(表紙) 第5期大分市地域福祉計画 第6次地域福祉活動計画 大分市重層的支援体制整備事業実施計画 第2期大分市成年後見制度利用促進基本計画 第2期大分市再犯防止推進計画 (素案) 令和5年11月28日開催 令和5年度第5回大分市地域福祉計画・地域福祉活動計画策定委員会資料 (目次) 第1章地域福祉計画・地域福祉活動計画策定にあたって 1策定の主旨 2地域福祉関係の最近の動向 3計画の位置づけについて 4社会福祉協議会とは 5計画期間 6計画の策定体制 7SDGsへの取り組みについて 第2章計画の基本的な考え方 1基本理念 2基本目標 3施策の体系 4圏域の設定 5計画の推進体制と進捗状況の管理 第3章地域福祉推進に向けた取り組み 1施策の方向ごとの取り組み 基本目標1 お互いに支え合うひとづくり 基本目標2 地域で支え合う場づくり 基本目標3 誰もが安心して暮らすための体制づくり 2主要な取り組み 3大分市重層的支援体制整備事業実施計画 4第2期大分市成年後見制度利用促進基本計画 5第2期大分市再犯防止推進計画 「略語」と「年号の表記」について 冊子によく出てくる言葉の略語と、年号の表記方法については次のとおりです。 略語(読み方) ○市役所(しやくしょ)大分市役所のことです。 ○市社協(ししゃきょう)大分市社会福祉協議会のことです。 ○校(地)区社協(こうちくしゃきょう)校(地)区社会福祉協議会のことです。 ○第4期・第5次計画(だいよんき・だいごじけいかく)第4期大分市地域福祉計画・第5次地域福祉活動計画のことです。 ○第5期・第6次計画(だいごき・だいろくじけいかく)第5期大分市地域福祉計画・第6次地域福祉活動計画のことです。 年号の表記 この計画において年号を使用する場合は、原則「和歴」と「西暦」を併記しています。ただし、統計データなどを引用しているものについてはこの限りではありません。 (例)令和6年の場合 令和6(2024)年、R6(2024) (2ページ)     第1章地域福祉計画・地域福祉活動計画策定にあたって 1策定の主旨 地域福祉とは、住み慣れた地域で、お互いが支え合い助け合うことにより、誰もがそれぞれの個性を活かし、地域の一員として生活を送ることができる地域社会をつくることです。現在、本市は人口減少局面にあり、地域社会の担い手不足のほか、地縁の希薄化に伴う、地域における支え合いの機能低下が懸念されており、地域が抱える課題も多様化しています。こうした課題の解決のためには、行政や関係機関・団体、事業者、ボランティア等のつながりを深めることに加え、制度や分野の枠や「支える側」「支えられる側」という従来の関係を越えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていける社会の構築が求められています。 本市では、現計画の「第4期大分市地域福祉計画・第5次地域福祉活動計画」の計画期間が令和元年(2019)年度から令和5(2023)年度までの5年間となっていることから、新たな計画として「第5期大分市地域福祉計画・第6次地域福祉活動計画」を策定することといたしました。策定にあたり、本市では、「第3期地域福祉計画」から大分市社会福祉協議会が定める「地域福祉活動計画」と一体的に策定し、互いに連携を強化することで本市の地域福祉の推進に取り組んできたことから、引き続き、両計画を一体的に策定することで、これまでの取り組みを継続しつつ、新たな課題へ対応していくことといたしました。また、この間策定してきた大分市成年後見制度利用促進基本計画や大分市再犯防止推進計画に加えて、社会福祉法改正に伴い、新たに策定する大分市重層的支援体制整備事業実施計画を「第5期大分市地域福祉計画・第6次地域福祉活動計画」に含めることで、より広範な施策に取り組んでいくことといたします。 (3ページ)   2地域福祉関係の最近の動向 地域福祉に関する近年の国の動向は以下のとおりです。    (1)平成28(2016)年6月  少子高齢化や核家族化の進行、人口減少、地域のつながりの希薄化など、地域社会を取り巻く環境の変化から、国民の抱える福祉ニーズは多様化しています。このため、政府が平成28(2016)年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」において、子ども・高齢者・障がい者など全ての人々が、“地域”“暮らし”“生きがい”を共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現を提示しており、下記の取り組みなどを進めることとされました。 @ 支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する。 A 寄附文化を醸成し、NPOとの連携や民間資金の活用を図る。 (2)平成30(2018)年4月  本格的な人口減少・少子高齢化社会の到来に伴い、平成30(2018)年4月の社会福祉法改正では、主に次の3点が規定されました。 @ 地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会という、「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念。 A 「我が事・丸ごと」の理念を実現するため、地域住民の地域福祉活動への参加を促進する環境整備や、分野を超えて地域生活課題について総合的に相談に応じ関係機関と連絡調整等を行う体制の整備など、市町村が包括的な支援体制づくりに努めること。 B 市町村に対し、地域福祉計画の策定を努力義務とするとともに、福祉の各分野における共通事項を定める上位計画として位置づけ、地域福祉計画を充実させること。  (3)令和3(2021)年4月 令和3(2021)年4月の社会福祉法の改正では、重層的支援体制整備事業が創設されました。当事業においては、相談者の属性や世代を問わず包括的に相談を受け止める、社会とのつながりを作る支援を行う、アウトリーチ等を通じて支援が届いていない人に支援を届ける等の取り組みを一体的に展開することで、生活課題の複雑化・複合化に対応することとしています。このほか、令和3(2021)年4月の社会福祉法の改正では、「地域福祉の推進は、地域住民等が相互に助け合って地域福祉に参画すること」と示され、地域住民が主体であることが明文化されました。                          (4ページ)   3計画の位置づけについて 「地域福祉計画」 社会福祉法第107条に基づき市町村が策定する「福祉の上位計画」です。住民、住民組織、関係団体などの参加を得て、地域が抱える現状や課題を明らかにし、それに対応するサービスを確保し提供する体制を検討・整備することを目的とし、高齢者の福祉、障がい者の福祉、児童の福祉、その他の福祉に関し共通して取り組むべき事項を定めます。なお、本計画の実施にあたっては大分市総合計画を最上位計画として、防災、教育、まちづくりなどのあらゆる分野との連携を図りながら推進します。   「地域福祉活動計画」 社会福祉法第109条に規定されている「市町村社会福祉協議会」が策定する計画です。地域住民や民間団体の自主・自発的な福祉活動計画や意見を根底に策定された民間の「行動・活動」計画であり、住民参加を前提とした実践計画となっています。地域福祉計画と同じく、「地域」を主体とし、地域福祉の推進という共通の目的を持っていることから、平成26(2014)年策定の第4次計画より、地域福祉計画と一体的な策定を行い、効果的な事業推進を図っています。 「大分市重層的支援体制整備事業実施計画」 社会福祉法第106条の5に基づく計画です。重層的支援体制整備事業は、各分野で取り組んできた既存の仕組みや事業等を活かし、生活課題の複雑化や多様化で支援が届いていない人を、適切な支援や制度利用に繋げる支援体制を構築するものです。新たな地域福祉計画においては、これまでの計画で取り組んできた包括的な相談支援体制等を発展的に展開する必要があることから、地域福祉計画に「大分市重層的支援体制整備事業実施計画」を位置づけ、一体的に施策の展開を図ることとします。 「大分市成年後見制度利用促進基本計画」 成年後見制度の利用の促進に関する法律第14条第1項に基づく計画です。認知症や知的障がい及び精神障がいなどの理由で判断能力が不十分な方でも、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにすることを目的としています。国が示す地域福祉計画策定ガイドラインにおいて、地域福祉として一体的に展開することが望ましい分野とされていることから、地域福祉計画に「大分市成年後見制度利用促進基本計画」を位置づけ、一体的に施策の展開を図ることとします。 「大分市再犯防止推進計画」 再犯の防止等の推進に関する法律第8条第1項に基づく計画です。