基本計画 総論 第1章 基本計画の目的  本市は、基本構想において掲げた「●●●●」を目標として、まちづくりを進めていきます。  また、その目標の実現のために6つの基本的な政策を掲げ、そこから導き出された各種の具体的な施策を進めることで、総合的かつ計画的な行政運営を行っていきます。  この基本計画では、基本構想で定める基本的な政策とそれに基づく具体的な各種施策の関係を体系的に示すとともに、個別の施策項目の内容を明らかにすることとします。 第2章 基本計画の期間と対象 第1節 計画の期間  この基本計画の期間は、2016(平成28)年度から2019(平成31)年度とします。 第2節 計画の対象区域及び範囲 この基本計画に基づいて各種施策を行う区域は、大分市区域としますが、生活圏の広域化等により広域的配慮を必要とするときは関係自治体の区域についても含めるものとします。 また、この基本計画に掲げる施策の範囲は、直接市が事業主体となる事業にとどまらず、必要に応じて、国、県、民間などが事業主体となる事業も含めるものとします。 第3章 基本計画の要件(計画策定に当たって考慮すべき事項) 第1節 人口 (1)総人口  本市の総人口は、2010(平成22)年国勢調査によると、474,094人です。  1963(昭和38)年からの動きを見ると、新産業都市建設の本格化した1965(昭和 40)年以降、急速な人口増加をたどり、1965(昭和40)年に対し1970(昭和45)年は12.2%増、1970(昭和45)年に対し1975(昭和50)年は19.9%増と、九州県庁所在都市の中で最高の増加率を示しました。  その後、日本経済が安定成長となったことから新産業都市建設も安定期に入り、1975(昭和50)年から1985(昭和60)年は毎年7,000人前後の増加、1985(昭和60)年から1995(平成7)年は毎年3,000人前後の増加、直近の10年となる2000年(平成12)年から2010(平成22)年では毎年1,900人前後の増加と、増加率は漸減傾向にあります。  しかしながら、国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」という。)が2013(平成25)年に公表した推計によると、2015(平成27)年の478,386人をピークに緩やかに減少に向かう見込みです。  また、社人研推計を基にした人口シミュレーションでは、2060年(平成72)年の総人口は約371,000人となり、2015(平成27)年と比べると総人口は約107,000人、生産年齢人口は約100,000人減少し、老年人口は約21,000人増加することが予想されており、老年人口割合も24%から37%へ13ポイント増加する見込みです。  このような人口構造の変化により、生産年齢人口の減少による税収減、老年人口増加による社会保障関係費の増嵩が想定され、生産年齢世代の負担増大や本市財政状況のさらなる逼迫が懸念されることから、本市の人口の将来を展望する「大分市人口ビジョン」を策定し、自然増と社会増の両面から人口減少問題に取り組むことで、基本計画の期間である2019(平成31)年度まで、本市の人口はおおむね48万人で推移できるものと想定します。 (2)世帯数  本市の世帯数は、2010(平成22)年国勢調査によると、195,623世帯であり、1963(昭和38)年から増加を続けています。  一方、1世帯当たりの人員は、1965(昭和40)年に4.10人であったものが、核家族化の進行、出生数の減少などにより2010(平成22)年には2.42人にまで減少しました。  この傾向は今後も続くものと考えられ、2019(平成31)年の世帯数を202,000世帯、1世帯当たりの人員を2.38人と想定します。 (3)年齢構成  人口における年齢別の構成比を見ると、年少人口(0〜14歳)と生産年齢人口(15〜64歳)は急速に減少し、老年人口(65歳以上)は急増しています。  今後ともこの傾向に変わりはなく、老年人口については、65歳への到達人口の増加を反映し、高齢化率の急速な高まりが予想されます。 (4)出生数及び合計特殊出生率  本市の出生数は、1995(平成7)年以降、年間4,500人前後で推移しています。また、本市の合計特殊出生率は、2005(平成17)年の1.33以降上昇傾向にあり、2013(平成25)年は1.59となっています。  