大分市高齢者福祉計画及び第9期大分市介護保険事業計画 (おおいた市地域包括ケアシステム推進プラン)(案) 第1章計画の策定にあたって 1計画策定の趣旨 わが国では、総人口が長期の減少過程にある中、65歳以上の高齢者人口は増加し続けており、令和4年10月1日現在の高齢者人口は3,624万人に達し、総人口に占める高齢者割合(高齢化率)は29.0%となっています。 今後も増加傾向は続き、令和19年(2037年)には国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者となり、令和25年(2043年)に3,953万人でピークを迎えることが見込まれています。 大分市においても、令和5年9月末現在の高齢者人口は、134,732人、高齢化率は28.4%となっており、人口減少の局面においても、高齢者人口は増え続けていくことが予想されていることから、高齢化率の上昇とともに、認知症高齢者や、ひとり暮らし高齢者世帯、高齢者夫婦世帯が増加することも想定されます。 そのため、高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう「地域包括ケアシステム」の深化を着実に進め、認知症などになっても本人の意思が尊重され、安心して暮らし続けることができるための体制整備が必要となります。 また、高齢者のみならず、地域住民や地域の多様な主体が参画し、分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく「地域共生社会」の実現も重要です。 こうした動向を踏まえ、保健・医療・福祉の連携のとれたサービスを円滑に提供するために、「大分市高齢者福祉計画及び第9期大分市介護保険事業計画」を策定します。   2計画策定の根拠 高齢者福祉計画は、老人福祉法第20条の8に基づき、老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業の供給体制の確保に関する計画として策定します。 介護保険事業計画は、介護保険法第116条に規定する介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針に則して、同法第117条に基づき介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画として策定します。 3計画の位置づけ 本計画は、大分市のめざすまちの姿(都市像)を実現するための基本的な政策を定めた大分市総合計画「おおいた創造ビジョン2024」との整合性を図ったうえで策定します。 また、いわゆる上位計画として福祉分野の共通事項を定める大分市地域福祉計画をはじめ、大分市障害福祉計画、いきいき健康大分市民21など各種の保健福祉関連計画との調和を図るとともに、相互に補完しながら、実効性のある計画とします。 4第9期計画の期間 計画の期間は、2024年度から2026年度(令和6年度から令和8年度)までの3年間です。 5計画策定及び進捗管理のための体制  本計画の策定にあたっては、学識経験者、保健医療関係者、福祉関係者、介護サービス事業者等の代表者、行政機関代表者、一般公募委員2名を加えた合計27名で構成される「大分市高齢者福祉計画及び第9期大分市介護保険事業計画策定委員会」を設置し、令和5年5月からの審議を経て幅広い意見を伺いながら、策定しました。 また、同委員会は、本計画が計画期間内に十分な成果を上げられるよう計画の進捗状況を検証していきます。 6SDGsへの取組について SDGsは、平成27年(2015年)の国連サミットにおいて、令和12年(2030年)まで持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として採択されたものです。貧困や飢餓、さらには気候変動や平和などの広範な分野にわたって17の開発目標が設定されています。この17の目標は相互に関連しており、それを包括的に解決することで、17の目標を達成する仕組みとなっています。 また、SDGsの理念は、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指し、開発途上国のみならず先進国も含め全ての国や関係者の役割を重視し、経済・社会・環境をめぐる課題に統合的に取り組むこととして合意された普遍的なものであり、国においても積極的に取り組んでいます。 本計画と関連性が高い目標として、3すべての人に健康と福祉を・8働きがいも経済成長も・11住み続けられるまちづくりを・17パートナーシップで目標を達成しようが挙げられます。 第2章 高齢者を取り巻く現状 1人口構成の状況 大分市の総人口は、平成28年度をピークに減少に転じており、令和5年9月末現在では、475,085人であり、令和6年度以降も減少が続くものと推計しています。 総人口に対する人口構成別で見ると、年少人口(0−14歳)及び生産年齢人口(15−64歳)は今後も減少が続くものの、高齢者人口(65歳以上)は、引き続き増加していくと推計しています。  2高齢化率の伸び 大分市における65歳以上の高齢者人口は、令和5年9月末現在134,732人で高齢化率は28.4%となっています。 介護保険制度が創設された平成12年の9月末(高齢者人口62,231人、高齢化率14.2%)と比較すると、高齢者人口は約2倍に増え、高齢化率は14.2ポイントの増加となっています。 また、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年度(2025年度)において、高齢者人口は139,054人、高齢化率は29.4%と推計しており、国及び県の高齢化率と比較すると下回っているものの、高齢化率は急速に上昇するものと思われます。   3高齢者のいる世帯の状況 令和2年10月1日実施の国勢調査によると、大分市では高齢者のいる世帯数は 79,936世帯となっており、総世帯数に占める高齢者のいる世帯数の割合は38%を占めています。 また、高齢者のいる世帯の構成割合について全国や大分県と比較すると、ひとり暮らし世帯数、高齢者夫婦世帯数、その他世帯数はともに同程度の割合になっていることがわかります。 4要介護・要支援認定者の状況 大分市の要介護・要支援認定者数は、平成12年4月に介護保険制度が創設されて以来増加が続き、令和5年9月末現在では、26,930人となっています。 