支援を必要としながらも孤立した状況にある犯罪をした人等が、自分らしく健やかに暮らすための支援のあり方を明らかにするとともに、国や県、民間団体等との連携を強化し、更生や再犯防止につなげ、犯罪被害にあう人の減少と立ち直ろうとする人を受け入れる地域社会を目指し、市民が安全で安心して暮らせる社会の実現を目的としています。国が示す地域福祉計画策定ガイドラインにおいて、地域福祉として一体的に展開することが望ましい分野とされていることから、地域福祉計画に「大分市再犯防止推進計画」を位置づけ、一体的に施策の展開を図ることとします。 【他計画との関係】(図) (6ページ)   4社会福祉協議会とは (1)法律上の位置づけと責務 社会福祉協議会は、社会福祉法第109条に規定される「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」であり、主に次の事業を行っています。 @社会福祉を目的とする事業の企画及び実施。 A社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助。 B社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成など。 (2)民間組織としての性格 行政の福祉サービスのみでは十分に対応できない民間レベルでの自発的な福祉活動を展開できる公共的団体として、戦後間もない頃より組織化されてきた経緯があります。公共性と民間性を持ち合わせた団体として高齢者、障がい者、子どもなどを対象に、地域住民やボランティア等[l7]と協働した地域福祉活動や福祉サービスを展開しています。 (3)社会福祉協議会の組織 大分市社会福祉協議会は、大分市における地域福祉を推進することを目的に設立され、昭和42(1967)年に社会福祉法人として法人化された団体です。その後、平成17(2005)年1月に旧佐賀関町社会福祉協議会、旧野津原町社会福祉協議会と合併し、広範な市民の参画を得て各種活動を行っています。また、市内には、昭和38(1963)年の市町村合併時の行政区域を範囲として福祉活動を行う大分、鶴崎、大南、稙田、大在、坂ノ市の各地区社会福祉協議会のほか、概ね小学校区を範囲として住民で組織された任意団体である校(地)区社会福祉協議会(以下「校(地)区社協」という。)があります。現在、校(地)区社協は45箇所に設置され、地域のみなさんが主体となって地域の実情に応じた助け合い、支え合いによる心豊かな地域社会を目指して活動しています。地域の中では、自治会、民生委員・児童委員、老人クラブ、ボランティアおよび教育関係団体などの住民組織のほか、社会福祉団体、社会福祉施設、公民館などがそれぞれの立場でお互いに連携を取りながら地域活動を行っています。校(地)区社協は、地域社会の福祉課題・生活課題を見つけ、その解決方法をこうした住民組織や福祉団体、専門・相談機関などに加え市役所とも協力・連携して課題解決に取り組むところに大きな特徴があります。地域のみんなで考え、話し合い、協働して解決を図ることができるのが校(地)区社協の最大の利点といえます。 【市社協と関係団体との関係】 地域の中では、自治会、民生委員・児童委員、老人クラブ、ボランティアおよび教育関係団体などの住民組織のほか、社会福祉団体、社会福祉施設、公民館などがそれぞれの目的ごとに地域活動を行っています。校(地)区社協は、地域社会の福祉課題・生活課題を見つけ、その解決方法をこうした住民組織や福祉団体、専門・相談機関などに加え市役所とも協力・連携して課題解決に取り組むところに大きな特徴があります。地域のみんなで考え、話し合い、協働して解決を図ることができるのが校(地)区社協の最大の利点といえます。 (8ページ)   5計画期間 本計画の計画期間は、令和6(2024)年度から令和10(2028)年度までの5年間とします。これは継続性をもって取り組みを推進し、評価を行いながら関係する他の計画との整合を図り、必要に応じて見直しを行うことを考慮して設定しています。   【本計画と関係する他の計画期間】(図) (9ページ)   6計画の策定体制 本計画は、住民、住民組織、様々な関係団体など地域福祉の関係者の意見を十分に反映させながら策定する計画です。策定にあたり、18歳以上の市民から無作為に抽出した3,600名を対象に「地域の暮らしと福祉に関する大分市民意識調査」を行い、その調査結果から地域福祉に関する現状と課題を分析しました。また、市役所と市社協による計画策定にむけた合同事務局を設置し、それぞれの内部組織での検討を行い、学識経験者、地域代表、専門機関代表、公募による市民の代表、並びに市役所および市社協職員から構成される「大分市地域福祉計画・地域福祉活動計画策定委員会」での議論や市民意見公募(パブリックコメント)での意見を踏まえて策定しました。 (10ページ)   7SDGsへの取り組みについて SDGsは、平成27(2015)年の国連サミットにおいて、令和12(2030)年まで持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として採択されたものです。貧困や飢餓、さらには気候変動や平和などの広範な分野にわたって17の開発目標が設定されています。この17の目標は相互に関連しており、それを包括的に解決することで、17の目標を達成する仕組みとなっています。また、SDGsの理念は、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指し、開発途上国のみならず先進国も含め全ての国や関係者の役割を重視し、経済・社会・環境をめぐる課題に統合的に取り組むこととして合意された普遍的なものであり、国においても積極的に取り組んでいます。SDGsの理念は、地域共生社会の実現とも関係することから、本計画においても、SDGsの視点をもって、地域福祉を推進していきます。 (12ページ)   第2章計画の基本的な考え方 1基本理念 大分市が策定する地域福祉計画と市社協が策定する地域福祉活動計画は、共に住民一人ひとり、住民組織、様々な関係団体、大分市と市社協が相互に連携し、それぞれの役割を果たす中で、誰もが住み慣れた地域で個性を活かし、お互いが支え合い助け合うことにより、安心していきいきと生活できるまちづくりを目指してきました。本計画においても、これまでの取り組みを継承するとともに、地域共生社会の実現に資する「ひと」を中心とした取り組みを推進していくために、次の基本理念を掲げます。 基本理念:支え合って 共に生きる ひとが主役のまちづくり    2基本目標 誰もが役割を持ち、自分らしく輝ける地域社会を構築するためには、住民一人ひとりが抱える課題にしっかりと向き合い、お互いに支え合うことが大切です。また、住民同士が地域で主体的に活動できるよう、地域活動へ参加するきっかけづくりや活動の場が必要とされています。加えて、近年多発する自然災害や多様化した生活課題への対応が求められており、誰もが安心して暮らすための体制づくりを推進します。このようなことから、基本理念の実現に向けた本計画の基本目標として、以下の3つを設定します。 基本目標1 お互いに支え合うひとづくり 基本目標2 地域で支え合う場づくり 基本目標3 誰もが安心して暮らすための体制づくり (13ページ)   3施策の体系 本計画では3つの基本目標を定め、これを達成するための施策の方向と取り組みを定めることにより、地域福祉を推進します。 施策の体系 〇基本理念 支え合って 共に生きる ひとが主役のまちづくり 基本目標 1.お互いに支え合う人づくり (1)地域福祉活動への参加推進 @地域福祉への意識の醸成 (2)地域福祉に関する学びの機会充実 @地域課題解決にむけた人材養成A担い手の発掘・養成B活動しやすい環境づくり (3)人権教育・啓発 @地域での人権意識の啓発 基本目標 2.地域で支え合う場づくり (1)地域住民の交流促進 @地域活動へのきっかけづくりA地域と学校の連携B交流の場づくりや交流促進への支援C情報発信 (2)住民が地域活動に参加しやすい環境づくり @市社協の体制強化A住民相互の見守り支援活動の充実B地域活動への支援 基本目標 3.誰もが安心して暮らすための体制づくり (1)困りごとをキャッチしやすい環境づくり @分かりやすい情報提供A相談体制の充実 (2)誰もが相談しやすい支援体制の整備 @顔の見える関係の構築A生活困窮者への支援B市役所の体制整備C専門・相談機関の連携強化 (3)権利擁護の推進 @成年後見制度の利用促進A権利擁護における体制強化B再犯防止の推進 (4)安心して暮らせるための基盤づくり @地域特性に応じた移動支援A空き家等への対策B安全・安心の環境整備C地域防災力の強化 (14ページ)   4圏域の設定 人口規模・地理的条件などから、「となり近所」を最小単位として6つの圏域を設定し、互いに連携・補完しながら、地域福祉の推進を図ります。 【となり近所】「向こう三軒両隣」「遠くの親戚より近くの他人」という言葉があるように、もっとも身近で頼りになる存在であり、いざという時に助け合うには日ごろからの近所づきあいが大切です。 【自治区】令和5(2023)年10月現在で685の自治区があります。