今後は、結婚・妊娠・出産・子育ての希望の実現に向けた取組をさらに充実させることにより、希望する子どもの数を増やし、大幅な出生数の減少に歯止めをかけることで、2019(平成31)年度には出生数を4,200人、合計特殊出生率を1.62と想定します。 (5)人口動態  本市の自然動態を見ると、これまでは出生数が死亡数を上回っていたため、自然増となっていました。しかし今後は、出生数の大幅な増加は見込めない一方で、老年人口の増加に伴い死亡数は増加していくことが予想されており、死亡数が出生数を上回る自然減に転じると見込まれています。  また、社会動態を見ると、年によってばらつきはあるものの近年では転入者が転出者を上回る転入超過が続いており、今後もその傾向が続くものと予想されます。   (6)昼間人口等  周辺市町村との通勤・通学等による流入超過昼間人口は鈍化傾向にあり、最近では10,000人程度となっています。今後も、教育・文化・医療・交通などの拠点機能の集積、日常生活圏の拡大、広域的な連携と交流などから、昼間人口が夜間人口(常住人口)を上回る流入超過は続くと予想されます。   第2節 経済 (1)産業別総生産  市内総生産は、2008(平成20)年のリーマンショックなどの影響を受け、2009(平成21)年に大きく減少し、持ち直しの兆しを見せているものの、2001(平成13)年と2012(平成24)年を比較すると、1.0ポイント減少しました。この間、第1次産業と第3次産業が減少するなか、第2次産業は増加しました。  産業構造に占める割合でも、第1次産業は0.4%のまま横這いですが、第2次産業は29.8%から31.3%へと増加したのに対し、第3次産業は69.8%から68.3%へと減少しています。  また、2012(平成24)年度の大分県の大分の市町村民経済計算によると、本市の大分県経済との関係は、県総生産の46.8%を占め、県全体をリードしています。 (2)就業者  第1次産業の就業者総数の全産業に占める割合は、1965(昭和40)年の23.6%から、1980(昭和55)年には5%を下回り、2010(平成22)年には1.9%にまで低下するなど、大幅な減少を示しています。  また、第2次産業の就業者総数についても、2000(平成12)年に初めて減少に転じ、全産業に占める割合も1975(昭和50)年の31.0%をピークに減少傾向にあり、2010(平成22)年には23.7%となっています。  これに対し、第3次産業の就業者総数は1965(昭和40)年から2010(平成22)年の間に約2.6倍の伸びを示し、全産業に占める割合も1965(昭和40)年の51.8%から2010(平成22)年に74.4%へと大幅に上昇しており、今後も産業別就労者数については、同様の傾向が続くと予想されます。 (3)市財政の概要  わが国の景気は、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、緩やかに回復していくことが期待されるものの、先行きについては、中国をはじめとするアジア新興国等の景気の下振れによるリスクが懸念されています。  こうしたなか、国の財政状況は、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標の達成年度である2020(平成32)年度においても赤字が見込まれており、今後とも経済成長と財政再建の両立に向け、極めて厳しい財政運営を強いられる状況となっています。  本市においても、歳入の根幹をなす市税の大幅な増収は期待できず、歳出面では、少子高齢化の進展により扶助費をはじめとした社会保障関係費が年々増加するとともに、老朽化が進んでいる多くの公共施設の維持管理、更新経費への対応など多くの課題を抱えています。  2015(平成27)年10月に公表した「財政収支の中期見通し」では、このような影響を考慮するとともに、行政改革の効果額を見込み、一定の条件のもとで2019(平成31)年度までの見通しを試算しましたが、その結果は、改善傾向にあるものの、依然として収支不足が続く厳しいものとなりました。  このような厳しい財政状況のなかで、福祉や教育をはじめとする基礎自治体が果たすべき施策の着実な展開を図るとともに、産業力の強化などの地方創生に向けた取組を推進していくためには、行政改革に取り組み、今後とも国の税制改正等も注視しながら限られた財源を最大限に活用していかなければなりません。       第3節 土地利用  本市の土地利用は、新産業都市建設の進展に伴い、臨海工業地帯の造成や背後地の整備が進み、また、都心に隣接した丘陵地や幹線道路に沿った郊外部においても大規模な開発行為が行われ、多彩な変貌を遂げてきました。  