大分市人口ビジョン(原案) 目 次 T. 人口ビジョンの位置付け、対象期間    (1)人口ビジョンの位置付け  ・・・・・・・・・・・・・・・   1    (2)対象期間  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   1 U. 大分市の人口の現状分析    (1)人口の推移と世帯数・一世帯当たりの世帯人員の推移  ・・   2 (2) 年齢3区分別人口の推移  ・・・・・・・・・・・・・・・   3    (3)人口動態  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   4    (4)年齢階級別の人口移動の状況  ・・・・・・・・・・・・・   7    (5)出生数及び合計特殊出生率の推移  ・・・・・・・・・・・   8    (6)婚姻数・婚姻率と離婚数・離婚率の推移  ・・・・・・・・   9    (7)未婚率の推移  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  10    (8)平均寿命と健康寿命  ・・・・・・・・・・・・・・・・・  11     (9)産業別就業者  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  12    V. 大分市の将来人口の推計    (1)総人口・年齢区分別人口の推計(大分市)  ・・・・・・・  13    (2)人口ピラミッドの推移(大分市)  ・・・・・・・・・・・  14    (3)地域別の人口推移  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・  15 W. 目指すべき将来の方向    (1)基本的視点  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  21    (2)人口の将来展望  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  21 T. 人口ビジョンの位置付け、対象期間 (1)人口ビジョンの位置付け  大分市人口ビジョンは、「まち・ひと・しごと創生法(平成26年11月28日法律第136号)」に基づき、大分市総合戦略を策定するに当たり、本市における人口の現状を分析し、将来を展望するものです。「まち・ひと・しごと創生」の実現に向けた重要な基礎となるものと位置付けます。  また、この人口ビジョンは、本市の最上位計画である新総合計画の策定に当たって、これからのまちづくりの方向性を明らかにするための前提となります。 (2)対象期間  大分市人口ビジョンの対象期間は、国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(平成26年12月27日閣議決定)」の期間を踏まえ、2060(平成72)年とします。 U. 大分市の人口の現状分析 (1)人口の推移と世帯数・一世帯当たりの世帯人員の推移   本市の人口は僅かではあるものの、年々増え続けています。しかしながら、国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」という。)の推計によると、2015(平成27)年をピークに人口減少に転じるものと見込まれています。   世帯数は、人口が微増傾向のなか増え続けていますが、一世帯当たりの世帯人員は減少傾向にあります。 (2)年齢3区分別人口の推移   本市の老年人口(65歳以上)は増加傾向にあり、2010(平成22)年には高齢化率が20%を超えています。一方、年少人口(15歳未満)は減少傾向にあり、2000年代前半には、年少人口が老年人口を下回りました。今後も、老年人口は増加することが見込まれます。   また、生産年齢人口(15歳〜64歳)をみると、増加し続けていたものの、2010(平成22)年には減少に転じています。 (3)人口動態   本市の自然動態について、出生数は1973(昭和48)年をピークに減少し続けていましたが、1989(平成元)年頃から、ほぼ横ばいの状態となり、2006(平成18)年以降は毎年約4,500人となっています。死亡数は年々増加傾向にありますが、まだ、出生数が死亡数を上回っているため、自然増となっています。今後も死亡数の増加が見込まれます。   一方、社会動態について、最近では転入超過が続いていましたが、2014(平成26)年に転出超過(271人)となっており、社会動態は減少に転じています。  本市の大分県内における転出入者の状況について、転出、転入ともに、別府市が最も多い状況となっています。周辺自治体を中心に、大分市内への転入者が大分市からの転出者を上回っています。  一方、大分県外における転出入者の状況については、転出、転入ともに、福岡県が最も多い状況となっています。 (4)年齢階級別の人口移動の状況   近年の年齢階級別の人口移動をみると、転入者では30〜39歳が多くなっています。   一方、転出者では、新規大卒者が就職する年齢である区分の20〜24歳が最も多くなっており、2014(平成26)年では、転出者15,128人のうち、20〜24歳の転出者は2,877人と全体の19.0%を占めています。 (5)出生数及び合計特殊出生率の推移  本市の出生数は、2006(平成18)年以降毎年約4,500人となっており、ほぼ横ばいで推移しています。また、本市の合計特殊出生率は、2005(平成17)年の1.33以降上昇傾向にあり、2013(平成25)年は1.59となっています。  なお、本市の合計特殊出生率は、1991(平成3)年以降、全国の合計特殊出生率より高い水準で推移する一方、大分県の合計特殊出生率より低い水準で推移していましたが、2013(平成25)年に大分県の合計特殊出生率を上回っています。 ※合計特殊出生率とは、15歳から49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子どもの数に相当します。 (6)婚姻数・婚姻率と離婚数・離婚率の推移   本市の婚姻数は、2011(平成23)年に一時的に減少に転じましたが、その後、増加傾向にあります。婚姻率も2010(平成22)年以前と比較すると低くなっていますが、全国や大分県と比較すると、一貫して高い傾向にあります。   本市の離婚数は、2011(平成23)年まで減少傾向にありましたが、2012(平成24)年に増加に転じています。 ※離婚率とは、離婚数を人口で除して1,000をかけたもの(人口1,000人当たりの離婚件数として表わされる) (7)未婚率の推移   本市の年齢5歳階級別未婚率は、2005(平成17)年と2010(平成22)年を比較すると、男性も女性もともに20歳代は若干下降しており、30歳代は上昇しています。最も上昇が大きいのは、男性では35〜39歳で、4.2ポイント上昇し、女性では30〜34歳で、2.9ポイント上昇しています。   男性も女性も30歳代の未婚率は、上昇傾向にあります。 (8)平均寿命と健康寿命(お達者年齢)   本市の平均寿命は年々延びており、2010(平成22)年の平均寿命は、男性が80.54年、女性が86.94年となっています。   一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である健康寿命(お達者年齢)は、2011(平成23)年では、男性が78.94年、女性が83.70年となっています。 ※健康寿命(お達者年齢)とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと お達者年齢とは、国の「健康寿命」と区別するため、大分県が独自に算出する「健康寿命」のことで、介護保険制度による「要介護2以上に認定されていなければ、健康とする」と定義している。 (9)産業別就業者   本市の産業別就業者数は、第3次産業の就業者が最も多くなっています。2005(平成17)年と2010(平成22)年の国勢調査を比較してみると、第2次産業の就業者は0.5%の増加、第3次産業の就業者は2.8%の減少とほぼ変わらないなか、第1次産業の就業者は26.1%の減少とかなり落ち込んでいます。   産業大分類別就業者数をみると、卸売・小売業が最も多くなっています。続いて、製造業と医療・福祉が多くなる構成となっています。 V. 大分市の将来人口の推計 (1)総人口・年齢3区分別人口の推計   2010(平成22)年国勢調査を基本に、2013(平成25)年3月発表の社人研の数値を用い、将来人口を推計しています。   また、社人研の推計によると、このままの状況で人口が推移していけば、2010(平成22)年から2040(平成52)年までの30年間で、本市の総人口は約3.6万人、生産年齢人口(15歳〜64歳)は約6.5万人減少すると予測されています。一方、老年人口(65歳以上)は約5.3万人増加し、高齢化率は34%に達すると予測されています。 (2)人口ピラミッドの推移   本市の総人口の減少や少子高齢化の進展に伴い、年少人口(15歳未満)を含む若い世代の人口が減少し、本市の人口ピラミッドは、「壺型」に向かっていくものと考えられます。 (3)地域別の人口推移   本市の総人口の減少に伴い、佐賀関地区(▲4,450人 ▲43%)、野津原地区(▲1,094人 ▲25.2%)においては、減少割合が特に大きくなるものと考えられます。 ※2040(平成52)年の総人口は国立社会保障・人口問題研究所推計。地域別人口については社会増減の補正を行い推計。 地域別の人口推移《大分地区》  2010(平成22)年の大分地区の人口は、20.4万人で市の総人口の約43.0%を占めています。2040(平成52)年の人口は、19.1万人まで減少する見込みで、減少率は約6.5%となります。 