また、任意組織である自治会などでは、班組織まで整備されており、それぞれの地域特性に合わせた個性ある活動に取り組んでいます。 【校区】令和5(2023)年4月現在で市立の小学校は54校(分校含む)、中学校は28校(分校含む)、義務教育学校は1校あり、PTA活動や子育て中の保護者、高齢者、障がい者の交流活動などが行われています。なお、校(地)区社協(45箇所)が地域福祉活動の中核を担う団体としておおむね小学校区で活動しているほか、高齢者に関する総合相談窓口として地域包括支援センター(23箇所)がおおむね中学校区ごとに設置され、誰もが住み慣れた地域で安心して過ごせるよう活動しています。 【地区】支所など[l3]を単位として13地区があり、地域住民の公的サービスの拠点であるとともに地域コミュニティの活性化、災害対策などに市民、関係団体及び行政が協働で取り組む地域づくりが行われています。 【市域】適切な公的サービス提供のほか、市社協など関係団体によるすべての住民を対象とした地域福祉活動が展開されています。 【その他】職域や同じ趣味・境遇の市民グループ、ボランティア、NPOなどが特定の地域にとらわれない活動に取り組んでいます。 (15ページ)   5計画の推進体制と進捗状況の管理 (1)計画の推進体制 本計画は住民一人ひとり、住民組織、様々な関係団体、市役所及び市社協が相互に連携し、それぞれの役割を果たす中で推進する必要があります。校(地)区社協などの地域活動団体や各分野の専門・相談機関など様々な地域福祉の担い手との協働・情報共有を図るとともに、市役所と市社協の協力・連携体制を強化し、内部組織において、本計画の進捗状況の管理や関係部署との連携により地域福祉の推進に取り組みます。 (2)計画の進捗状況の管理 学識経験者、地域代表、専門機関代表、公募による市民の代表、市役所および市社協の職員から構成される「大分市地域福祉計画・地域福祉活動計画策定委員会」を計画策定後も常設し、計画の進捗状況の把握や推進に関する総合的な検討などにより、効果的な地域福祉の推進を図ります。 (17ページ)第3章地域福祉推進に向けた取り組み(中表紙) 第3章では、3つの基本目標を達成するための施策の方向ごとの取組を記載しております。社会福祉法において、地域住民等(地域住民と事業者及び社会福祉に関する活動を行う者)は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民も含め地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、地域社会を構成する一員として地域福祉の推進に取り組むことが求められています。本章では、取り組みごとに地域福祉を推進する主体として、「地域住民等」「大分市社会福祉協議会(以下、市社協)」「行政(市役所)」を位置付け、主体ごとに「地域住民等に期待される役割」「市社協の役割」「市役所の役割」を記載しております。 (18ページ)   第3章 地域福祉推進に向けた取り組み 1施策の方向ごとの取り組み 基本目標1お互いに支え合うひとづくり                       (課題と今後の方向性)  地域福祉を推進するためには、住民一人ひとりが地域社会の一員としての意識と地域活動への関心を持ち、地域における役割を理解することが大切です。また、多様化する地域課題が顕在化する中、地域福祉活動を持続させるためには、地域の担い手不足などの課題に対する取り組みが求められています。このため、地域福祉活動に関する意識の醸成を図ることで、市民に地域活動への参加を促し、地域活動の活性化に繋げ、お互いに支え合うひとづくりが必要です。支える側と支えられる側が、固定した関係ではなく、皆が役割を持ち、支え合う関係を構築するため、思いやりの心を育み、人を豊かにすることで、人と人との絆をより一層深めていく取り組みを推進します。また、福祉課題に取り組む人材の発掘や地域団体等が活動しやすい環境づくりを行うとともに、正しい人権意識を持つ人材の養成に努めます。 (1)地域福祉活動への参加推進 【取り組み】 @ 地域福祉への意識の醸成 地域福祉に関する普及啓発や、体験事業等の取り組みを通じて、住民の地域福祉活動への興味や関心を高め、地域福祉活動への参加促進を図る。 地域住民等に期待される役割:地域福祉や高齢者・障がいのある方等に関する関心を高め、地域活動を自身に関わりのあることとして意識するなど、一人ひとりができることから行動するように心がけましょう。 市社協の役割:地域住民と地域の状況や課題を共有しながら、支援するとともに、様々な媒体を活用した地域福祉活動の情報発信を行う。 市役所の役割:地域福祉に対する住民の関心を高める取り組みを実施する。 (市民意識調査結果)地域福祉活動への参加頻度(グラフ) 最近1年間の地域福祉活動への参加頻度 「参加なし」の割合が最も高く約70.5%、続いて「年に1回以下」が約19.1%となっている。 (2)地域福祉に関する学びの機会充実 【取り組み】 @ 地域課題解決に向けた人材養成 学校での福祉教育や、人材育成に係る地域での講座や講習の開催等に取り組む。 A 担い手の発掘・養成 地域では担い手が不足している現状があることから、地域における指導者養成に関する研修の実施や担い手確保の支援に取り組む。 B 活動しやすい環境づくり 高齢者や障がい者等を対象とした地域での活動や就労支援などに係る取り組みを支援する。   地域住民等に期待される役割:地域で実施される講座等への参加を呼びかけ、積極的に参加しましょう。 市社協の役割:地域福祉活動ボランティアを対象とした研修会や校(地)区社協等の活動支援者を対象として研修を実施する。 市役所の役割:地域において地域福祉に関する指導者等の養成講座や住民に対する研修、啓発講座等を実施する。 市民の声:地域のことをよく知らないので、もう少し地域に目をむけてみようと思う。    (市民意識調査結果)地域意識について(グラフ) 17年調査までは「地域に住み続けたい」「地域が好きである」「行政とともに課題解決に取り組むべき」の割合は一貫して減少傾向にあったが、22年調査では増加に転じている。   3)人権教育・啓発 【取り組み】 @ 地域での人権意識の啓発 学校や地域において人権学習や人権講座等を実施し、啓発活動に取り組む。 地域住民等に期待される役割:人権講座等に参加し、人権に関する理解を深めましょう。 市社協の役割:福祉サービスを受ける利用者の人格を尊重した支援を実施するとともに、福祉教育の周知に努める。 市役所の役割:人権に関する講座や講演会を実施し、人権教育や啓発等を推進する 市民の声:高齢者の介護など、結局、女性に負担がかかっているのが現状。障がいのある子どものことを地域の方が気にかけてくれ、ありがたかった。 (22ページ)   基本目標2 地域で支え合う場づくり                                                                 (課題と今後の方向性) 地域には支援を必要とする様々な人が暮らしており、個々のニーズや地域課題は一層多様化しています。また、地域課題の解決などに取り組む様々な団体や個人に対する支援も必要です。これらの課題に対応するためには、地域や身近にいる住民が相互に助け合い、課題解決に取り組むことが重要です。住民が主体となって参画する小地域福祉ネットワーク活動などを充実・強化し、地域活動へ参加するきっかけづくりを行うとともに、地域の取り組みを情報発信することで、地域住民の交流を促進します。また、地域で活動する様々な団体や個人に対する活動や育成に対する支援を行うとともに、これらの連携を促進したり、活動拠点の整備をするといった取り組みを通じて、地域で支え合う場づくりを推進します。  (1)地域住民の交流促進 【取り組み】 @ 地域活動へのきっかけづくり より多くの住民が地域活動に参加できるためのきっかけづくりに取り組む。 A 地域と学校の連携 福祉学習などを通じて、支え合いや助け合いの大切さを学ぶ機会の充実を図る。 B 交流の場づくりや交流促進への支援 サロンなどの交流の場における“ふれあい”を深めるための支援を行う。 C 情報発信 様々な地域活動をより多くの住民に周知するため、積極的な広報を行う。    地域住民等に期待される役割:地域で取り組んでいる活動に関心を持ちましょう。また、子どもに地域行事の企画に関わってもらうなど、地域活動へ参加するきっかけをつくり、住民同士の交流に努めましょう。 市社協の役割:高齢者や多世代交流のサロン活動の充実を図るとともに、地域からの孤立を防ぎ、社会参加を促すため、これまで地域と結びつきがなかった人と人とが交流できる場づくりを推進する。 市役所の役割:地域で活動する団体や民生委員・児童委員を支援するとともに、地域福祉活動の周知や広報に努める。 市民の声:マンションでの2人暮らしで、あまり外での交流の場所がないので、近くにサロンや健康教室があればいいなと思います。 (市民意識調査結果)近所付き合いの状況(グラフ) 「あいさつする人あり」の割合が増加しているが、「助け合う人あり」「訪問し合う人あり」は減少している。また、「付き合いなし」の割合が一貫して増加傾向にあったが、22年調査では減少となっている。 (2)住民が地域活動に参加しやすい環境づくり 【取り組み】 @ 市社協の体制強化 地域福祉推進の中核となる市社協への支援を強化し、市社協の組織体制強化を図る。 A 住民相互の見守り支援活動の充実 住民同士の見守り活動を促進し、地域で助け合える体制づくりを支援する。 B 地域活動への支援 地域の状況や課題を共有する話し合いの場づくりと、具体策を検討する体制づくりを支援する。   地域住民等に期待される役割:地域活動に気軽に参加できるような環境づくりや地域課題を把握するための話し合いの場づくりに努めましょう。 市社協の役割:地域での見守り活動から発見される課題の共有と課題解決に向けた協議、検討の場づくりを支援するとともに、地域担当職員が地域に出向きやすい体制強化に取り組む。 市役所の役割:市社協の体制強化や住民相互の見守り活動等を支援する。 市民の声:住んでいる自治区は他と比べると比較的活発に活動をしていると思うが、それでも特定の人しか参加・活動をしていない状況がある。みんなが参加するような行事を作り、人と人が顔を合わせて話す機会が必要だと思う。 (市民意識調査結果)参加したことのある地域活動(グラフ) 「地域の環境・美化活動」「まちづくり活動」の割合が高くなっている。 (26ページ)   基本目標3 誰もが安心して暮らすための体制づくり                                                                 (課題と今後の方向性)                                                                複雑化・複合化した課題を抱える個人や世帯に対する支援や「制度の狭間」の問題など、既存の制度による解決が困難な課題に対する取り組みが求められています。また、経済的に困窮している人や、様々な事情で社会的に孤立している人などの自立を支援する取り組みも必要とされています。こうしたことから、支援が届いていない人を早期に発見するための働きかけや訪問支援を行うアウトリーチ等を通じて、地域内の支援を必要とする人を把握するとともに、その人のニーズに応じて適切なサービスにつなぐ仕組みづくりが必要です。そのため、専門・相談機関等の連携を強化することなどで、誰もが相談しやすい体制を整備します。さらに、誰一人取り残さない社会を目指し、成年後見制度の利用促進をはじめとする、判断能力が十分でない人の権利擁護体制を強化します。加えて近年多発する災害に対する地域防災力の強化や、災害時要配慮者に対する支援活動の円滑化などに取り組むことで、誰もが安心して暮らせるための体制づくりを推進します。 (1)困りごとをキャッチしやすい環境づくり 【取り組み】 @ 分かりやすい情報提供 市報や市ホームページを活用して分かりやすい情報提供を行う。 A 相談体制の充実 住民の身近な相談窓口としての機能を充実させ、各種専門・相談機関を紹介するなど、必要な支援や援助が行える体制をつくる。   地域住民等に期待される役割:身近な人に関心を持ち、支援が必要な人の要望や情報を民生委員・児童委員や地域の協力者等に知らせましょう。また、市報や回覧板などを通じて地域のことや専門・相談機関のことに関心を持ちましょう。 市社協の役割:地域に積極的に出向き、地域住民の困りごとの把握や相談窓口の周知を行い、当事者や地域の困りごとが解決に向かうよう支援する。 市役所の役割:相談窓口の機能を充実し、どこで相談を受けても連携して対応できる相談体制を整える。 市民の声:助けてと言える場所を知らないし、知る方法を知らない。福祉といってもいろいろな分野、相談窓口があり分かりづらいので、分かりやすい情報提供をお願いしたい。 (市民意識調査結果)不安や困りごと(グラフ) 「災害が起きたときのこと」の割合が高くなっているが、続いて「親などの介護のこと」「健康がすぐれない」「生活のための収入が足りない」「家や庭の維持管理のこと」となっている。 (2)誰もが相談しやすい支援体制の整備 【取り組み】 @ 顔の見える関係の構築 専門・相談機関同士の情報共有や課題解決に向けた検討を通じた連携強 化を図る。 A 生活困窮者への支援 他の専門・相談機関と連携して、対象者の早期発見と自立に向けた支援を行う。 B 市役所の体制整備 各福祉施策の調整、連携強化を図るための体制整備を行う。 C 専門・相談機関の連携強化 複雑化・複合化する福祉課題に対し、様々な専門・相談機関との連携を図りながら課題解決に向けた支援を行う。    地域住民等に期待される役割:困ったときに相談できる人間関係をつくり、不安や悩みがある場合は、早めに相談しましょう。また、地域の中で困りごとを抱えた人に早めに気づけるよう、日頃から声をかけあいましょう。 市社協の役割:適切な支援関係機関へのつなぎ、情報共有など、課題解決に向けた連携強化による切れ目のない支援体制を整備する。 市役所の役割:専門・相談機関同士が、それぞれの分野を越えて連携し、複雑化・複合化した課題に対応する体制を整える。 市民の声:歳を取り、一人になったときに、どのようにしたらいいのか見えてこない。現在両親は元気であるが、この先いつ倒れるか不安である。 (市民意識調査結果)困ったときの相談先(グラフ) 困ったときの相談先として、「家族・親族」「知人・友人」など身近な人の割合が多数となっているが、身近な人以外では「市役所・保健所の窓口」や「地域包括支援センター」などの相談機関が続いている。また、「相談できる人はいない」の回答がある。   (3)権利擁護の推進 【取り組み】 @ 成年後見制度の利用促進 成年後見制度の周知・啓発活動を行うとともに、市民後見人活動を推進するための体制整備を行う等、成年後見制度の利用促進に努める。 A 権利擁護における体制強化 高齢者虐待、障がい者虐待、児童虐待、DV等の防止や啓発の取り組みを行う。 B 再犯防止の推進 犯罪や非行をした人の社会復帰に向けた取り組みを通じて再犯防止を推進する。 地域住民等に期待される役割:成年後見制度や再犯防止対策について理解を深めましょう。また、虐待やDVについて正しく理解するとともに、発見をした際には専門・相談機関へ相談、通報しましょう。 市社協の役割:大分市成年後見センターや日常生活自立支援事業の周知、広報に努め、支援を必要としている方の円滑な利用に向けた支援に取り組む。また、市民後見人養成講座等を開催し、担い手の育成に取り組む。 市役所の役割:成年後見制度や再犯防止対策、虐待やDVについて、周知・啓発を行い、権利擁護の体制強化を図る。 市民の声:重度障がい者が家族にいるが、親亡きあと、安心して生活ができるのかが心配。認知症になっても安心して暮らせる地域にしてほしい。    (4)安心して暮らせるための基盤づくり 【取り組み】 @ 地域特性に応じた移動支援 公共交通機関の利用が不便な地域で、買い物や通院などの日常生活における移動手段の確保を図る。 A 空き家等への対策 老朽化した空き家への対策や、空き家を活用した住宅セーフティネット機能の強化を図る。 B 安全・安心の環境整備 誰もが安心して生活できるよう、社会参加への支援、防犯対策整備、バリアフリー化の推進などを行う。 C 地域防災力の強化 消防団や自主防災組織などへの支援を行い、人材養成と活動の充実を図る。また、災害時に支援が必要な方々への各種支援活動が円滑に行える体制整備を促進する。 地域住民等に期待される役割:地域の防災・避難訓練には積極的に参加し、災害時に支援を必要とする人を把握し、地域で情報共有しましょう。また、日頃から災害への備えをするとともに、避難経路や避難場所などを確認しておきましょう。 市社協の役割:災害時にボランティア活動を行う人材の養成とスキルアップに努め、災害ボランティアセンター運営に向けた体制整備を促進する。 市役所の役割:公共交通や空き家対策等、日常生活における支援を行うとともに、災害時における避難支援体制等の整備を推進する。 市民の声:地震などの災害はいつ起きても不思議ではない。単身高齢者が増加している中、日ごろからの付き合いがこれからますます重要になると思う。近隣に空き家が増えているので、防犯面などに不安がある。地域で高齢化が進み、買い物、病院に行くことが困難になっている。バスをはじめとした公共交通機関の改善をお願いしたい。 (市民意識調査結果)地域に足りないと感じているもの(グラフ) 地域に足りないと感じているものの質問に、「住民同士の交流」との回答の割合が高くなっており、続いて「身近な店」「移動手段」「地域住民による助け合い」の割合が高くなっています。 (33ページ)   2 主要な取り組み (1) 重層的支援体制整備事業の実施 〇現状や課題 第4期・第5次計画では、包括的な相談支援に関する取り組みを推進してきましたが、本計画では、下記の課題に対応する体制の整備が必要と考えられます。 @ 福祉制度は、高齢者・障がい者・子ども分野等の縦割りで整備されており、各分野での支援は整っていますが、単独の支援機関では対応が難しい複合的な課題を抱えたケースがあります。 A 生活課題を抱えているものの、社会的に孤立している世帯や個人は、外部から生活状況の把握ができず支援が届いていなかったり、支援を受けることを望んでいないといったこと等から、支援が必要な状況にあるものの、支援に繋がっていないケースがあります。 〇今後の方向性  第4期・第5次計画より取り組んだ「包括的な相談支援体制の構築」をさらに発展的に事業展開するための、大分市重層的支援体制整備事業実施計画を策定し、相談支援や参加支援、地域づくりに向けた支援を通じて、継続的な伴走支援や多機関協働による支援を実施する重層的支援体制整備事業を推進します。 (2)(仮)校(地)区社協活動の充実(未定稿) (36ページ)   大分市重層的支援体制整備事業実施計画 (1)計画策定の背景および目的 我が国では、高齢化や人口減少が進み、社会構造が大きく変化しているなか、地域における相互扶助機能など人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まっています。 さらに、対象者別・機能別に整備された公的支援についても、昨今、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況がみられ、対応が困難なケースが浮き彫りとなっています。 このような中、平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に「地域共生社会の実現」が初めて盛り込まれました。 「地域共生社会」とは、このような社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものです。 この地域共生社会の実現のため、平成30年4月施行の改正社会福祉法では、市町村が包括的な支援体制づくりに努める旨が規定されました。 本市では、第4期大分市地域福祉計画・第5次地域福祉活動計画(平成31年度〜令和5年度)において、地域共生社会の実現に資する新たな取り組みを推進していくために、「包括的な相談支援体制の構築」を重点的な取り組みの一つとして掲げ、福祉施策間の連携を進めてきました。 その後、国では、市町村における包括的な支援体制の全国的な整備を推進するため、令和3年4月施行の改正社会福祉法において、「重層的支援体制整備事業」が市町村の任意事業として創設されました。 重層的支援体制整備事業の実施に当たっては、社会福祉法第106条の5の規定に基づき、重層的支援体制整備事業実施計画の策定が市町村の努力義務となっております。 そのため、本計画では、本市がこれまで行ってきた取り組みを踏まえ、第5期大分市地域福祉計画・第6次地域福祉活動計画(令和6年度〜令和10年度)に掲げる基本理念の「支え合って 共に生きる ひとが主役のまちづくり」の実現に向け、重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するための実施体制等を定めます。 (2)校(地)区社協活動の充実 ○現状や課題 校(地)区社協は、小地域福祉ネットワーク活動を主な活動としつつ、子どもから高齢者まで幅広い世代を対象に、地域の実情に合わせた福祉活動を展開しています。また、地域課題について話し合う取組や、今後の取組目標を定める校(地)区社協地域福祉活動計画の策定にも取り組んでいます。校(地)区社協が活動を推進していくためには、活動に取り組む担い手や活動団体の支援が必要ですが、高齢化や後継者不足により、校(地)区社協活動をはじめとする地域の福祉活動を支える担い手が不足している現状があります。また、市民意識調査において、「最近一年間において地域活動への参加経験なし」と回答した方の割合が増加傾向であり、住民が地域活動に参加する場の創出も課題となっています。 ○今後の方向性 地域が抱える課題に対応するため、地域課題について話し合う取組や、地域課題に応じて柔軟に活動できる地域福祉活動の担い手づくりに取り組みます。また、校(地)区社協活動の基盤となる小地域福祉ネットワーク活動(「見守り合い活動」「話し合い活動」「助け合い活動」)に加えて、地域の状況にあわせて住民が参加できる場の創出地域づくり活動」に取り組み、地域福祉活動の推進体制を強化します。 @地域福祉の担い手づくり支援 ・地域福祉に係る担い手を確保するために、住民同士のつながりをつくる催しや研修会等、地域住民が参加できる場の創出と担い手づくりを支援します。 A小地域福祉ネットワーク活動支援体制の充実 ・小地域(概ね自治会)を範囲として行う「見守り合い活動」「話し合い活動」「助け合い活動」「地域づくり活動」を促進します。 ・活動のなかから把握した住民の困りごとが解決に向かうよう、専門相談機関等と連携し、困りごとの解決に向けた支援に取り組みます。 B住民が主体的に地域課題を把握して、解決を試みる体制づくりを支援します。 ・公的な制度やサービス等では解決が困難な課題の解決のために、住民主体の仕組みづくりを支援します。 ・地域で取り組む活動を計画的に行えるよう、取組目標を定めた校(地)区社会福祉協議会活動計画の策定及び推進を支援します。 (36ページ) 3 大分市重層的支援体制整備事業実施計画 (1)計画策定の背景及び目的 我が国では、高齢化や人口減少が進み、社会構造が大きく変化する中、地域における相互扶助機能など人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まっています。さらに、対象者別・機能別に整備された公的支援についても、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況がみられ、対応が困難なケースが浮き彫りとなっています。このような中、平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に「地域共生社会の実現」が初めて盛り込まれました。「地域共生社会」とは、このような社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものです。この地域共生社会の実現のため、平成30年4月施行の改正社会福祉法では、市町村が包括的な支援体制づくりに努める旨が規定されました。本市では、第4期大分市地域福祉計画・第5次地域福祉活動計画(平成31年度〜令和5年度)において、「地域共生社会」の実現に資する新たな取り組みを推進していくために、「包括的な相談支援体制の構築」を重点的な取り組みの一つとして掲げ、福祉施策間の連携を進めてきました。その後、国では、市町村における包括的な支援体制の全国的な整備を推進するため、令和3年4月施行の改正社会福祉法において、「重層的支援体制整備事業」が市町村の任意事業として創設されました。重層的支援体制整備事業の実施に当たっては、社会福祉法第106条の5の規定に基づき、重層的支援体制整備事業実施計画の策定が市町村の努力義務となっております。そのため、本計画では、本市がこれまで行ってきた取り組みを踏まえ、第5期大分市地域福祉計画・第6次地域福祉活動計画(令和6年度〜令和10年度)に掲げる基本理念の「支え合って 共に生きる ひとが主役のまちづくり」の実現に向け、重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するための実施体制等を定めます。 (37ページ) (2)重層的支援体制整備事業の基本方針 重層的支援体制整備事業は、既存の高齢、障がい、子ども、生活困窮といった各分野の相談支援等の取り組みを活かしつつ、複雑化かつ複合化した地域生活課題に対応するため、分野を超えた支援関係機関 と地域住民等との連携・協働の下で、「包括的な相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施する重層的で包括的な支援体制を構築するものです。 本市の重層的支援体制整備事業実施に当たっては、高齢、障がい、子ども、生活困窮といった各分野を超えた事業を一体のものとして行うために、市全体の支援関係機関や地域住民等の関係者が、これまで培ってきたノウハウを活かしながら、連携・協働し、地域生活課題の解決を図る 重層的なセーフティネットの構築 を目指します。     (38ページ)        (3)実施する事業および実施体制 重層的支援体制整備事業に基づく事業は、社会福祉法第106条の4第2項各号において定められています。この規定に基づき、本市では以下の事業を行います。 また、本市がこれまで行ってきた福祉施策間の連携を強化するための「包括的な相談支援体制の構築」の取り組みを踏まえ、市全体として、分野を超えた支援関係機関と地域住民等との連携・協働によりチームとして支援を行うことができる体制を整えます。 