今後も要介護・要支援認定者数の増加が続くと見込んでおり、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年度(2025年度)では28,409人、団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年度(2040年度)では38,950人と推計しています。 5高齢者実態調査の実施 介護予防・日常生活圏域ニーズ調査 大分市に居住する65歳以上かつ要支援状態区分が非該当・事業対象者・要支援1・要支援2の高齢者の生活実態、健康状態、さらには施策ニーズ等を把握し、本計画策定のための基礎資料を得ることを目的として実施しました。 調査対象者の抽出方法と対象者数 65歳以上の市民の中から14,950人抽出。 調査方法 郵送調査法 調査実施期間 令和4年12月1日 〜 令和4年12月28日 回収状況 発送数14,950件 有効回収数10,236件 有効回収率68.5% 在宅介護実態調査 要介護・要支援認定の更新・区分変更申請に伴う認定調査を行った居宅の要介護者等を対象に、高齢者等の適切な在宅生活の継続と家族等介護者の就労継続の実現に向けた介護サービスの在り方を検討することを目的として実施しました。 調査件数 643件 調査方法 認定調査員による聞き取り調査 調査実施期間 令和4年10月 〜 令和5年1月 第3章 計画の基本理念と基本目標 1基本理念  大分市は、「笑顔が輝き 夢と魅力あふれる 未来創造都市」の実現を目指し、総合的かつ計画的な市政運営の基本指針として大分市総合計画を策定しています。 本計画では、大分市総合計画の趣旨に基づいて高齢者福祉・介護保険施策を総合的に推進するため、下記の基本理念をもとに基本目標を定めます。 基本理念 いつまでも自分らしく安心して暮らせるあたたかさあふれるまちづくり 市民一人ひとりが、人権を尊重し、互いに認め合い、だれもが住み慣れた地域で生きがいを持って、健やかでいきいきと安心して暮らすことができる地域社会をつくります。 また、高齢者が、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じて、自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めます。 「地域包括ケアシステム」の深化・推進 少子高齢化が進み、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯、さらには認知症を患う高齢者が増加する中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会の実現に向け、医療や介護の専門職、地域住民、そして行政が情報を共有し、連携・協力しながら高齢者の生活を地域ぐるみで支える「地域包括ケアシステム」のさらなる深化・推進が必要です。 さらに、支え手・受け手という関係を超えて地域の住民や多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながり、住民の暮らしと生きがいをともに創っていく「地域共生社会」の実現に向けて、障がい・子育て・生活困窮など他の制度・分野との連携を強化することも重要です。 2基本目標 基本目標1 介護予防と重度化防止の推進 高齢者の生活機能を維持するために、運動機能の維持に努め、自立した生活を送ることができるよう、介護予防の普及啓発や通いの場の充実、多職種による連携等を図り、自立支援・介護予防・重度化防止の取組を推進します。 基本目標2 尊厳ある暮らしを続けるための支援 認知症は誰もがなりうるものであり、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、正しい知識と理解に基づいた予防を含めた認知症への「備え」や、認知症の人ができる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる「共生」の取組を推進します。 基本目標3 在宅生活の支援と共に支え合う地域づくり 日常生活上の支援が必要な高齢者が地域で安心して暮らせるために、生活援助などの福祉サービスの充実を図ります。 また、地域の多様な社会資源を活用して、軽易な生活援助や安否確認等を行い、お互いに支え合う仕組みづくりを支援します。 基本目標4 生きがいづくりの支援と社会参加の促進 高齢者が積極的に地域社会と関わりを持てるよう、レクリエーション、趣味、就労、ボランティア活動などを通じた、生きがいづくりの支援や社会参加の促進に取り組みます。 基本目標5 サービス基盤の整備と介護保険事業の円滑な運営 介護が必要になった高齢者の多様化するニーズに対応するため、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・認知症対応型共同生活介護などの施設・居住系サービスと訪問介護・通所介護などの在宅サービスのバランスが取れた整備を行うとともに、介護保険事業の円滑な運営に取り組みます。 3施策の体系 基本目標1 介護予防と重度化防止の推進 施策の展開 (1)介護予防と自立支援 (2)健康の保持増進 基本目標2 尊厳ある暮らしを続けるための支援 (1)認知症に関する正しい知識の普及啓発・本人発信支援 (2)認知症高齢者と家族の支援 (3)若年性認知症の人の支援 (4)権利擁護の推進 基本目標3 在宅生活の支援と共に支え合う地域づくり (1)在宅生活を支えるサービスの提供 (2)在宅医療・介護連携の推進 (3)住民相互に支え合う仕組みづくり 基本目標4 生きがいづくりの支援と社会参加の促進 (1)生きがいづくりの支援 (2)社会参加の促進 基本目標5 サービス基盤の整備と介護保険事業の円滑な運営 (1)在宅サービスの基盤整備 (2)施設・住まいの基盤整備 (3)災害対策と感染症対策 (4)介護を支える人材確保 (5)サービス利用料や介護保険料の負担軽減 (6)介護サービスの質の向上と給付適正化 4日常生活圏域の考え方と地域包括支援センター  (1)日常生活圏域の考え方 国の設定の考え方では、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して、高齢化のピーク時までに目指すべき地域包括ケアシステムを構築する区域を念頭において、定めることとされています。 大分市の日常生活圏域は、国の考え方に基づいて、中学校区を基本に高齢者人口の増加、地理的条件、生活形態等を総合的に勘案して設定します。   (2)日常生活圏域の設定 大分市では、第3期計画(平成18年度)において15圏域の日常生活圏域を設定しました。第4期計画では2圏域増やし17圏域、第5期計画では2圏域増やし19圏域、第6期計画では4圏域増やし23圏域としています。 第9期介護保険事業計画においては、日常生活圏域内の総人口、高齢者人口等を勘案した結果、第6期・第7期・第8期計画と同様の23圏域とします。 (3)地域包括支援センター @地域包括支援センターの業務 地域包括支援センターは、公正で中立的な立場で、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員がその専門知識や技能を互いに活かし、総合相談支援業務、権利擁護業務、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務、介護予防ケアマネジメント業務の4つの業務を中心に、高齢者の多様なニーズに対応した切れ目のない包括的なサービスの提供に努めています。 総合相談支援業務 高齢者本人や、大人が担うような介護や家事などを日常的に行っているヤングケアラーを含む家族を支援するため、必要な情報の提供やサービスの紹介を行うとともに、個別の事例に応じて、生活困窮分野、障がい分野、児童福祉分野など他分野との連携を図りながら相談対応を行います。 権利擁護業務 高齢者が地域において、安心して生活を営むことができるよう、消費者被害等の相談を受けるほか、成年後見制度の紹介や虐待事例の早期対応など、高齢者の権利を擁護します。 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務 地域における各関係機関との連携・協働の体制づくりや個々の介護支援専門員に対する支援等を行います。 介護予防ケアマネジメント業務 介護予防及び日常生活支援を目的に、要支援者等が訪問型サービス、通所型サービス等を適切に利用できるよう必要な援助を行います。 A地域包括支援センターの設置 地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うため、地域包括支援センターを23の日常生活圏域ごとに設置します。 1上野ヶ丘 上野ヶ丘地域包括支援センター 2碩田 碩田地域包括支援センター 3王子 王子地域包括支援センター 4大分西 大分西地域包括支援センター 5南大分 南大分地域包括支援センター 6城南・賀来 城南・賀来地域包括支援センター 7城東 城東地域包括支援センター 8滝尾 滝尾地域包括支援センター 9明野 明野地域包括支援センター 10原川(明治北小校区除く) 原川地域包括支援センター 11鶴崎(別保小校区除く) 鶴崎地域包括支援センター 12大東(明治北小校区含む) 大東地域包括支援センター 13東陽(別保小校区含む) 東陽地域包括支援センター 14大在 大在地域包括支援センター 15坂ノ市 坂ノ市地域包括支援センター 16稙田 稙田地域包括支援センター 17稙田西 稙田西地域包括支援センター 18稙田南(寒田小校区除く) 稙田南地域包括支援センター 19稙田東(寒田小校区含む) 稙田東地域包括支援センター 20竹中・判田 竹中・判田地域包括支援センター 21戸次・吉野 戸次・吉野地域包括支援センター 22野津原 野津原地域包括支援センター 23佐賀関・神崎 佐賀関・神崎地域包括支援センター   B地域包括支援センター運営協議会 地域包括支援センターの設置、運営などに関して、介護保険関係団体の代表者、居宅サービス等の利用者、地域住民の相談等に応じる団体等の代表者、地域における保健・医療・福祉に関する学識経験者等により構成する「地域包括支援センター運営協議会」を設置し、適切で公正かつ中立な運営の確保に努めます。   C地域包括支援センターの機能強化 地域包括支援センター運営業務ならびに、認知症施策、在宅医療・介護連携に係る施策、生活支援・介護予防サービスの機能強化の推進に努めます。 また、国の評価指標を用いた事業評価の実施により、全国的な傾向と比較し、一定の運営水準の確保や業務の質の向上に取り組みます。 併せて、福祉分野を横断した包括的支援体制の構築を目指す地域共生社会の実現に向けて重要な役割を担う地域包括支援センターの体制強化を図ります。 第4章施策の展開 1介護予防と重度化防止の推進 現状と課題 介護・介助が必要になった主な原因は、「高齢による衰弱」、「骨折・転倒」、「関節の病気」であり、加齢に伴う運動機能や筋力の低下と関連しています。 男女別にみると、男性では生活習慣病、女性では運動機能と筋力の低下と関連した病気が多くなっています。 そのため、高齢者自らが、早い段階から健康づくりや介護予防に取り組み、健康寿命をできる限り伸ばすとともに、要介護状態になった場合であっても、身体機能の低下防止や改善に取り組むことが重要です。 今後の取組 市民一人ひとりに健康づくりへの意識の高揚を図るとともに、高齢者の生活機能を維持し、運動機能の維持に努めるなど、介護予防の普及啓発や通いの場の充実に取り組みます。 また、保健、医療、福祉等の関係機関との連携を図りながら、地域の自主的な介護予防の活動を推進します。 具体的取組 (1)介護予防と自立支援 @介護予防・生活支援サービス事業(短期集中サービス) 理学療法士・作業療法士や栄養士、歯科衛生士等の専門職が、運動機能・口腔  機能の向上、栄養改善などを目的に、3カ月間集中的に訪問・通所サービスを行います。 高齢者を取り巻く環境(家庭や社会への参加)へのアプローチも併せて行い、サービス利用後も介護予防の取組を継続できるよう支援を行います。 A介護予防把握事業 民生委員・児童委員協議会や小地域福祉ネットワーク活動等と連携し、ひとり暮らし高齢者や高齢者夫婦世帯等の生活環境や、心身の状況等の実態把握を行うことで、支援を必要とする高齢者を早期に把握し、介護予防活動へつなげます。 B介護予防普及啓発事業 介護予防に関するパンフレットを作成・配布するとともに、老人クラブ・地域ふれあいサロン等を対象に、健康づくり、運動、栄養、口腔、認知症予防に係る介護予防教室等を開催します。 C地域介護予防活動支援事業 介護予防に携わるボランティア等の人材育成や、地域ふれあいサロン、健康づくり運動教室等の住民が運営する通いの場の活動を支援します。 