しかしながら、近年では、このような郊外部への市街地拡大により中心市街地での(※)低・未利用地の増加も見られるようになりました。  2013(平成25)年現在の土地利用の状況は、農用地8.5%、森林48.8%、水面・河川・水路5.1%、道路5.9%、住宅・商業・工業用地14.5%、その他17.2%となっており、都市的土地利用への転換は進んでいるものの、 自然的土地利用の比率が高く、豊かな自然環境に恵まれているといえます。  今後の土地利用に当たっては、少子高齢化による人口構造の急激な変化に対応するため、既成市街地の効率的・有効的な土地利用を促進し、無秩序な市街地の拡大を抑制することで、中心市街地や地区拠点の活性化を図ることが必要となります。  また、良好な景観は、現在及び将来における市民の資産であり、地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動等との調和により形成されるため、これらが調和した土地利用を図ることが求められています。  ※低・未利用地:適正な利用が図られるべき土地であるにもかかわらず、長期間にわたり利用されていない「未利用地」と、周辺地域の利用状況に比べて利用の程度が低い「低利用地」の総称。 第4章 まちづくりに関する市民の意識  2014(平成26)年7月に実施した大分市民意識調査の結果によると、「大分市総合計画第2次基本計画」に掲げる20の政策のうち、力を入れて取り組んでもらいたい政策としては、「社会福祉の充実」「安心できる暮らしの確保」「健康の増進と医療体制の充実」などが上位になっています。  また、46の施策のうち重要度の高い施策は、「地域医療体制の充実」「児童・母子福祉の充実」「防災・危機管理体制の確立」「高齢者福祉の充実」「治山・治水対策の充実」など、福祉や医療、安全・安心などの生活に密着した施策となっています。  一方、満足度が低い施策は、「交通体系の確立」「安定した雇用の確保と勤労者福祉の充実」「小売商業の振興」などとなっています。  これからのまちづくりを進めるに当たっては、時勢や市民のニーズを的確に把握し、市民の視点に立った各施策の展開を進める必要があります。 重要度が高い施策(昇順) 1 地域医療体制の充実重要度数 4.50 満足度3.20  2 児童・母子福祉の充実重要度数 4.48満足度 2.92  3 防災・危機管理体制の確立重要度数 4.45満足度 3.06  4 高齢者福祉の充実重要度数 4.44満足度 3.25  5 治山・治水対策の充実 重要度数4.43満足度 3.08  6 学校教育の充実重要度数 4.39満足度 2.99  7 障がい者(児)福祉の充実重要度数 4.37満足度 3.10  8 消防・救急体制の強化重要度数 4.37満足度 3.25  9 安定した雇用の確保と勤労者福祉の充実重要度数 4.25満足度 2.73  10 防犯体制の強化 重要度数4.25満足度2.99 ・・・ ※順位は、全46施策のうちの順位 ※全施策の重要度数の平均は3.94 満足度が低い施策(降順) 46 交通体系の確立満足度 2.64 重要度4.05  45 安定した雇用の確保と勤労者福祉の充実満足度 2.73 重要度4.25 44 小売商業の振興満足度 2.84重要度 3.76  43 林業の振興満足度 2.90重要度 3.76  42 社会保障制度の充実満足度 2.90重要度 4.22  41 児童・母子福祉の充実 満足度2.92重要度 4.48  40 卸売商業の振興 満足度2.92重要度 3.49  39 安全で快適な住宅の整備満足度 2.93 重要度3.95  38 サービス業の振興満足度 2.93重要度 3.49  37 交通安全対策の推進満足度 2.94 重要度4.19 ・・・ ※ 順位は、全46施策のうちの順位 ※ 全施策の満足度数の平均は3.03 より詳細な平成26年度市民意識調査の結果については、大分市ホームページ「平成26年度大分市民意識調査」をご覧ください。   第5章 基本的な政策の体系  基本構想に掲げた6つの基本的な政策を進めるため、次の体系図に示すように具体的な政策とその実施のための施策を展開します。 