T)包括的相談支援事業 【事業内容】 高齢、障がい、子ども、生活困窮といった各分野の相談支援機関が、包括的に相談を受け止め、相談者の課題を整理し、利用可能な福祉サービスの情報提供等を行うとともに、受け止めた相談のうち、単独の相談支援機関では解決が難しい事例は、適切な支援関係機関へのつなぎや、連携を図りながら支援を行います。 @)地域包括支援センター【長寿福祉課】 【事業内容】 地域の支援体制づくりや権利擁護、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援します。 対象分野 高齢、設置箇所数 23箇所、運営形態 委託 A)障がい者相談支援センター【障害福祉課】 【事業内容】 障がいのある方が住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることができるように、様々な相談を受けます。 対象分野 障がい、設置箇所数 3箇所、運営形態 委託 B)利用者支援事業 【@健康課】 【事業内容】@安心して出産や育児ができるように、助産師等の専門職が、窓口や電話、訪問等で様々な相談を受けます。 【A子育て支援課】 【事業内容】A子育ての不安や孤立感を解消するために 、悩みごとなどについてファミリーパートナーが相談を受けます。 【B子ども入園課】 【事業内容】B保育サービスに関する相談対応を行うとともに、地域における幼児教育・保育施設や各種保育サービスの情報提供や利用支援を行います。 対象分野 子ども、設置箇所数@Aは3箇所 Bは1箇所、運営形態 直営 (39ページ) C)自立生活支援センター【生活福祉課】 【事業内容】 年齢や相談内容は問わない困りごとの総合相談窓口です。経済的な問題や就労に関すること、ひき こもりなど、複雑に絡み合った課題を抱えた世帯の問題などあらゆる相談を受けます。 対象分野 生活困窮 設置箇所数 1箇所 運営形態 委託 ※単一の事業として実施しています(基本型) U)参加支援事業【福祉保健課】 【事業内容】 既存の社会参加に向けた取り組みでは対応できない本人のため、本人やその世帯のニーズや抱える課題などを丁寧に把握し、地域の社会資源 や支援メニューとのコーディネートをし、マッチングを行います。また、既存の社会資源に対し働きかけや拡充を図り、本人やその世帯の支援ニーズや状態に合った支援メニューをつくります。さらに、マッチングした後に本人の状態や希望に沿った支援が実施できているかフォローアップ等を行い、本人やその世帯と社会とのつながりづくりに向けた支援を行います。 対象分野 全て、設置箇所数 1箇所以上、運営形態 委託 V)地域づくり事業 【長寿福祉課】 【事業内容】 地域資源 を幅広く把握した上で、住民同士が交流できる多様な場や居場所を整備すること、交流・参加・学びの機会を生み出すために個別の活動や人をコーディネートすること、地域のプラットフォームを形成 し地域における活動を活性化すること等を通じて、多様な地域活動が生まれやすい環境整備を行います。 @)地域介護予防活動支援事業 【事業内容】以下の住民主体の活動の支援を行います。 @公民館等で地域ふれあいサロンを開催し、レクリエーション・教養講座及び介護予防メニューを取り入れた活動を行うことにより、社会的孤立感の解消、外出モチベーションの喚起、健康維持・増進を図ります。 A公民館等で運動教室を開催することのできる運動指導者を養成し、その養成された運動指導者が地域住民を対象に運動教室を開催することで、高齢者を中心に気軽に健康づくり運動に参加できる体制づくりを行います。 対象分野 高齢、運営主体 地域住民等 (40ページ) A)生活支援体制整備事業【長寿福祉課】 【事業内容】 地域ボランティアなど多様な主体と連携しながら、高齢者の日常生活上の支援体制の充実・強化や社会参加を推進します。 対象分野 高齢、設置箇所数 2箇所、運営形態 直営・委託 B)地域活動支援センター事業【障害福祉課】 【事業内容】 障がい者等に創作的活動や生産活動、社会との交流促進等の機会を提供します。 対象分野 障がい、設置箇所数 2箇所以上、運営形態 委託 C)地域子育て支援拠点事業【子育て支援課】 【事業内容】 子育て中の親子の交流促進や育児相談等を実施し、子育ての孤立感、負担感の解消を図り、全ての子育て家庭を地域で支える取り組みを行います。 対象分野 子ども、設置箇所数 11箇所、運営形態 直営 D)生活困窮者支援等のための地域づくり事業【生活福祉課】 【事業内容】 地域におけるつながりの中で、住民が持つ多様なニーズや生活課題に柔軟に対応できるよう、身近な地域における共助の取り組みを活性化させ、地域福祉の推進を図ります。 対象分野 全て、設置箇所数 1箇所以上、運営主体民間団体等 ※単一の事業として実施しています(基本型) (41ページ) W)アウトリーチ等を通じた継続的支援事業【福祉保健課】 【事業内容】 支援関係機関との連携や地域住民とのつながりを構築し、複雑化・複合化した課題を抱えながらも支援が届いていない人を把握します。 また、潜在的なニーズを抱える人に関する情報を得たのち、当該本人と信頼関係に基づくつながりを形成するために、本人に対して時間をかけた丁寧な働きかけを行い、関係性をつくることを目指します。 対象分野 全て、設置箇所数 1箇所以上、運営形態 委託 X)多機関協働事業【福祉保健課】 【事業内容】 単独の支援関係機関では対応が難しい複雑化・複合化した支援ニーズがある事例の調整役として、支援関係機関との役割分担などを行う「重層的支援会議」を随時開催します。 また、重層的支援体制整備事業に関わる関係者の連携の円滑化を進めるとともに、包括的な支援体制を構築できるよう支援します。 対象分野 全て、設置箇所数1箇所、運営形態 直営 (4)支援関係機関間の連携に関する取り組みについて 包括的な支援体制の構築に向け、高齢、障がい、子ども、生活困窮といった福祉分野のみならず、住宅や教育をはじめとした福祉以外の分野とも連携をしながら、以下の取り組みを行います。また、本計画策定後も、引き続き必要な取り組みについて検討を行い、必要に応じて新たな取り組みを実施します。 取り組み @支援関係機関が、必要な関係機関につなぎやすくするため、サービスや相談機関を一覧にし、見える化を行います。 A関係する支援関係機関と情報の共有を図り、早期の解決を目指すために「相談を受け付ける共通の帳票(つなぎ・連携シート)」を適宜活用します。 B重層的支援体制整備事業の理解や、多様な関係者との連携を目的とした研修を実施します。 C社会福祉法第106条の6に基づき、会議の構成員に対し守秘義務を課すことで、構成員同士が安心して複雑化・複合化した課題を抱える相談者に関する情報の共有等を行う「支援会議」を市役所等が開催主体となり、随時開催します。 (42ページ) 第2期大分市成年後見制度利用促進基本計画 1.計画策定の背景及び目的 権利擁護支援を必要としている人は、自ら助けを求めることが難しく、自らの権利が侵されていることに気づくことができない場合もあります。また、頼れる身寄りがない等により地域社会とのつながりが希薄となり、孤独・孤立状態に置かれることもあります。このことから、尊厳のある本人らしい生活を継続するためには、地域社会がこうした状況に気づき、意思決定の支援や、福祉医療等のサービスにつなげることが重要であり、地域社会に参加できるためのしくみとして、地域や福祉、行政などに司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみの構築が必要であります。 第1期基本計画では、この地域連携のしくみを「地域連携ネットワーク」と位置付け、中核機関としてコーディネート機能を担う「大分市成年後見センター」と、関係機関とのネットワーク構築及びその促進のため「大分市成年後見制度利用促進地域連携ネットワーク協議会」を立ち上げ、必要な人が成年後見制度を利用できるよう整備を進めてきました。令和4年3月25日に閣議決定された、国の第二期基本計画では、「権利擁護支援」の定義について、1.意思決定支援等における権利行使の支援、2.虐待・財産上の不当取引への対応における権利侵害からの回復支援の2点が位置付けられました。権利擁護支援が必要な世帯の中には、様々な問題が複合的に生じていることもあり、家族構成員の想いも尊重しながら重層的・多層的な取組も併せて進めていく必要があります。 このような背景から、本計画は、認知症や知的障がいなどの理由で判断能力が不十分となった方でも地域共生社会の実現に向け、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにすることを目的としています。 2.大分市の取組状況 (1)権利擁護支援の大分市地域連携ネットワークと中核機関の整備 本市では、令和3年4月に「大分市成年後見制度利用促進基本計画」を策定し、大分市成年後見センターの「広報機能」「相談機能」「成年後見制度利用促進機能」及び「後見人支援機能」の機能強化に努めました。 