D地域リハビリテーション活動支援事業 理学療法士、作業療法士、管理栄養士、歯科衛生士等の専門職が、通所介護事業所等に対し、利用者の身体能力の評価と改善に向けたプログラム内容の指導・助言を行います。 また、地域ふれあいサロンの代表者に対して、運動機能向上の講話や体操などの技術的支援を行います。 E自立支援型ケアプラン相談会、多職種が参加する地域ケア会議 地域包括支援センターごとに「自立支援型ケアプラン相談会」を開催し、個別事例を理学療法士、作業療法士、管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師、訪問看護師等の多職種で検討し、自立支援・重度化防止につなげます。 また、医療ニーズの高いケースについては、「医師や歯科医師等の多職種が参加する地域ケア会議」を開催し、医療的視点を交えたケアマネジメントの質の向上を図ります。 (2)健康の保持増進 @高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施 保健師や管理栄養士、歯科衛生士等の医療専門職が、医療・介護データから地域 の健康課題を把握・分析し、高齢者に対する生活習慣病等の重症化予防の個別支援を行います。 また、地域の医療関係団体等と連携を図りながら、地域ふれあいサロンや運動教 室等の通いの場にも積極的に関与し、フレイル(虚弱)予防の普及啓発、運動、栄養、口腔等に関する健康教育、健康相談を行います。 A「第2期いきいき健康大分市民21」の推進 健康増進計画である「第2期いきいき健康大分市民21」に基づき、「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」を目標に各種施策に取り組んでいます。 多くの市民が健康・運動・食育等を学び、本人や家族の生活習慣を振り返ること ができるよう、関係機関との連携を図りながら市民の健康づくりを推進します。 B健康推進員地域活動事業の推進 「健康推進員」を各自治区に配置し、地域の関係者や保健師、管理栄養士とともに市民健診受診率向上の取組や正しい知識の普及啓発活動等を行います。 C市民健康づくり運動指導者の養成 市民の健康づくりの自主組織である「大分市民健康づくり運動指導者協議会」と連携して、市民健康づくり運動指導者を養成し、地域に根ざした主体的な「健康づくり運動教室」が多くの地域で開催できるよう支援します。 D食生活改善推進員の養成 食生活の改善を中心とした市民の健康の保持増進を推進する「食生活改善推進員」を養成し、地域で高齢者食生活講習会等を開催するなど、高齢者の低栄養状態を予防し、健全な食生活が実践できるよう支援します。 2尊厳ある暮らしを続けるための支援 現状と課題 大分市の認知症高齢者(日常生活自立度U以上)は、令和5年4月1日現在 15,392人となっており、65歳以上の要介護認定者の57.6%を占めています。 今後も増加が見込まれる認知症高齢者が、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる共生社会の実現が求められます。 今後の取組  「認知症施策推進大綱」や今後、国が定める認知症施策推進基本計画を踏まえ、認知症に関する正しい知識と理解に基づいた予防を含めた認知症への「備え」や、認知症の人ができる限り地域で自分らしく暮らし続けることができる「共生」の取組を推進します。 具体的な取組 (1)認知症に関する正しい知識の普及啓発・本人発信支援 @認知症サポーター養成講座 認知症に関する正しい知識を持ち、地域や職域で認知症の人やその家族を手助けする、認知症サポーターの養成講座を行います。 A認知症の相談先の周知等 地域包括支援センターや認知症疾患医療センター等の認知症に関する相談先が市民に周知されるよう、ホームページや「認知症ガイドブック」等を活用し、情報発信に努めます。 また、地域で開催する認知症講演会や、世界アルツハイマーデー(9月21日)・認知症月間(9月)に関連するイベント等、認知症への理解を広める取組を支援します。 B本人発信支援 認知症の人が、周囲の理解と協力のもとで前向きに活動している姿は、認知症に対する社会の見方を変えるきっかけとなり、多くの認知症の人に希望を与えるものでもあると考えられます。 認知症ピアサポート活動の活用や本人ミーティングへの参画、認知症地域支援推進員との連携を通して、認知症の人やその家族の意見を把握し、当事者の視点を施策の企画・立案、評価に反映するよう努めます。 C認知症への備え 運動不足の改善、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持により認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されていることを踏まえ、パワーアップ教室や介護予防教室、地域ふれあいサロン等の「通いの場」の拡充に努めるとともに、通いの場における健康相談等、認知症予防に資する活動を推進します。 (2)認知症高齢者と家族の支援 @認知症初期集中支援推進事業 認知症サポート医と保健師等の専門職で構成する「認知症初期集中支援チーム」が認知症の疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、観察・評価を行ったうえで、家族等への初期支援を包括的・集中的に行い、認知症の早期診断・早期対応に取り組みます。 A認知症地域支援推進事業 地域の医療・介護関係者との連携を図る「認知症地域支援推進員」を配置し、もの忘れに不安を感じる本人や家族等が気軽に相談できる物忘れ定期相談会や、認知症の人やその家族が互いに悩みや苦労を打ち明けられる集いの場を開催し、相談・支援体制の充実を図ります。 B介護を行う家族への支援 「認知症家族介護支援事業」(認知症家族の交流会や認知症知識の普及講座)を開催し、家族の精神的・身体的な負担の軽減を図ります。 C認知症カフェへの支援 認知症の人やその家族、地域住民、専門職など誰もが気軽に集い、情報交換ができる「認知症カフェ」の運営に対する補助金交付や認知症カフェ運営者を対象とした研修を行い、新規開設や継続的な運営を支援します。 D大分あんしんみまもりネットワーク事業 認知症高齢者等が行方不明になった場合に、企業・団体・行政等が捜索協力を  行い、早期発見につなげられるよう支援する「大分あんしんみまもりネットワーク」の取組を推進するとともに、市の負担により個人賠償責任保険に加入し、ネットワーク加入者の偶然の事故等に備えます。 