1 健やかでいきいきと暮らせるあたたかさあふれるまちづくり(市民福祉の向上) 社会福祉の充実   * 地域福祉の推進  * 子ども・子育て支援の充実  * 高齢者福祉の充実  * 障がい者(児)福祉の充実  * 社会保障制度の充実 健康の増進と医療体制の充実   * 健康づくりの推進  * 地域医療体制の充実 人権尊重社会の形成   * 人権教育・啓発及び同和対策の推進  * 男女共同参画社会の実現 地域コミュニティの活性化  健全な消費生活の実現        2 豊かな心とたくましく生きる力をはぐくむまちづくり(教育・文化の振興) 豊かな人間性の創造   * 生きる力をはぐくむ学校教育の充実  * 子どもたちの学びを支える教育環境の充実  * 社会教育の推進と生涯学習の振興 個性豊かな文化・芸術の創造と発信  スポーツの振興  国際化の推進    3 安全・安心を身近に実感できるまちづくり(防災安全の確保) 防災力の向上   * 防災・危機管理体制の確立  * 治山・治水対策の充実 安全・安心な暮らしの確保   * 消防・救急体制の充実  * 交通安全対策の推進  * 防犯体制の強化 4 にぎわいと活力あふれる豊かなまちづくり(産業の振興) 特性を生かした生産業の展開   * 工業の振興  * 農業の振興  * 林業の振興  * 水産業の振興 活気ある流通・サービス業の展開   * 商業・サービス業の振興  * 流通拠点の充実 安定した雇用の確保と勤労者福祉の充実  魅力ある観光の振興  5 将来にわたって持続可能な魅力あふれるまちづくり(都市基盤の形成) 快適な都市構造の形成と機能の充実   * 計画的な市街地の形成  * 交通体系の確立  * 地域情報化の推進 安定した生活基盤の形成   * 水道の整備  * 下水道の整備  * 安全で快適な住宅の整備  * 公園・緑地の保全と活用 6 自然と共生する潤い豊かなまちづくり(環境の保全) 豊かな自然の保全と緑の創造  快適な生活環境の確立   * 廃棄物の適正処理  * 清潔で安全な生活環境の確立  * 公害の未然防止と環境保全  * 地球環境問題への取組 第6章 計画推進の基本姿勢 ○ 市民主体のまちづくり  少子高齢化が進展する地域社会の持続性を高めていくために、地域の実情を把握し、市民活動や自治会等による地域コミュニティ活動を市民とともに推進していくことにより、地域の活力と魅力を最大限に引き出す市民主体のまちづくりを進めていきます。 ○ 個性を生かした自立したまちづくり  地方分権改革の進展に伴って、これまで以上に主体性を発揮するまちづくりが地方自治体には求められています。そのため、各地域の実情に応じてその特性を生かすことにより、大分市全体として個性的で活力に満ちた魅力あるまちづくりを推進していきます。 ○ 市民ニーズに対応した多様な連携  住民の生活様式が多様化し、行動領域も拡大するなか、さまざまな課題や市民ニーズに的確に対応するため、県や周辺自治体、大学等の多様な団体等と連携を図るとともに、相互の特徴を生かしてそれぞれの資源を有効に活用し、これまで以上に充実した行政サービスを効率的・効果的に提供していきます。 ○ 行政改革の推進・計画的な財政運営  今後、財政状況はさらに厳しさを増していくことが予想されるなか、これまで以上に限られた経営資源で最大の効果を生み出す自治体経営が求められるため、「選択と集中」の考えのもと、継続的な行政改革の推進と計画的な財政運営に努めるとともに、民間活力の活用など徹底した行政コストの縮減や既存ストックの有効活用を図るなど、持続可能な行政サービスを実現していきます。    ○ 計画に基づく政策・施策の推進  さまざまな課題や市民ニーズの的確な把握に努めながら、この基本計画に掲げられた諸施策や、関連する各種計画を着実に推進します。  また、総合計画の進行管理を的確に行い、効果のある事業を選択し、集中的に投資をしていくことにより成果の向上を目指すとともに、その成果や進ちょく状況を市民に分かりやすく説明していきます。 ○ 地方創生の推進  わが国の人口は、2008(平成20)年をピークに減少に転じており、国立社会保障・人口問題研究所による人口推計によれば、2026(平成38)年には1億2,000万人を割り込み、2048(平成60)年には1億人を下回ると推計されています。  本市においても、今後人口減少社会が到来することが予想されており、本市が活力を失わず、市民が真に豊かさを実感できる、自律的で持続可能なまちづくりを推進するため、「大分市総合戦略」を策定し、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立し、その好循環を支える「まち」が活力を持続することができるよう、幅広い分野で実効性のある対策に取り組んでいきます。