社会は、住民同士が強い絆で結ばれ、お互いに支え合い、地域の秩序を保つ一方で、子どもを温かく見守り育て、世代を超えた交流が行われるなど、市民一人ひとりが豊かな生活を送ることに大きな役割を担っています。  しかしながら、少子高齢化の進展や人口減少社会の到来に伴い、地域での子育てや高齢者のお世話など人々が自然な形で支え合い、助け合うという地域社会の機能が次第に低下しており、また、人間関係の希薄化や地域に対する無関心から、地域の防災力の低下など地域における安全・安心の確保が危ぶまれています。  このような地域の課題を解決していくためには、市民と行政がそれぞれ対等・平等の立場で情報を共有するとともに、地域の課題について考え、共通認識と責任を持って対応していくことが重要です。  本市においては、市民との協働により、地域コミュニティの再生に積極的に取り組むなかで、地域リーダーが育ってきており、地域の清掃活動や防犯パトロールなどの活動が活発化するとともに、祭りなどの地域行事も市民主導で実施されるなど、着実に地域力も向上していますが、人材不足を課題としている地域もいまだ多くあります。  今後は、これまで以上に地域で活躍する人材の育成に取り組むとともに、地域が自らの創意・工夫で地域づくりを進めていく取組を支援するなかで、地域の活力と魅力を最大限に引き出し、地域コミュニティをさらに活性化させていくことが重要です。 【基本方針】  市民総参加と協働のもと、市民と行政との信頼関係をより高めながら、地域の活力と魅力を最大限に引き出し、地域コミュニティの活性化を図り、市民一人ひとりが健康で安心して誇りを持って暮らせる地域社会の構築を目指します。 【主な取組】 地域コミュニティ活動の促進 ◆市民・事業者・行政が一体となって「自分たちのまちは自分たちでつくる」という気運を高めます。 ◆市全域から地区・校区・自治区などさまざまな単位での地域コミュニティ活動を支援するとともに、生涯学習や地域文化の継承など、市民の主体的な地域づくり活動を促進します。 ◆地域の課題を自主・自立的に解決する組織として、おおむね小学校区におけるまちづくり推進組織の設立を促進し、その活動の支援に努めます。 ◆地域コミュニティ活動に役立つ情報を充実し、正確で分かりやすい情報提供に努めます。 ◆地域が活性化するよう地域リーダーの育成と連携強化を支援します。 ◆地域のさまざまな団体やボランティア団体、NPO法人等の活動を支援するとともに、団体間の連携を促進します。 地域コミュニティ活動の場の整備 ◆支所・出張所、地区公民館等が地域コミュニティ活動の場として活用されるよう機能充実を図ります。 ◆地域コミュニティ活動の場として学校施設をはじめとする公共施設の有効活用を図るとともに、空き家等を活用できるよう必要な支援を行います。 ◆市民にとって最も身近なコミュニティ施設である校区公民館・自治公民館などにおける機能充実を支援します。 地域愛護意識の高揚 ◆公園愛護運動や河川道路集団清掃など地域に密着した取組を展開するなかで、地域連帯意識、自治意識を高めます。 ◆地域の伝統文化などの特性を生かして、新たな文化を創造するなかで、地域の活性化や地域に対する自信と誇りを高めます。 ◆地域愛護意識の高揚を図り、訪れる人がやすらぎと心の豊かさを感じられるよう、市民の温かいもてなしの心をはぐくみます。 【目標設定】  おおむね小学校区単位で取り組むまちづくり推進組織の数  現状値(2015年度末現在)8校区  目標値(2019年度見込)20校区 市民と行政が協働でまちづくりを行っていると考える市民の割合  現状値(2014年度調査)37.1%  目標値(2019年度見込)50.0% 第5章 健全な消費生活の実現 【動向と課題】  わたしたち消費者を取り巻く環境は、近年の情報通信技術・サービスの発展などにより、利便性が向上する一方でこれまでになかった消費者トラブルが多発するなど、消費生活相談の内容も複雑、多様化しています。  特に、スマートフォンの普及などにより若年層がインターネット関連のトラブルに巻き込まれるなど、消費者トラブルが多世代に及ぶようになり、また、高齢者を中心とした訪問販売や電話勧誘等によるトラブルも依然として増加傾向にあります。健全な消費生活を営むためには、消費者がこうしたトラブルを未然に防止する適切な判断力を養うとともに、行政が相談窓口の周知や相談体制の充実を図ることが重要です。  こうしたことから、国は、消費者基本法に基づき2015(平成27)年3月に第3期「消費者基本計画」を策定し、消費者トラブルの未然防止のため消費者政策の推進に努めるなど、消費者が安全で安心して豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けた取組を行っています。  このようななか、本市では、大分市市民活動・消費生活センター(愛称ライフパル)において、「大分市消費生活推進プラン」を改定するなか、国、県及び関係団体と緊密に連携を取りながら、消費生活教室の開催や消費生活相談へのきめ細かな対応など、消費者の利益の擁護と自立支援の取組、事業者の適正な事業活動の確保等、消費生活の安定と向上に向けた取組を進めています。  今後も、こうした取組を強化し、市民一人ひとりが健全な消費生活を送ることができる地域社会を築いていくことが求められています。 【基本方針】  消費生活の安定と向上を図るため、消費者の権利の尊重と自立支援を基本に、事業者の適正な事業活動の確保を図るなか、消費者問題に対する市民への啓発と相談体制の充実等に努めるとともに、消費者団体の自主的活動を促進します。 【主な取組】 消費者教育・啓発の推進 ◆消費生活教室などの消費者教育を充実します。 ◆刊行物及び市報やホームページによる消費生活に関する適切な情報提供により、賢い消費者としての意識の啓発を行います。 ◆消費者団体と協力し、消費者問題に関する市民の意識の高揚を図ります。 ◆消費生活セミナー等の啓発講座、消費者団体の行うアンケート調査等を通じて、消費者ニーズを的確に把握し、消費者教育に反映させていきます。 ◆高齢者をはじめ消費者の幅広い相談・苦情に適切かつ迅速に対応するため、関係機関と連携するなか、相談体制の充実を図ります。 適正な事業活動の確保 ◆消費者が商品の選択を誤ることがないよう、商品の表示・広告・計量等の適正化を促進します。 ◆安全の確保や被害の救済など消費者の権利を尊重した事業者の適正な事業活動の確保に努めます。 消費者団体活動の促進 ◆消費生活上の諸問題への自主的な取組が活発に展開されるよう、消費者団体の活動を支援します。 ※関連計画 『大分市消費生活推進プラン』 【目標設定】  消費者啓発講座の受講者数  現状値(2015年度実績)3,603人  目標値(2019年度見込)4,000人