Eチームオレンジの取組推進 認知症サポーターが中心となって、認知症の人やその家族を認知症初期段階から必要な支援につなぐ活動(「チームオレンジ」)のあり方について検討を進めます。 また、チームオレンジを取り組む上で中核を担う認知症サポーターに対し、必要となる認知症の知識や対応スキル等を習得するための認知症サポーターステップアップ講座を行います。 (3)若年性認知症の人の支援  @周知・啓発活動の推進 65歳未満で発症する「若年性認知症」の人は、現役で働いている場合が多く、就労・社会参加や経済面など様々な問題をかかえており、地域や職場における理解と支援が不可欠です。 雇用関係部署と連携するなかで、商工会議所等の関係団体に働きかけを行うと ともに、市報やホームページ、認知症ガイドブック等で周知・啓発を行い、地域住民や企業関係者(産業医・雇用主)等の若年性認知症に対する理解の促進に努め、地域や職場内での早期発見・早期受診につなげます。 A相談・支援体制の強化 若年性認知症が疑われる人は、病気の認知度の低さから診断がつくまでに時間 がかかる場合も多く、医療機関の受診等につながっていない人に対しては、「認知症初期集中支援チーム」等が関係機関と連携して適切な医療やサービス等につなげます。 また、認知症になっても社会の中で役割と生きがいをもって生活ができる環境づくりが大切であることから、「認知症地域支援推進員」や「若年性認知症支援コーディネーター」等と連携し、若年性認知症の人やその家族の希望・意思を尊重しながら、総合的な相談・支援を行います。 (4)権利擁護の推進 @成年後見制度の利用促進 成年後見を必要とする市民が安心して制度を利用することができるよう、大分市成年後見センターをはじめとした関係機関と連携しながら、成年後見制度の周知・啓発活動を積極的に行います。 また、後見人等の報酬助成制度の見直しを行うなど、市民後見人の活動を推進するための体制整備や制度の利用促進に関する支援の拡充を図ります。 A高齢者虐待防止ネットワーク運営事業 高齢者虐待防止法に基づき、弁護士や民生委員・児童委員等の関係者で構成さ れる運営委員会を開催し、市及び地域の関係機関等の相互協力体制の強化を図り、高齢者に対する虐待の防止と早期発見のための体制の充実に努めます。 B権利擁護事業 虐待事例の早期対応、消費者被害の相談対応、高齢者虐待防止等に関する知識や理解の普及・啓発活動を行い、高齢者の権利擁護に努めます。 3在宅生活の支援と共に支え合う地域づくり 現状と課題 高齢者が、医療や介護や支援が必要な状態となっても、住み慣れた地域で安心して生活ができるためのサービスの充実が求められており、これまでの生活を大きく変えることなく、生活を継続できる体制の構築が重要です。 今後の取組 高齢者が地域で安心して生活できるよう、生活援助や福祉サービスを充実させるとともに、在宅医療と介護の連携に取り組みます。 また、地域の多様な社会資源を活用し、互いに支え合う仕組みをつくることを支援することにより、日常生活で支援が必要な高齢者が安心して暮らせる地域社会づくりを目指します。 具体的な取組 (1)在宅生活を支えるサービスの提供 @愛の訪問事業 75歳以上の安否確認を必要とするひとり暮らし高齢者に、乳酸菌飲料を原則として2日に1本配達し、安否を確認します。 A食の自立支援事業 65歳以上のひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯等で、身体的な衰えなどにより調理をすることが困難な世帯に対して、週6回を限度に栄養のバランスがとれた食事を届けます。 B緊急通報サービス事業 65歳以上のひとり暮らし高齢者等に、急病や事故の際にボタンを押すだけで通報センターや近隣の協力者による援助が得られる通報装置を貸与します。 C軽度生活援助事業 65歳以上のひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯等に対して、軽易な日常生活上の援助を行います。 D寝具類洗濯乾燥消毒サービス事業 65歳以上のひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯等で、寝具類の衛生管理が困難な方に、寝具類洗濯乾燥消毒サービスを行います。 E日常生活用具給付・貸与事業 在宅高齢者の日常生活の手助けとなる用具を給付または貸与します。 F生活支援ホームヘルプサービス事業 介護保険サービス対象外で65歳以上のひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯と、60歳から64歳までの介護保険に定める特定疾病に該当しない要支援・要介護状態の方に、生活援助及び身体介護を提供します。 G生きがい対応デイサービス事業 介護保険サービス対象外で、身体的に虚弱で閉じこもりがちな65歳以上の高齢者に、デイサービスを提供します。 Hはり・きゅうなど施術料助成事業 指定された施術所で、はり・きゅう並びにあん摩マッサージ及び指圧の施術を受ける際に、施術料の一部を助成します。 I生活支援ショートステイ事業 介護保険サービス対象外の見守りが必要な高齢者等が、特別養護老人ホームに短期間入所するサービスを提供します。 J家族介護用品支給事業 重度の要介護高齢者を在宅で介護している家族に対して、紙おむつなどの介護用消耗品の購入費を助成します。 K家族介護慰労金支給事業 重度の要介護高齢者を在宅で介護している家族の身体的、精神的、経済的負担の軽減と要介護高齢者の在宅生活の継続、向上を図るために慰労金を支給します。 L高齢者住宅改造費助成事業 65歳以上の在宅高齢者に対し、高齢者が日常生活を営むのに支障をなくすために住宅の小規模な改造を行う経費について助成金を交付します。 (2)在宅医療・介護連携の推進  切れ目のない在宅医療と介護の連携を構築するために、ライフサイクルの中で起こり得る節目となる場面(日常の療養支援・入退院支援・急変時の対応・看取り)を意識した取組を進めます。 @医療・介護関係者間の多職種の連携推進 地域の医療・介護関係者等を対象とした研修や交流の場を設け、顔の見える関係づくりを推進し、連携強化を図ります。 A医療・介護情報の共有支援 地域の医療・介護関係者間で患者情報の共有が図られるよう、ICTを活用した情報共有ツールの活用を検討します。 また、高齢者の医療機関への入退院時の円滑な情報共有を目的に、「入退院に伴う医療機関とケアマネジャーとの情報共有ルール」の周知を図り、高齢者がスムーズに在宅生活を送ることができるよう支援します。 