地域別の人口推移《鶴崎地区》  2010(平成22)年の鶴崎地区の人口は、7.5万人で市の総人口の約15.8%を占めています。2040(平成52)年の人口は、6.5万人まで減少する見込みで、減少率は約12.8%となります。 地域別の人口推移《大南地区》  2010(平成22)年の大南地区の人口は、2.8万人で市の総人口の約5.9%を占めています。2040(平成52)年の人口は、2.5万人まで減少する見込みで、減少率は約8.7%となります。 地域別の人口推移《稙田地区》  2010(平成22)年の稙田地区の人口は、8.7万人で市の総人口の約18.3%を占めています。2040(平成52)年の人口は、7.3万人まで減少する見込みで、減少率は約16.4%となります。 地域別の人口推移《大在地区》  2010(平成22)年の大在地区の人口は、2.7万人で市の総人口の約5.7%を占めています。2040(平成52)年の人口は、3.3万人に増加する見込みで、増加率は約20.8%となります。 地域別の人口推移《坂ノ市地区》  2010(平成22)年の坂ノ市地区の人口は、1.8万人で市の総人口の約3.8%を占めています。2040(平成52)年の人口は、1.9万人に増加する見込みで、増加率は約9.1%となります。   地域別の人口推移《佐賀関地区》  2010(平成22)年の佐賀関地区の人口は、1.0万人で市の総人口の約2.1%を占めています。2040(平成52)年の人口は、0.6万人まで減少する見込みで、減少率は約43.0%となります。 地域別の人口推移《野津原地区》  2010(平成22)年の野津原地区の人口は、0.4万人で市の総人口の約0.8%を占めています。2040(平成52)年の人口は、0.3万人まで減少する見込みで、減少率は約25.2%となります。 地域別の人口推移《明野地区》  現在(2010年)は老年人口の割合が低水準ですが、30年後は老年人口の割合が40.2%と市全体(34.0%)より大きくなり、今後急速に高齢化が進むことが予想されます。 W. 目指すべき将来の方向 (1)基本的視点   人口減少への対応は、次の二つの方向性が考えられます。一つは、国の長期ビジョンが指摘するように、出生者数を増加させることにより人口減少に歯止めをかけ、将来的に人口構造そのものを変えていくことにつなげるものです。もう一つは、首都圏への転出者の抑制、地方への転入者の増加について政策誘導を図るものであり、この二つの対応を同時並行的、相乗的に進めていくことが、人口減少に歯止めをかけ、人口増加に転じさせていく上で大変重要となります。   こうしたことから、自然増と社会増の両面から人口減少問題に取り組み、2060(平成72)年までの人口減少カーブをできる限り緩やかにしていきます。 (2)人口の将来展望   自然増では、市民の結婚・妊娠・出産・子育ての希望の実現を図り、合計特殊出生率の向上につなげます。また、社会増に向けては、転出の抑制と転入の促進を図ります。   国においては、2030(平成42)年までに合計特殊出生率を1.8程度、2040(平成52)年には人口置換水準である2.07程度まで回復した場合、2060(平成72)年には人口1億人程度を確保し、長期的には9,000万人程度でおおむね安定的に推移するものと推計しています。   一方、大分県においては、2030(平成42)年までに合計特殊出生率を2.0程度、2040(平成52)年には2.3程度まで高めるとしています。  また、国が東京圏からの地方への転出を毎年4万人増加させるとともに、地方から東京圏への転入を毎年6万人減少させることにより、2020(平成32)年までに東京圏と地方の流出入の増減均衡を図ることを目標とするなか、大分県では、地域を活性化する施策等を通じて、社人研が想定している社会増減に毎年1,000人程度(国目標の1%)の上乗せが図られるとしています。   自然増対策と社会増対策に取り組めば、大分県は2060(平成72)年には人口が約96万人となり、その後上昇に転じ、2100年(今世紀末)には、100万人近くにまで回復していくとしています。   本市においては、国や大分県の将来展望を勘案するなか、県都大分市としての責任を果たすため、自然増については、結婚・妊娠・出産・子育ての希望の実現に向けた取組のさらなる充実を図ることにより、2030(平成42)年までに合計特殊出生率を2.0程度まで高め、2040(平成52)年には2.3程度まで高めることとします。   また、社会増については、今後も東京圏を中心とした大都市への人口流出が懸念されることから、大分県全体を鑑みるなか、大分県外から、特に東京圏を中心とした大都市からの転入者を増やすことを目指していきます。   このように自然増対策と社会増対策に取り組むことにより、人口減少に歯止めがかかり、2060(平成72)年の本市の人口は、45.0万人となります。 人口置換水準とは、長期的に人口が増えも減りもせずに一定となる出生の水準 (日本の合計特殊出生率の人口置換水準は、おおむね2.07となっています)