第1章 計画の概要 1第三期大分市障害者計画の策定にあたって 市では、障害者基本法に基づき、ノーマライゼーションの基本理念のもと、障がい者施策の総合的かつ計画的な推進を図ることを目的に、平成10年3月に概ね10年間を計画期間とする「大分市障害者計画」を策定し、障がい者施策の総合的な推進を図ってまいりました。 「大分市障害者計画」策定後、措置制度から利用者が自らサービスを選択できる支援費制度への移行により、平成15年度に「第二期大分市障害者計画」を策定し、障がい者の施策の推進を図ってきましたが、平成18年4月に障害者自立支援法施行による身体障がい・知的障がい?精神障がいのサービスの一元化や、就労支援の抜本的強化、利用者本位のサービス体系の再編などにより、制度を安定的かつ効率的なものにするため、平成20年3月に「第二期大分市障害者計画改訂版」を策定し、障がい者の自立と社会参加に向けた施策の一層の推進に取り組んでまいりました。 「第二期大分市障害者計画改訂版」策定後、国は、障害者の権利に関する条約の締結に向けた国内法の整備を始めとする障がい者施策の抜本的な見直しにおいて、平成23年8月に障害者計画の根拠法である障害者基本法を改正し、障がい者の定義の見直しや地域社会における共生、障害を理由とする差別の禁止などの視点を盛り込むとともに、平成25年4月には障害者自立支援法に代わり、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」を施行し、障がい者の範囲に難病を加えた新たなサービス体制が定められたことなどから、平成25年3月に「第三期大分市障害者計画」を策定し、障がい者が住み慣れた地域において安心して暮らすことができるインクルーシブ社会の構築に向け取り組んでまいりました。 又、国は「障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」や「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」など様々な法整備を行い、平成26年1月に「障害者の権利に関する条約」を批准し、平成28年4月1日には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」を施行し、県は、法の施行に併せて「障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる大分県づくり条例」を施行したところです。 このように障がい者施策が大きく転換するなか、障がい者が社会を構成する一員として地域社会において共生できるよう、その施策に沿うように、啓発・広報、教育、雇用・就労、保健・医療・支援など、幅広い分野を対象とした「第三期大分市障害者計画改訂版」を策定いたします。 2計画の期間 令和2年度を初年度とし令和6年度までの5年間とします。 なお、国や県における計画変更や障がい者を取り巻く社会状況の変化により、計画変更の必要が生じたときは、適宜所要の見直しを行ないます。 3計画の基本理念と目標 「障害者の権利に関する条約」が示す他の者との平等を基礎とした障がい者の権利を確保するため、その権利の実現を阻む社会的障壁を除去するとともに、ノーマライゼーションの理念のもと、障がい者が自らの能力を最大限に発揮し、自己実現できるよう、障がい者の社会参加を可能にするための施策を一層推進し、障がいのある人もない人も分け隔てなく安心して暮らすことのできるインクルーシブ社会の構築を目標とします。 4計画の位置付け この計画は、障害者基本法に基づき、大分市総合計画を最上位計画、大分市地域福祉計画を上位計画とし、今後の障がい者施策の基本理念を定めたものです。 なお、数値目標については、大分市障害者計画の分野別計画として「大分市障害福祉計画」に定めています。 5障がい者の定義 本計画の対象となる障がい者は、障害者基本法の第2条の定義に基づき、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある方とし、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者に限りません。 ただし、障害福祉サービスや医療費助成、各種手当などで障害者手帳の所持が事実上の要件となっている制度においては、当該支援は障害者手帳の所持者に限られます。 6計画の基本的な考え方 市民誰もが人格と個性を尊重して相互に支え合う共生社会を目的とし、障がい者が社会に参加する力の向上を図るとともに、福祉サービスの提供やバリアフリーの推進、権利擁護や、自立に向けた地域基盤の整備など、障がい者施策の基本的方向について定めるものです。 (1)障がいを理由とする差別の解消 障がいのある人もない人も分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会を実現するため、障がいを理由とする差別の解消に取り組みます。 (2)障がい者の権利擁護の推進 @障がい者の権利擁護 障がい者の権利と利益を擁護するために、相談支援、苦情解決体制の整備はもとより、判断能力が不十分な障がいのある人を支援するために、成年後見制度の利用促進を図ります。また、障がい者虐待の防止及び養護者に対する支援を行います。 A合理的配慮の推進  障がいのある人から社会的障壁の除去を求める意思表示があった場合、障がい者の権利と利益を侵害することとならないよう、障がいの特性に応じた合理的な配慮に取り組むとともに、啓発活動を推進します。 (3)社会のバリアフリー化の推進 障がいの有無にかかわらず、市民誰もがその能力を最大限発揮しながら、安全に安心して生活ができるよう、アクセシビリティの向上やユニバーサルデザインの普及などを促進し、建物、移動、サービス、情報、制度、慣行、心理などハード?ソフト両面にわたる社会のバリアフリー化を推進します。 (4)利用者本位の総合的支援 @適切なサービスを利用するための相談支援 適切なサービスを選択・利用するためには、障がいの状態や生活環境等に応じた適切な相談支援が必要になります。 さらに増加する様々な相談に柔軟に対応するため、利用者のニーズと複数のサービスを適切に調整し、総合的?継続的な相談支援を推進します。 Aサービスの質と量の確保  障がい者のニーズに合ったサービスを、必要な時に必要なところで受けられるように、各種団体、関係機関などとの連携を図り、利用者や保護者からの意見を反映させ、適切なサービスの質と量の確保に努めます。 (5)総合的かつ効果的な施策の推進 障がい者施策については、障がい者の雇用・就労の機会を確保し、自らの能力を最大限発揮できるよう、関係機関相互の連携、地域社会の連帯を保ち社会参加の促進を図ります。 また、身体障がい・知的障がい・精神障がいのサービス体系の一元化に伴い、新たな枠組みでのサービス基盤の整備など、教育、雇用、就労、福祉、保健・医療・療育、生活環境など全般にわたっての関係行政機関相互の連携を図り、ICF(国際生活機能分類)などを参考にしながら、総合的?計画的かつ効果的な施策の推進に努めます。 さらに、障害者自立支援協議会で、障がい者が地域で自立した社会生活を営むことができるよう、関係機関、関係団体と連携体制を構築し、具体的な支援の方法を検討していきます。 (6)障害福祉計画に基づく障害福祉サービス等の計画的な基盤整備  障がい者が自立した日常生活や社会参加を営むことができるよう、障害福祉サービスなどの提供体制の確保を行い、「大分市障害福祉計画」の数値目標の着実な推進を図ります。 7 福祉のまちづくりの推進 障がい者が安全で快適に利用でき自由に外出することができ、だれもが住み良い街をつくるため、スロープや手すり等の設置、利用しやすいトイレやエレベーター等の構造など、必要な施設の整備を図る必要があります。 国においては、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の施行により、建物、交通分野でのバリアフリー化に向けた制度が確立し、県では「大分県福祉のまちづくり条例」が施行されるなど、福祉のまちづくりを推進するための法令等や基準が整備されています。 市では、これまで、公共施設、道路、公共交通機関などで、新しく施設をつくるときや、すでにある施設についても障がい者に配慮した整備に努め、バリアフリー化によるまちづくりに取り組んでまいりました。 今後も、これら関係法令などを総合的かつ効果的に運用することにより障がい者や高齢者のみならず市民誰もが安全で安心に利用できるユニバーサルデザインの考え方に基づいて推進していくとともに「支えあってともに生きる福祉のまちづくり」の実現を目指します。