また、令和4年4月より大分都市広域圏の取り組みとして、由布市と連携協定を締結し、相談窓口の相互利用等を実施しています。 さらに、令和4年10月には大分市成年後見制度利用促進地域連携ネットワーク協議会を設置し、大分市成年後見センターを中核機関として位置付けることで、組織面の更なる機能の充実を図りました。 (43ページ) 大分市地域連携ネットワーク協議会 【委員15名+オブザーバー】 (令和4年10月3日施行 「大分市成年後見制度利用促進地域連携ネットワーク協議会設置要綱」による) (医療関係者)大分市連合医師会 (専門職)大分県弁護士会、大分県司法書士会、大分県社会福祉士会、大分県精神保健福祉士会、大分県行政書士会、大分県介護支援専門員協会、大分市障害者自立支援協議会 (金融機関)大分県銀行協会 (消費生活関係者)大分市市民活動・消費生活センター、由布市市民活動・消費生活センター (社会福祉協議会)大分市社会福祉協議会、由布市社会福祉協議会 (行政)大分市、由布市 (オブザーバー)大分家庭裁判所、大分県 (44ページ) (2)成年後見制度の普及啓発 大分市成年後見センターにおける広報活動として、普及啓発パネル展、成年後見制度普及啓発講演会、地域包括支援センター主催による研修会への職員派遣、校(地)区社会福祉協議会へのパンフレット配布、校(地)区民生委員・児童委員協議会へのパンフレット配布及び職員派遣等を実施しています。 (3)成年後見制度利用支援 成年後見等の開始審判を受けた方等が、家庭裁判所から選任された成年後見人、保佐人及び補助人(配偶者及び4親等内の親族を除く)への報酬を払うことが困難な場合、報酬の全部又は一部を助成することにより、後見人等が適切な身上監護、財産管理を行い、被後見人等の生活を守ることができるよう支援することを目的とした報酬助成制度について、従来は大分市長が家庭裁判所に審判申立した場合のみとしていました。その後、制度利用の促進にあたり、令和3年4月より、一般の審判申立も可能(※資産等の要件あり)とし、対象範囲の拡大を図りました。 また、社会貢献、担い手の確保の取組である市民後見人の養成について、由布市と連携の上実施しています。        (45ページ) 3.施策の方向と取り組み (1) 権利擁護支援の地域連携ネットワークと大分市成年後見センター(中核機関)の運営 @福祉・行政・法律専門職等、多様な主体の連携による支援 国は第二期基本計画において、第一期基本計画で掲げた、地域連携ネットワークが担う4つ の機能(広報機能・相談機能・成年後見制度利用促進機能・後見人支援機能)を「福祉・行政・法律専門職等、多様な主体の連携による支援機能」「地域連携ネットワークの機能を強化するための視点・取組(連携・協力による地域づくり)」等に整理しました。 国が示した、地域連携ネットワークの機能強化の視点・取組を視野に「福祉・行政・法律専門職等、多様な主体の連携による支援」の3つの機能について以下の通り取り組みます。 (46ページ) (ア)権利擁護の相談支援機能 行政、大分市成年後見センター、地域包括支援センター等が、本人の意思及び選好や価値観、判断能力や生活の状態、権利擁護や意思決定支援が必要となる状況、支援者との関係性等の情報を収集し、成年後見制度利用の必要性等の権利擁護支援ニーズについて精査 の上、必要な支援につなげます。 (イ)権利擁護支援チームの形成支援機能 大分市成年後見センターにて、相談情報を基に、具体的な課題を整理した上で、厚生労働省による各種意思決定支援のガイドラインに配慮した本人への意思決定支援、権利侵害の回復支援の視点から権利擁護支援の方針を検討します。     また、本人の意向確認、親族との関係性等を考慮し、成年後見制度における申立て方法や、適切な申立人の検討や調整を行います。さらに、支援方針を基に対応すべき課題や後見人等に求められる役割等を踏まえ、後見人等候補者と選任形態を調整します。 (ウ)権利擁護支援チームの自立支援機能 大分市成年後見センターや関係専門機関が役割分担し、権利擁護支援チーム体制で課題解決に向けて取り組みます。また、必要に応じ後見人等、関係機関が参加する会議において支援方針の調整や共有を図る等、具体的な体制の構築を目指します。 A地域連携ネットワーク構成機関の役割 (ア)権利擁護支援チーム 権利擁護支援が必要な人を中心に、本人に身近な親族等や地域、保健・福祉・医療の関係者と、必要に応じ法律の専門職や後見人等を加え、本人の意思決定に寄り添いながら権利擁護が適切に図られるよう検討します。 (イ)大分市成年後見制度利用促進地域連携ネットワーク協議会 成年後見制度を利用する事案について、可能な範囲で権利擁護支援チーム及び大分市成年後見センターに対し、法律・福祉の専門職や関係機関が必要な支援を行うことができるよう検討します。また、大分市地域福祉計画策定委員会と並行し、第2期大分市成年後見制度利用促進基本計画の進行管理及び評価について協議します。 (ウ)中核機関 地域連携ネットワークのコーディネートを担う大分市成年後見センターが、業務の中立性・公平性の確保に留意し、権利擁護や成年後見制度に関する相談を受け、専門的助言等を確保しつつ権利擁護支援内容の検討を行うほか、相談支援の状況について協議会へ報告・協議する等、ネットワーク全体で支援できる体制の構築に努めます。 (47ページ) (2)成年後見制度の普及啓発 大分市成年後見センターによる講演会の実施、講師派遣や広報誌等の展示等、普及・啓発活動 を行ってきましたが、相談件数実績は微増に推移している状況であることから、今後もより多くの方が制度のメリットを受けられるよう取り組みます。また、私的自治尊重の観点から、本人の意思表示に基づく任意後見制度や成年後見制度における保佐、補助類型が積極的に活用される必要があります。そのため、本市の取組として、大分市成年後見センターを窓口とし、関係機関と連携の上制度の周知・啓発に努めます。 (3)成年後見制度利用支援 市民後見人の養成については、地域住民の社会貢献、担い手の確保、本人に寄り添った適切な後見人等の選任という観点から、引き続き重点的に取り組みます。 @市民後見人の養成・活用について 今後は、市民後見人養成研修修了者が後見人等としてのみならず、本人の意思決定支援等の幅広い場面で活躍することにより、地域課題の解消につながると共に、地域共生社会の実現に寄与できる様、養成・育成・活用方法等について検討します。 A成年後見制度利用に関する助成制度 地域連携ネットワーク機能を有効活用し、適切に市長申立の実施ができるよう努めていきます。現行の成年後見人等への報酬助成は対象者が大分市居住者のみとなっていることから住所地特例の適用等、範囲の拡大を検討していきます。また、成年後見人等のみならず成年後見監督人等が選任された場合においての報酬助成も検討していきます。さらに、報酬助成のみならず、審判申立費用の助成も検討し、成年後見制度の利用促進に努めます。 B日常生活自立支援事業から成年後見制度へのスムーズな移行を可能とする体制整備 日常生活自立支援事業は知的障がい者、精神障がい者、認知症高齢者等のうち、日常生活を送る上で判断能力が十分でない方が地域において自立した生活が送れるよう支援するものです。ただし、サービスを受けるには本人と契約を締結することから、一定以上の判断能力が必要となります。 【主なサービス内容】 ・福祉サービス利用についての手続 ・日常生活に必要な手続き支援 ・日常的な金銭管理の支援 ・通帳、印鑑等の預かりサービス 本市では、本事業利用者の判断能力が不十分となった場合、切れ目のない支援を行えるよう成年後見制度へのスムーズな移行を可能とする体制整備に努めます。 (48ページ) 第2期大分市再犯防止推進計画 1.計画策定の背景及び目的 刑法犯による検挙者数は全国的に減少傾向にありますが、そのうちに占める再犯者の割合が上昇傾向にあることから、犯罪対策においては、犯罪をした人等の円滑な社会復帰を促進すること等による再犯の防止が重要となります。このことに鑑み、平成28(2016)年に「再犯の防止等の推進に関する法律」(以下「再犯防止推進法」という。)が制定されました。これを受けて、国においては平成29(2017)年に「再犯防止推進計画」が、県においては平成31(2019)年に「大分県再犯防止推進計画」が策定される中、本市においても令和4(2022)年に「大分市再犯防止推進計画」を策定し、立ち直りに多くの困難を抱えている犯罪をした人等に寄り添い、更生を支援するための取組を進めてきました。今後も引き続き、犯罪をした人等の更生を支援することにより、再犯の防止を推進し、もって市民が犯罪による被害を受けることを防ぎ、安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与するため、今回ここに「第2期大分市再犯防止推進計画」を策定することとしました。 2.5つの基本方針 国の「再犯防止推進計画」では、再犯防止推進法第3条に規定された基本理念を踏まえ、5つの基本方針が設定されており、大分県もこの基本方針を基に計画を策定しています。