B医療・介護が連携したサービスの提供 在宅医療と介護が連携し、切れ目なく在宅医療・介護サービスが一体的に提供されるよう、医療・介護関係者等が参画する「在宅医療・介護地域連携検討会」を開催し、現状の把握及び課題の抽出と共有を図り、解決策等について検討を行います。 また、地域の医療・介護関係者及び市民からの在宅医療・介護に関する相談への対応や情報提供を行うとともに、関係機関との連絡調整等を行います。 C地域住民への普及・啓発 在宅医療に関するリーフレットの配布や講演会を開催し、在宅医療についての普及啓発を図ります。 (3)住民相互に支え合う仕組みづくり @生活支援体制整備事業 高齢者の生活を支援するために、住民や地域の多様な主体による活動の調整を担う、生活支援コーディネーターを配置します。   生活支援コーディネーターが中心となって、概ね小学校区ごとに、順次、住民や地域の多様な主体が協議する場として協議体の設置を行い、日常生活上の支援体制の充実・強化と社会参加の推進を一体的に図ります。 A高齢者ファミリー・サポート・センター事業 高齢者宅で食事の準備や片づけ、部屋の清掃、ごみの分別や搬出等の軽易な生 活援助を行いたい20歳以上の市民(援助会員)と、その援助を受けたい高齢者(依頼会員)が会員となり、市内一円で行う有償ボランティアの援助活動を支援します。 B地域お互いさま活動事業 支援を必要とする高齢者等が、地域とのつながりを維持しながら、自立した暮らしが継続できるように、生活支援を行う地域住民等のボランティア団体を支援します。 Cひとり暮らし高齢者対策 地域ふれあいサロン等による閉じこもり予防をはじめ、民生委員・児童委員や自治会など近隣の人たちが支援する小地域福祉ネットワーク活動等の地域での支え合いや、見守り活動等の各種活動に積極的に参加できる環境整備を推進します。 D地域ネットワーク会議 地域包括支援センターにおいて、地域住民の代表者や関係機関、行政機関等で構成される「地域ネットワーク会議」を開催し、地域課題を共有する中で解決に向けた協議を行い、地域の支援者等の相互の連携を図ります。 4生きがいづくりの支援と社会参加の促進 現状と課題 高齢者が身体的にも精神的にも健康的な生活を送るためには、生きがいを持って生活することが重要です。 また、今後も高齢者の増加が見込まれる中、豊かな知識や経験を生かすことで、高齢者が地域貢献活動の担い手となることが求められています。 今後の取組 高齢者が、住み慣れた地域で生きがいを持って、在宅生活を送ることができるように、レクリエーション、趣味、就労、ボランティア活動などを通じて積極的に地域社会と関わりを持つための取組を行います。 具体的な取組  (1)生きがいづくりの支援 @生きがい対策事業 校(地)区社会福祉協議会が行う地域性を活かした高齢者のための生きがい対 策事業(スポーツ、文化、芸術又は趣味の教室、社会奉仕活動等)に補助を行い、活動を支援します。 A老人いこいの家など 高齢者がレクリエーションや趣味などの活動を通じて交流することができる場として、「老人いこいの家」を7箇所、「シニア交流プラザ」を1箇所設置し、地域の団体や個人の親睦と心身の健康の増進を図ります。 B地域介護予防活動支援事業(再掲) 介護予防に携わるボランティア等の人材育成や、地域ふれあいサロンや健康づくり運動教室等の住民が運営する通いの場の活動を支援します。 (2)社会参加の促進 @老人クラブ・敬老行事の活動促進 老人クラブ及び校区を単位として実施する敬老行事に対し補助を行い、充実した 活動を支援します。 また、大分市老人クラブ連合会が、老人クラブの活性化を図るために行うリーダー育成やシニア大学などの活動に支援を行います。 A長寿応援バス事業 市内に1カ月以上住所を有する70歳以上及び65歳〜69歳の運転免許を持っていない高齢者が市内路線バスを利用する際の料金の負担を軽減し、気軽に外出できる環境づくりを行います。 Bふれあい交通 公共交通の利用が不便な地域において、最寄りの路線バスのバス停留所まで乗合タクシーを運行し、住民の移動手段を確保するとともにバス利用の促進を図ります。 C高齢者の就労 (公社)大分市シルバー人材センター等と連携し、高齢者の就労機会の拡大に努めるとともに、関係機関との連携を図り、就労支援セミナーの開催を通じて、情報提供を行います D生活支援体制整備事業(再掲) 高齢者の生活を支援するために、住民や地域の多様な主体による活動の調整を担う、生活支援コーディネーターを配置します。   生活支援コーディネーターが中心となって、概ね小学校区ごとに、順次、住民や地域の多様な主体が協議する場として協議体の設置を行い、日常生活上の支援体制の充実・強化と社会参加の推進を一体的に図ります。 5サービス基盤の整備と介護保険事業の円滑な運営 現状と課題  大分市では、今後も高齢者数の増加が見込まれており、中長期的な人口動態や介護ニーズの見込みを踏まえて、将来的な機能転換や多機能化を見据えた施設の整備や、地域の実情に応じた地域密着型サービスの充実などを計画的に行う必要があります。 また、介護保険事業の円滑な運営については、保険者機能の強化や給付の適正化、サービスの提供を続けるために介護人材の確保やデジタル技術を活用した介護現場の生産性向上などが求められています。 今後の取組  介護が必要になった高齢者の多様化するニーズに対応するため、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・認知症対応型共同生活介護などの施設・居住系サービスと訪問介護・通所介護などの在宅サービスのバランスが取れた整備を行うとともに介護保険事業の円滑な運営に取り組みます。 具体的な取組  (1)在宅サービスの基盤整備  @居宅サービス 要介護・要支援者の心身の状況に応じて提供される、訪問介護や訪問看護、通所介護、短期入所生活介護、福祉用具貸与など、各種サービスについて、適正なサービス量の確保に努めます。 A地域密着型サービス 高齢者が要介護・要支援状態となっても、可能な限り住み慣れた自宅または地域で生活を継続できるようにするため、認知症対応型共同生活介護や小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護など、各種サービスについて、適正なサービス量の確保に努めます。 