本市においても、国及び県と連携して施策を進めるため、この基本方針を拠り所とし、次の5つを基本方針とします。 @犯罪をした人等が、多様化が進む社会において孤立することなく、再び社会を構成する一員となることができるよう、あらゆる人と共に歩む「誰一人取り残さない」社会の実現に向け、国、県、民間団体その他の関係者との緊密な連携協力を確保し、再犯の防止等に関する施策を総合的に推進します。 A犯罪をした人等が、その特性に応じ、切れ目なく、再犯を防止するために必要な支援を受けられるようにします。 B再犯の防止等に関する施策は、生命を奪われる、身体的・精神的苦痛を負わされる、あるいは財産的被害を負わされるといった被害に加え、それらに劣らぬ事後的な精神的苦痛・不安にさいなまれる犯罪被害者等が存在することを十分に認識して行うとともに、犯罪をした人等が、犯罪の責任等を自覚し、犯罪被害者の心情等を理解し、自ら社会復帰のために努力することの重要性を踏まえて行います。 C再犯の防止等に関する施策は、犯罪及び非行の実態並びに効果検証及び調査研究の成果等を踏まえ、必要に応じて再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者からの意見等により見直しを行い、社会情勢等に応じた効果的なものとします。 D市民にとって再犯の防止等に関する施策は身近なものではないという現状を十分に認識し、更生の意欲を有する犯罪をした人等が、責任ある社会の構成員として受け入れられるよう、再犯の防止等に関する取組を、分かりやすく効果的に広報するなどして、広く市民の関心と理解が得られるものとしていきます。 (49ページ) 3.重点課題 本市においては、再犯防止推進法に規定された基本的施策並びに国の「再犯防止推進計画」及び大分県の「大分県再犯防止推進計画」を踏まえ、次の4つの重点課題を掲げます。また、重点課題ごとに、施策の方向を設定し、国、県、民間団体等と連携を図りながら施策に取り組みます。 重点課題(1) 就労・住居の確保 施策の方向@就労の確保A住居の確保 重点課題(2)保健医療・福祉サービスの利用促進 施策の方向@高齢者及び障がい者等への支援A薬物依存者への支援 重点課題(3)学校等と連携した修学支援及び非行の防止 施策の方向@修学支援A非行の防止 重点課題(4)民間協力者の活動の促進、広報・啓発活動の推進 施策の方向@民間協力者の活動の促進A広報・啓発活動の推進 (50ページ) 施策の方向と取組 (1)就労・住居の確保 @就労の確保 国によると、犯罪をした人等の就労に関しては、前科等があることにより求職活動が円滑に進まないといった課題や、必要な知識・能力を身に付けていないといった理由により一旦就職しても離職してしまうといった課題があります。こうした現状を踏まえ、犯罪をした人等が安定した職に就き、そこに定着するための支援に取り組みます。 A住居の確保 国によると、犯罪をした人等の中には、刑務所を出所するときに帰住先を確保できず、不安定な状況で生活をする中で再犯に至る人が多数います。また、帰住先がない人ほど、再犯に至るまでの期間が短く、刑務所への入所を繰り返す傾向があることも分かっています。こうした現状を踏まえ、犯罪をした人等が安定した生活を送ることができるよう、住居の確保の支援に取り組みます。 【コラム:関係機関による支援(就労・住居の確保)】 ○大分保護観察所 @)厚生労働省の就労支援メニューや刑務所出所者等就労奨励金制度等を積極的に活用するほか、協力雇用主に対して助言や研修を行うなどの支援を実施します。 A)身元引受人や身元保証人のない人、高齢・障がい・病気等の原因により就労が困難な人、貧困により帰住予定地がない人等に対して、関係機関と連携しながら、住居や様々な行き場(一時的宿泊場所、満期出所者が支援を求めることのできる施設等)の確保等の支援を実施します。 (51ページ) (2)保健医療・福祉サービスの利用促進 @高齢者及び障がい者等への支援 国によると、刑務所を出所した後2年以内に再び入所する人を世代別でみると、65歳以上の高齢者が全体に占める割合が他の世代に比べて大きい傾向があるということや、知的障がいのある人が一般に再犯までの期間が短いということが明らかとなっています。これらの背景としては、必要とされる福祉的支援が犯罪をした高齢者及び障がい者等に充分に行き届いていない場合があるということが挙げられます。こうした現状を踏まえ、高齢者及び障がい者等が刑務所を出所した後に、適切かつ円滑に保健医療・福祉サービスを受けることができるよう、相談受入体制の充実を図ります。あわせて、そのほかの福祉的ニーズを抱えている人に対しても、それぞれの特性に応じたサービスの提供に取り組みます。 A薬物依存者への支援 国によると、薬物犯罪については、その犯罪をした人等が薬物依存の問題を抱えている場合が多いことから、再犯に至るリスクの高い犯罪であることが分かっています。こうした現状を踏まえ、薬物依存という精神症状に苦しむ地域の生活者を支えるという観点から、犯罪をした人等の薬物依存からの回復と社会復帰を継続的に支援します。 【コラム:関係機関による支援(保健医療・福祉サービスの利用促進)】 ○大分刑務所 @)高齢・障がい等の理由により、円滑な社会復帰が困難であると認められる人に、@基本的生活能力、社会福祉制度に関する知識その他の社会適応に必要な基礎的な能力及び知識の習得A出所後、必要に応じて福祉的な支援を受けながら、地域社会の一員として健全な社会生活を送るためのモチベーションの向上等の支援を実施します。 A)薬物依存の自覚及び薬物使用に係る自分の問題の理解をさせた上で、再使用に至らないための知識及びスキルを習得させるとともに、社会内においても継続的に薬物依存からの回復に向けた治療及び援助等を受けることの必要性を認識させるなどの再犯防止に資する支援に努めます。 (52ページ) (3)学校等と連携した修学支援及び非行の防止 @修学支援 全国の高等学校進学率は、令和3(2021)年度では98.9%となっており、ほとんどの人が高等学校に進学する状況にありますが、他方で、少年院に入院する人や刑務所に入所する人のうちの一定数は高等学校に進学していません。また、非行等に至る過程で、若しくは非行等を原因として、高等学校を中退する人も多数います。こうした現状を踏まえ、犯罪をした人等の継続した学びや進学・復学のための支援の充実及び学習機会の確保に取り組みます。 A非行の防止 国によると、刑法犯の罪を犯した14歳以上の少年の総数は、令和4(2022)年に微増してはいるものの、おおむね減少傾向にありますが、そのうちに占める再犯に至った少年の割合は例年3割程度で推移しており、およそ3人に1人は再犯に及んでいる状況です。こうした現状を踏まえ、少年が罪を重ねることがないよう、関係機関等と連携し、非行の未然防止に取り組みます。 【コラム:関係機関による支援(非行の防止)】 ○法務少年支援センター大分(大分少年鑑別所) 課題を抱える児童や保護者等に対して面接、カウンセリング、個別検査等を行うほか、学校等で非行予防を目的とした出前授業を行うなど、専門的な相談支援機能による効果的な非行防止の取組を進めます。 (53ページ) (4)民間協力者の活動の促進、広報・啓発活動の推進 @民間協力者の活動の促進 再犯の防止等に関する施策は、地域において犯罪をした人等の更生を支える保護司をはじめとした、多くの民間協力者の活動に支えられています。しかしながら、高齢化等による担い手の不足や地域社会における人間関係の希薄化といったことにより、民間協力者がこれまでのように活動を続けることが難しくなっています。こうした現状を踏まえ、民間協力者の活動促進のための支援や民間協力者との協力体制の構築に取り組みます。 A広報・啓発活動の推進 再犯の防止等に関する広報・啓発活動としては、全ての国民が犯罪や非行の防止と立ち直りについて理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、明るい地域社会を築くための運動である“社会を明るくする運動”等の活動が全国的に行われています。しかしながら、再犯の防止等に関する施策が市民にとって必ずしも身近なものでないため、いまだ再犯の防止等について市民の関心と理解が深まっているとは言えません。こうした現状を踏まえ、市民に再犯の防止等について一層認知してもらうため、広報・啓発活動の推進に取り組みます。 【コラム:関係機関による支援(民間協力者の活動の促進、広報・啓発活動の推進)】 ○大分保護区保護司会 @)大分更生保護サポートセンターを更生保護活動の拠点として、保護司が行う更生保護活動、処遇活動、地域に根ざした犯罪・非行防止活動等を推進します。また、保護観察対象者や矯正施設出所者等からの相談も受け付けます。 A)犯罪や非行の防止と犯罪をした人等の立ち直りの理解を促進するために、“社会を明るくする運動”強調月間に地域関係者等と連携して、市内の商業施設等で街頭啓発活動を実施します。