B市町村特別給付 要介護認定を受け、在宅で紙おむつを常時必要とする被保険者に対して、紙おむつ、布おむつ、失禁パンツ、おむつカバー、尿とりパッドの購入に要した費用(限度額48,000円)の9割を支給します。 C地域支援事業 要介護状態等になることを予防するとともに、要介護状態等になった場合においても、可能な限り自立した日常生活を営むことができるよう、介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)、包括的支援事業、任意事業の4事業を実施します。 (2)施設・住まいの基盤整備 多様化するニーズに対応するため、施設・居住系サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・認知症対応型共同生活介護など)のバランスの取れた整備を行います。 なお、介護老人福祉施設、介護老人保健施設については、未整備圏域の解消に向けた地域密着型サービス等小規模施設の整備を基本としつつ、必要に応じて既存施設の増床等も検討するなど、必要床数の確保に努めます。 また、高齢者の住まいの安定的な確保を支援するため、関係部署との連携のもと、公的賃貸住宅を適切に供給するとともに、民間賃貸住宅の空き家・空き室を活用し、住宅の確保に配慮を要する高齢者等への住宅供給促進を図ります。 @介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 原則要介護3以上の常時介護が必要な方の生活の場として、施設入所希望者の待機の軽減や未整備圏域の解消を目指し、令和8年度末1,544床を整備目標(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護含む)とし、適正な配置に努めます。 A介護老人保健施設 在宅復帰のための地域拠点として、施設入所希望者の待機の軽減や未整備圏域の解消を目指し、令和8年度末1,180床を整備目標とし、適正な配置に努めます。 B介護医療院 長期療養が必要な要介護者の生活の場として、施設入所希望者の待機の軽減や未整備圏域の解消を目指し、令和8年度末118床を整備目標とし、適正な配置に努めます。 C認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム) 高齢化に伴う認知症高齢者の増加及び入居希望者の待機の軽減のため、令和8年度末772床を整備目標とし、適正な配置に努めます。 D(地域密着型)特定施設入居者生活介護 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院、認知症対応型共同生活介護の整備を優先するため、新設・増設は行いませんが、適正なサービスが提供されるよう助言や支援に努めます。  E養護老人ホーム・生活支援ハウス・軽費老人ホーム 令和5年4月1日現在、養護老人ホームは1施設65床、生活支援ハウスは5 施設100床、軽費老人ホームは8施設400床整備されており、事業所において適切なサービスが提供されるよう助言や支援に努めます。 F住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅 令和5年4月1日現在、住宅型有料老人ホームは162施設(5,648床)、サービス付き高齢者向け住宅は26住宅(905戸)が整備されています。今後も関係課と連携を図り、事業所において適切なサービスが提供されるように助言や支援に努めます。 (3)災害対策と感染症対策  近年の災害発生状況や、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、こうした事態においても被害を未然に防止し、支援を必要とする高齢者等に必要なサービスを提供できる体制が確保されるよう、国や県及び関係機関等との連携のもと、対策に取り組みます。 @介護事業者における備えの確認 災害発生時に介護保険サービス事業所等において適切な対応が行われるよう、防災啓発に努めるとともに、避難訓練の実施状況や避難確保計画・業務継続計画などの災害に関する計画の策定状況等について、関係機関と連携し、定期的な確認と必要な助言を行います。 A福祉避難所との連携 災害等に伴い開設された指定避難所への避難が長期化した際に、指定避難所での避難生活が困難な高齢者等を設備が整ったスペースで受け入れできるよう、介護保険施設や障害福祉施設等と協定を結んでいます。 災害発生時等において迅速に対応できるよう、協定施設等に対し制度の周知を定期的に行うなど、連携体制の強化に努めます。 B感染症に対する備え 感染症の発生に備え、介護保険サービス事業所等に対して、感染症の知識の啓発に努めるとともに、想定訓練の実施状況や、業務継続計画などの感染症に関する計画の策定状況等について、関係機関と連携し、定期的な確認と必要な助言を行います。 また、感染症発生時に、介護保険サービス事業所等において適切な対応が行われるとともに、さらなる感染症の拡大防止が図られるように、関係機関と連携を密にし、適切な助言や支援に努めます。 (4)介護を支える人材確保 介護人材の確保については、今後、一段と厳しくなると想定されることから、県及び関係機関、雇用関係部署等との連携のもと、介護分野で働く人材の確保・育成に努め、介護現場の人手不足対策に取り組みます。 @研修等による人材の育成 介護入門者研修の実施等により、介護給付等対象サービス事業及び地域支援事業に従事する介護職への就労のほか、高齢者ファミリーサポートセンター事業の援助会員などの住民同士による支え合い活動への参画を促します。 また、地域で認知症高齢者等を支援する人材の裾野を広げるため、認知症サポーター養成講座に加え、その修了者に対するステップアップ講座を実施します。 A介護現場の生産性向上等の支援 生産年齢人口が減少する中においても、地域のニーズに対応できる体制づくりや、介護分野の従事者が長く働き続けられる環境づくりに向け、介護保険サービス事業所等に対して、介護ロボットやICT(情報通信技術)の導入・活用に係る情報提供、提出書類の簡素化による文書作成の負担軽減等により、業務の効率化を支援します。 また、介護保険サービス事業所等に介護職員処遇改善加算等の取得を促すことで、加算要件である従事者のキャリアパスの構築を支援します。 (5)サービス利用料や介護保険料の負担軽減  @社会福祉法人による利用者負担軽減 生計が困難な人に対して利用者負担額を軽減した、介護保険サービスを提供する社会福祉法人に対し、軽減した額の一部を市が助成します。 A介護保険料の独自減免 保険料区分が第1段階〜第5段階(第4、5段階は条件に該当する被保険者のみ)の被保険者で、収入が少なく生活が著しく困窮しており、市の定める基準に該当する場合、申請した月から第1段階保険料額の2分の1の保険料額となる軽減措置を実施します。 (6)介護サービスの質の向上と給付適正化  @介護支援専門員の資質向上 介護保険制度の要である介護支援専門員の資質を高めるため、居宅介護支援事 業所や介護予防支援事業所に対して、ケアプラン指導や個別事例についての相談支援を行います。 A介護サービス相談員派遣事業 介護保険施設利用者の疑問や不満などの相談窓口となる介護サービス相談員を派遣し、利用者と施設の良好な関係を構築するとともに、サービスの質の向上を図ります。 B介護保険サービス事業所等への指導や助言 介護保険サービス事業所等への集団指導や運営指導等を通して、対象者に適正なサービスが提供できるよう、必要な指導や助言、情報提供を行います。 C関係機関との連携 介護サービス利用者が、介護保険サービス事業者等から必要とするサービスを安心して選択することができるよう、県、国民健康保険団体連合会、関係機関と密接な連携を図りながらサービス向上に努めます。 D要介護認定の適正化 要介護認定の変更認定又は更新認定に係る認定調査(委託調査)の内容について、訪問又は書面等の審査を通じて点検を行い、適正かつ公平な要介護認定の確保に努めます。 また、介護認定の調査や審査会の開催にあたっては、タブレット端末及び専用ソフトを導入するほか、ペーパーレス会議等を採用することにより業務の効率化を図ります。 Eケアプランの点検 新規開設をした居宅介護支援事業所や介護保険施設の介護支援専門員、地域包括支援センターの新任職員等に対して、利用者の自立支援に資する適切なケアプランであるか等に着目し、点検及び指導を行います。 また、市が定める回数及び基準以上の訪問介護を位置付けたケアプランについては、サービスの必要性を検証します。 F縦覧点検・医療情報との突合 国民健康保険団体連合会からの情報提供により、複数月にまたがる介護報酬の支払状況を確認し、提供されたサービスの整合性等の点検を行い、請求内容の誤りを確認した場合は、事業者を指導し、誤請求の削減を図ります。 第5章介護保険料の算定と介護保険サービス量の見込み 1介護保険の財源構成 介護保険給付に要する費用は、介護保険サービス利用時の利用者負担分を除いて、半分を国(25%)・県(12.5%)・市(12.5%)が公費で負担し、残りを被保険者の保険料(65歳以上の第1号被保険者が23%、40歳から64歳までの第2号被保険者が27%)でまかなう仕組みとなっています。 調整交付金 介護給付費における国の負担割合25%のうち、5%は全国の保険者の財政格差を調整するために、後期高齢者加入割合や所得段階別人数割合によって年度ごとに調整のうえ、交付されます。 大分市においては、後期高齢者加入割合が全国平均より低いことから、調整交付金交付割合が5%を下回っており、これにより生じる差額は第1号被保険者の負担割合に加算されることとなっています。 保険者の取組に対する評価に基づく交付金 以下の交付金を活用し、自らの取組に係る評価結果を踏まえつつ、介護予防・重度化防止等に係る施策の充実に努めます。 保険者機能強化推進交付金 高齢者の自立支援・重度化防止等に向けた保険者の取組状況について、国が評価指標に基づき評価し、その結果に応じて配分される交付金です。この交付金は、介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業、市町村特別給付等の第1号被保険者負担分に充当することができます。 介護保険保険者努力支援交付金 介護予防・健康づくりに関する重要な項目について国が定める指標に基づき評価し、その結果に応じて配分される交付金です。この交付金は、介護予防・健康づくりに資する取組等の第1号被保険者負担分に充当することができます。 2第1号被保険者の介護保険料 (1)第1号被保険者の保険料の推移 介護保険制度が平成12年度(2000年度)に発足して以来、高齢者の増加に加え、介護保険制度に対する理解が深まった結果、要介護・要支援認定者数、サービス利用者数が増え、給付費も大幅に増加してきました。今後も、高齢者の生活を支える介護保険制度を持続可能なものとするため、財政基盤の安定が求められます。 (2)第9期介護保険料の算定(令和6年度〜令和8年度) 第1号被保険者の介護保険料は、計画期間中に必要と見込まれる保険給付総額の原則23%をまかなえる水準に定めます。 第9期の介護保険事業計画では、下記の軽減措置等により被保険者の負担が過大になることをできるだけ避けるよう努めます。 @介護給付費準備基金の充当 介護給付費準備基金を活用して保険料の上昇を抑制します。 A負担能力に応じた保険料負担 第3期計画より、所得水準に応じてきめ細やかな保険料設定を行う観点から、保険者において、各保険料段階の保険料率の設定及び課税層の段階数を増やすこと(多段階設定)が可能とされ、大分市では、第3期計画より、負担能力をきめ細かく反映したものとなるよう多段階設定を行っており、第6期計画からは12段階に設定してきました。 第9期計画では、介護保険制度の持続可能性を確保するためには、低所得者の保険料上昇を抑制しつつ能力に応じた負担を求める観点から、大分市では段階数を13段階とし、高所得者の保険料率の引上げ、低所得者の保険料率の引下げ等について見直しを行います。 B公費による保険料の軽減 今後の更なる高齢化に伴い、介護給付費の増加と保険料負担水準の上昇が避けられない中で、介護保険制度を持続可能なものとするために、国は社会保障の充実として公費を投入し、低所得者の保険料軽減を行う仕組みを設けています。 大分市もこの考え方に基づき、引き続き低所得者に対し、公費による保険料の軽減を行います。 介護保険料算定 第1号被保険者の介護保険料は、市町村の介護保険事業計画に定める介護保険サービス(給付費)の見込み量に応じて、市町村が定めます。 ※令和6年度介護報酬改定の詳細が明らかになった後に記載の予定。       (3)第9期所得段階別保険料額(令和6年度〜令和8年度) ※令和6年度介護報酬改定の詳細が明らかになった後に記載の予定。 3介護保険サービス量の見込み ※令和6年度介護報酬改定の詳細が明らかになった後に記載の予定。